第1章 時空契約と干渉 第11話 秘密の巨大基地は地下の中
母の中で思いっきり泣いてしまった日から一日が立った。
里音はしっかり想いを告げることができたそうだが、それでもまだ何か足りないことがかなりあったらしく、その日の夜にも結構話していて、秋もそれに付き合っていた。きっと秋も何かを感じていたのかもしれない。自分たちが突然いなくなることを、悟っていたのかもしれない。彼女は息子や娘の考えていることくらい分からないはずがないと言っていた。ならば、息子の裕希にもそのくらいのことは察することができる。
「まあ、確実に全部がわかったわけではないけどな。ただ何か起きることくらいは分かっていたと思う。」
「そうか…。」
突然だが、今裕希たちはすでに公園へいる。あまり母との別れのあれやこれやをやっていると、気がもちそうにない。二度も泣くわけにはいかないぜ。
当然フェリスも、里音もそこにいて今はその事情とかを話していた。
「ならもう迷いはそなたにはないな?」
「ああ。もちろんだ。」
「わたしも。」
幸いなことに、母や父以外に別れを言うほど心おしい人もいないので、それさえ済めば簡単にこの世を去ることができるのだ。ついでに言えば友達がいないまである。つまりもう俺は死んでも悔いはないというわけだ。いや、里音がいたわ。
「ならばさっそく向かうとしよう。」
「あ、ああ。」
そういうと彼女は公園を出て隣接したマンションの敷地の中へはいって行った。
おい。
「おい、ちょっと待てどこへ行く?」
「屋上に行くんじゃ。屋上から2月22日22:22分に飛び降りると二次元へ行けるらしいからな。」
「色々と突っ込みたいけど、まずそれ以前にいつまで待たせる気だよ。今夏なんですけど。」
「冗談だ。受け流してくれ。」
で、でた~。突っ込みすると冗談だから受け流せとかいうのに、突っ込み入れないと何か反応しろよとか言う奴だろこいつ。あれマジでなんなの理不尽にもほどがあるだろ。それで立ちてい上司からの評価下がって、結果的にめっちゃ働かされるんだきっと。ああ、働きたくないなぁ。
「いや、お兄ちゃんのそれは突っ込みというよりマジレスだよね。」
「ふ……気づかれてしまったか…。」
「自覚してるの!?」
「ばっかお前、最近の俺の趣味って言ったらあれだぞ。Twitterでネタ動画、ネタ画像、あげてるやつにマジレスをリプして場の空気を最悪にすることだぜ?自覚というかむしろ自賛してるね。」
「うわ………、お兄ちゃん、さすがにそれは救えないよ……。」
「友達いなくても当たり前じゃな。」
散々な評価を受けているが、これはやってみると案外ざまあなものである。とにかく自分の好きなものアンチしてくる人たちは徹底的にアンチするそれがTwitterの正しい使い方だ、違うか?いや違うか。
「ここじゃ。」
「………?」
「いや、ここじゃ、とか言われても、ただの管理室じゃねえのか?」
見るからにそこは電源などを管理しているマンションの安全設備の扉のようにしか見えなかった。ここはマンションという私有地なので多少木々に隠れるとはいえ、管理人が確認しているのでこっそり秘密の巨大基地を地下に作るなんてことは絶対できな……
「この扉は私が作った。この先にはエレベーターがあって地下3000メートルの場所に離陸のための空港施設をつくらせてもらった。」
「駄目だ。ストーリーがテンプレすぎる……。」
「そんなこと言われても………、ここの住人にばれないようにするにはこうするしかなかったとしか言えない。今は地下にいろんな機能が張り巡らされていて、安全を見て気圧が非常に高い3000メートルに仕方なく作ったが、海まで持ってくのはなかなか大変だったぞ。」
「知らんわそんなん。」
「大丈夫なの?」
「ああ。私が操作を誤らなければ死ぬことはない。」
「そ、そう?」
フェリスがトートバックからあるカギを取り出すと、それをさして扉を開けた。
中は薄暗くしばらく下の階段が続いたが、間もなくエレベーターと思わしきものが見えた。
「これが例のエレベーターか。」
「ああ。時速90キロメートルで進む。」
「速いな!自動車と同じぐらい速いぞ!」
「圧力操作がされてあるから、酔うことはないはずじゃ。」
