表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/42

第1章 時空契約と干渉 第17話 愚かな選択

色々あって更新に1週間ぐらいかかってしまいましたで終わらせて、謝罪もせずに淡々とラノベを書き続けるクズな性格を持ち合わせたどうも優樹です。

4月中に一章終わらせたいと思っています。ちなみにもう結構終盤に入りつつあるw


ルート、というのが本当の名前なのかどうかは定かではない。もしかしたら名前なんて持ってないのかもしれないし、もう無くしてしまっている可能性だってある。

そもそもこの状況で彼女の名前なんて大したことのない話だ。

どこかで大きなドラゴンと遭遇したらきっとこんな気持ちになるのだろうと思うぐらいの威圧感だった。顔こそ少しばかり笑ってはいるが、周りから放たれる尋常ではないオーラがそんな柔らかなイメージをぶち壊している。


「ルート………?そんな名前は知らないけど。君たちは私をこの場で起こして、タダで帰れる、そう思ったから面白半分で私を覚醒させたの?ぐっすり寝ていたところを起こされるのってすごく不愉快なんだけど、その気持ちってわかる?」


「お前は……よくも…」


「戯言は聞かないよ、フェリスちゃん……だって、戯言、大嫌いだもんね…フフツ……」


「っ!?」


彼女たちは何の因縁で結ばれているのかは分からないが、あの反応を見ると、フェリスとアレは顔見知りなのかもしれない。フェリスはアレに何か言われると、手をかざし、黒い球状だが中には空間があるボールのようなものを、おそらく魔法でだろうが、構えた。

だが、すぐにそれを引っ込めてアレからフェリスは目をそらした。


「私に死属性の魔法を撃つのは構わないんだけど、そんなゴミクズみたいな魔法じゃ私は死なないし。」


「よくも……お前はこんなとこでェッ…!!」


明らかにいつもとは異なる果てしない憎しみの血相をしてフェリスは叫んだ。しかし、アレはそれに対し一切も動じず、ただフェリスを無関心に見下ろしていた。

こんな光景を、裕希は見ていられなかった。恐ろしく気分が悪い。


「おい、お前」


「ん〜?あんただよね?あたしを目覚めさせたの。あたしちゃんと鎖に繋いで、触れてはいけませんよ的な雰囲気みたいなの出したと思うんだけど、それでもあんたは開けたんだよ。それって明らかにあんたが悪いはずじゃん。なのに謝りもせず、挙げ句の果てにはお前呼ばわりって……、言っとくけどあんたの命なんかあっという間に終わらせてあげられるんだからね?」


「く………そ、それはすまなか………」


「あんな奴に謝る必要なんかないっ!!いいか、ユーキ。あいつは大悪魔なんじゃぞ!私の家族も、大切な人たちも全部皆殺しにしてきた殺戮魔なんじゃぞ!!」


「…なに………?お前の……家族も………?」


思えば王城に行った時にもそこには王であるアン女王しかいなかった。王族にはそれ以外会ってないし、見たような記憶もない。

こいつが、目の前にいるこいつが、本当にフェリスの大切な家族を殺したというのか。

そうであるなら、フェリスが追い詰められて裕希たちの世界に来た時には、もうすでに彼らは死んでいたということになる。彼女は必死に裕希に助けを求めて来た。確か涙まで流していた気がする。

会った時からフェリスの悲んだり憎んだりする顔は二度と見たくないと思っていた。

だがこいつがいる限り、憎しみは止まらない。こいつが殺戮を続けるのをやめない限りは終わらないのだ。


「ーーお前がルートなら、俺はお前をここで殺さなければならない。俺は……俺たちは絶対にお前を許さない。」


「ーーーーーーーー」


ルートは驚きと哀しみを入り混じらせた表情をした。その表情はひどく複雑で、相手に思いを見せまいという顔だった。


だから、それが裕希たちに対する哀れみや、悲しみからくる表情だということに、彼らは気づくことができなかったのだ。




「ーーー自惚れるのはやめときな?……選ばせて、あげる。ここで"死ぬか"、それとも"見逃してあげて生き延びるか"、選びなさい。」


ルートは裕希にやたらと偉そうな態度で選択を迫ってきた。

普通、このような場合は逃げるのが先決だろう。死ぬかもしれない状況であえて戦いにいく必要などないし、自分がフェリスやリオンを守りきれる自信はこれっぽっちもなかった。

