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戦う司書さんと勇者と魔王  作者: 星砂糖
山村と 爆裂王女と 冒険者
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Page50「6人でお風呂」

以前ティアが入った時にあった湖予定の大穴は、現在水で満たされている。

穏やかな水面には、時折吹く風で小さく揺れている。

そんな癒される自然を目の前に、クレア達のテンションは最高潮になっている。


「さぁ!まずは体を洗うよ!」

「わかったニャ!」

「この石鹸やな〜!」

「洗うのじゃー!」

「……洗う……」

「ゆっくり洗いますね」


2人だけ平常運転だが。

石鹸と体を洗う布は6個置いてあったので、それぞれが手にしている。

クレアとチャコはかけ湯を念入りにした後、泡だてて髪を洗い始める。

カコはかけ湯をした後、リッカにお湯をかける。

シュトはそれを見ながらかけ湯をして、リッカを洗うため泡だてる。

ティアはクレアとチャコから距離をとってかけ湯している。

2人のことが嫌いなわけではない。

少し勢いが怖いだけである。

服を剥がれたので。

あのまま近くにいるとリッカのようにクレアとチャコに洗われそうなので、距離をとっている。

普通に洗われるならいいのだが、今の2人のテンションで洗われるのは嫌だったようだ。


「いい泡立ちだね」

「モコモコニャ」


全身泡だらけになったクレアとチャコ。

クレアは胸に泡を盛り付け、シュト並みにして遊んでいる。

チャコは幾重にも泡を纏い、羊のようになっている。

猫顔の羊のである。

2人は気づいていないが、頭を洗っているティアが手を止めてまで、チャコをじっと見つめている。

その視線をシャボン玉が遮る。


「ぼばぁー」


口から泡を吹き出しているリッカだった。

メモリアで使っている石鹸からは甘い匂いがしている。

そのせいで食べられると勘違いしたのか口にしたようだ。


「食べたらあかんやん!ペッてしぃ!」

「ぼばぁー!」

「……っ!っ!……」

「ぼぁあああああ!!!」


カコとシュトは大慌てだった。

それを気にせずに泡を吐きまくるリッカ。

幸いにも飲み込んでいないようだが、口から泡を出すのを楽しんでいるようで、齧った塊を吐き出さない。

竜をベースにした身体能力のなせる技なのか、とても長い時間泡を出している。


「はー。竜ってすごいね」

「ニャー」


体についた泡を落としながら泡を吐くリッカを見るクレアとチャコ。

クレアの肌は洗う前よりツヤツヤしている。

チャコの体毛は洗う前よりツヤツヤしているが、萎んでいる。

濡れたことによって、水を含んで重くなったからだ。

それを見たティアは脇を腕を上げて脇を洗っている状態で固まった。


「ティアちゃんはまだ洗ってないんだね」

「私が洗ってあげるニャ」


萎んだチャコがティアに近づいていく。

ティアは腕を上げた状態で後ずさる。


「怖くないニャ〜。優しくするニャ〜」


手をワキワキしながら近づくが、それに恐怖を感じているわけではない。

萎んだチャコが怖いのだ。

ただ、チャコはそれに気づいていないのでさらに追い詰める。

ついには胸の前で布をギュッとするほどだった。

それを悪いと思ったのか目を瞑って布を差し出すティア。


「んふふ〜。ようやく観念したニャ〜」

「はい」


ティアとチャコの思いは別だが、互いに納得しているので洗い始める。


「動いたらあかんで〜」

「のじゃー」

「……手を上げて……」

「動いていいのかー?」

「……場所が違う……」

「のじゃー?」


リッカはカコに頭を洗ってもらいながら、シュトに体を洗ってもらっている。

前回は小竜の状態でお湯ぽちゃしたので、体を洗うのは初めてだった。

そのため2人にされるがままになっているが、それぞれ異なるお願いをして混乱していた。