圧力とはあのエレベータが進む時と止まるときのあの感覚のことだろうか。小さい頃は窓のついてるやつであれを味わった時恐怖でちびりそうになったことが、あれ、ていうかちびったんだっけ。まあどっちでもいっか!(忘れたいことは都合よく書き換えられてしまうのである)
中に入るとそこは畳4畳分ぐらいの、割と広いスペースになっていた。一体ここから何を運び出していたのかは想像しないが、人が入るにはだいぶ余裕がある。て言うかもっと狭いほうがフェリスや里音と密着できただろうが。何やってんだここの設計者!(だが冷静に考えてみれば3人で密着するほど狭いエレベーターは使い物にならなかった)
なんてことを考えているうちにエレベーターはおなじみの「ピンポン」という音を立てて終着した。
「ここが、空港?」
「暗いな。」
「機体に明かりがついているから十分じゃ。それ以外は必要ない。」
「そういえば空港ってことはだれかが運転するってことだよね?」
「だな。でもだれが運転するんだよ?」
「そんなのユーキに決まってるじゃろ。」
「オマエハナニヲイッテイル。シニタイノカ?」
「死人に死にたいかどうか問われる筋合いないんじゃが……」
「死んでねえよ!!」
「冗談はこれくらいにしておいて、もちろん運転するのは私じゃ。」
「まじか……万能の神様とはこのことか。」
「違うと思うけど。」
フェリスはノーベル賞を取り、王族で、かつ運転できる幼女、ということなのか。もう怖いものなしだな。
裕希たちはその後、道をまっすぐ進み、小型機程度の機体の中に入った。
「中は思ったよりきれいだな。」
「お兄ちゃん怖い、もう帰ろうよ。」
「なんだよたけし、びびってんのか?」
「今私のことたけしって言った!私だってお兄ちゃんに怒ることぐらいあるんだからね!!」
「今のは乗ってくれてたんじゃねえのかよ……」
「ここは青鬼は出現しないので安心してほしいんじゃが、危険はほかにもたくさんあるので、一応注意事項をしておく。」
なぜ異時空から来たはずのフェリスがこの世界のネタをたくさん知っているのかは気になるが、注意事項は何となく重要そうだ。
「会話をするときはこのマイクを通してしてくれ。それは専用のイヤホンから聞くことができる。」
「なんでいちいちそんなことをするのか聞いていいか?」
「――――――お前、中学校とかで習わなかったか?衝撃波についてとか?」
「何のことかわかんねえよ。」
「機体が一定に速度を上昇させると、やがて音速にたどりつくのは分かるか?」
「お、おう。」
「それはつまり機体が音とおんなじ速度で走る瞬間が一瞬でもあるということになる。そうすると機体はその瞬間にものすごく大きな衝撃が起きる。まあ、簡単にいえばこれが衝撃波じゃ。で、それを超えるとこんどは機体が音より速い速度で飛ぶので後ろから放つ音は前の人に届く前に、後ろへ消えていってしまう。」
「なるほど。だからマイクを使って音を前に出している訳か。」
「うむ。ただししゃべる時は後ろを向かないと、マイクにすら声が届かないからな。」
「了解した。」
しっかし、音速を超える速さを出してどうするつもりなんだろう?マッハ3を超えればころせんせいとおんなじ気分になれるのかな、いやなれねえか。
ほかにも席の移動や座席にかかる負荷など、一般の飛行機と似たような説明を受け、勇気と里音は、運転席の後ろの席に座った。
「あ、あともうひとつ」
「なんだよ?」
「さ、サトネのこと、リオンって呼んでいいか?」
「は?」
「あだ名じゃよ!深い意味はない。里音という感じはサトネだけでなく、リオンとも呼べるじゃろう?」
「いやそうだけども。」
「いきなりなんで?」
「―――――――――――。」
里音は黙ってしまった。て言うか俺にもあだ名つけろよな。俺あだ名つけてくれるような名前じゃないからか。まあそもそもあだ名をつけてくれる友達がいないまであるからな。(無限ループって怖くね?)
「まあ、よかろう?」
「うん、わかった。」
「なんか腑に落ちねえけど……」
「そなたには関係のない話じゃろう?」
「関係ないまでいうか……。」
機体が滑走路につくまでそんなことを話しながら待っていた。どんだけ広いんだよここは。
2週間ぶりぐらいでしたねww
恐縮ですが、この後1カ月ぐらい書けなくなるかもしれません。
僭越ながらアクセス者数1000人超えました!地味にうれしいww