だがここで倒さなければまた違う人が殺されるかもしれない。はたまた知り合いや、友達、家族だって惨殺されるかもしれないのだ。

ルートがいきなり現れ、いきなり行動を起こして来たから心に余裕がなくての判断ではあるかもしれないが、ここで止めなければいけないことに違いはない。だから逃げるわけにはいかないのだ。


「殺せるんだったら殺せばいい。でもここで選択肢を与えたってことは勝てないかもしれないと、お前が少しでも感じたってことだろ。だったら俺は勝ちにいくぞ。」


「………………」


ルートはしばらく止まっていた。何かを考えているように見えた。彼女はそのまま裕希を見下ろして表情を隠した。

正直なところ、裕希はあの剣の威力を見た後だから、割とあっさり勝てるのではないかと思ったのだ。一回一回撃つのに時間はかかるが、当てれば即死してもいいような切れ味に思えたからだ。

それが過ちになるかどうかは、この後わかる、と内心し、裕希は剣を構えた。

すると、ルートはため息をつき、目を瞑った。なにをしてくると思った時には、もう手詰まりだった。


「ーーーあーー」


ルートから伸びる謎の糸のようなものが、裕希の服の首元と絡まり、掴むような状態にされていた。そのまま、ルートは持ち上げてきた。


「く………っ………ーーーーー」


「あなたは死を選択した。時空を超えてフェリスちゃんに助けを求められて、結局一瞬にして死ぬ。誰もかれもが悲しむようなストーリーをあなたは望んだのね。」


「な、…………なにを……っ」


「愚かだわ、あなた。好きになってもらえた人を裏切って自分だけ死ぬなんて、そんな選択をするなんて、ーーー最悪だと、思うわ。」


「ーあーーーー」


「罰としてあなたを殺してあげるわ。自分の選択に後悔したんだったら、次は、簡単に命を捨てるようなこと、しないことね。」



首元を強く締め付けられてうまく喋れやしなかったから言えなかったが、こいつの言ってることはめちゃくちゃだと思った。

死ににいくことを愚かだと言うなら殺さなければいいのに。殺してくれるなよ、と思うのに。

裕希は諦めた。死を受け入れた。怖いけど、それしかないと思った。

誰かが叫ぶ声がする。フェリスとリオンだ。それが怒りの声か、憎しみの声か、悲しみの声かは分からない。もう、なにも分からなかった。

と、裕希はふと、浮遊感覚のようなものを感じた。ルートに身を放り投げられたのだ。



一瞬だけ見えたのはフェリスの顔だったが、不自然な顔を浮かべていた。


少し笑っている、とは言えないが、安心したような顔をしていた気がしたのだ。



自分の出血する姿など見たくないので、裕希は強く目を瞑った。すぐ近くに死があることには変わりない。だが、最期ぐらいは楽に、終わらせたかった。

それを覚悟した、その後のことだった。

不思議なことに気づいた。

音が止まったのだ。さっきまで聞こえていた色々な声が急に止まったのだ。もう死んだのか、そうも思わせるような不自然な感覚だ。

だが、こんなことを考える暇があるほどの意識があるなか、死んでいるとは思えない。一度全身麻酔で意識が一瞬で飛ばされるような感覚を味わったたことがあるのだが、死というのはあのような感覚だと思う。だからこんないろんなことは考えられない。多分、死んだら恐怖すら感じなくなっているはずだ。

ならなぜなんだ?

怖くて目を開けることが出来ずにいたが、開けようと決意して、裕希は目を開けた。

そこには












「ーーーーーーーーは…?」











そこには何もない、本当に何もない平坦な大地と、壮大な青空が織りなす、まさに「何もない世界」が広がり、裕希はそこに立たされていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