口から泡は出ていないので、吐ききったようだ。


「こっちは洗い終わったから先に入ってるね」

「綺麗になったニャ!体を洗うのに目を閉じる必要はないニャ!どうしたのニャ?!」

「いえ、大丈夫です」

「本当ニャ?ならお湯に入るニャ」


ティアを洗い終わったチャコを見て、クレアがシュトに声をかける。

ティアが洗われている間浴槽の縁に仁王立ちしていたクレア。

前面をみんなに向け、首だけで湖を見ている様は、顔だけ抜き出せばとても絵になっていたが、全裸だったので魅力は半減以下だった。

チャコに洗われたティアは、終わってからも目を瞑りチャコを見ようとしない。

まだ萎んでいるので。

チャコに言われて目を開けても、湯船だけを見て入っていく。


「あぁ〜〜〜〜〜。いいお湯〜〜〜〜〜」

「ニャ〜〜〜〜〜。濡らしたタオルで拭くだけとは全然違うニャ〜〜〜〜〜」

「ふぅ…綺麗です」


クレアとチャコはティアが膝立ちで丁度いい深さになるところに座り、満喫している。

ティアは2人から離れ、1番浅いところに座って湖を眺めている。


「ティアー!」

「ぶっ」


泡を流したリッカが飛び込み、水しぶきがティアにかかる。

リッカはそのままお湯の中でティアに抱きついてじゃれている。


「ティアー!ティアー!」

「どうしましたリッカちゃん」

「ツルツルなのじゃー!」

「ツルツルですねー」


互いに肌を触り合う。

お湯から出ている肩や手を触りあっているだけなので問題ない。


「いいね〜」

「姉妹みたいニャ〜」

「ええな〜」

「……いい……」


銀髪ストレートの少女と白髪くせっ毛の幼女が全裸で戯れているのだ。

心温まる姉妹のじゃれ合いに見えるだろう。

それを見たクレア達も癒されているので。


「そういえばリッカちゃんは何歳なの?」

「んー?4つなのじゃー!」


クレアの質問に指を5本立てて答えるリッカ。

それでは5歳である。


「4つだと指はこうするニャ」


チャコは親指を曲げて見せる。

リッカはそれを見ながら指を曲げて、再度宣言する。


「4つなのじゃー!」

「うんうん。今度は合ってるね」

「リッカちゃんは私の2つ下なんですね」

「のじゃー」

「ティアちゃんは私たちの6つしたやね〜」

「……妹と同じ……」


体を洗ったカコとシュトがお湯に入りながら話にも入ってくる。

シュトの妹は現在6歳のようだ。


「これはなんじゃー?」

「……んっ……」

「それは邪魔な物やねん。千切ってもええで」

「リッカちゃん。千切ったらダメですよ」


リッカが自分とティアとカコの胸を見た後、クレア、チャコ、シュトの胸を見る。

自分にないものがあるので気になったのだろう。

この中で1番大きなシュトの胸を両手で鷲掴みにして、聞いてきたがシュトが答える前にカコが怨念のこもった声で千切れと言った。

カコの胸はクレア達4人の中で1番小さいので。

カコの言葉に、ティアが慌てて否定するが、リッカは元から千切るつもりはないので揉み続けている。


「それはおっぱいニャ!子供を産んだらお乳が出てくるところニャ!」

「おっぱい!スノーウルフにはいっぱいあったのじゃ!人は2つなのかー」

「う〜ん。2つで1おっぱいだと思うんやけど、どう思う?」

「どうでもいいニャ!」


チャコがおっぱいの説明をするとリッカは納得したが、カコがおっぱいの数え方に疑問を持ったらしいがチャコは一蹴した。


そんな感じでのんびりと温泉で過ごしていたら、目の前の湖の真ん中に突然島が現れ、増えた体積分水が溢れた。


「何?!」

「島が出てきたニャ!」


クレア達は警戒しながらも様子を見る。

今度は石造りの橋が島からでき始め、目の前の岸まで繋がった。


「今度は橋やな〜」

「……一瞬……」


橋で繋がった島には何もなかった。

しかし、急に大きな屋敷が建ち、周囲を壁で包み込んだ。


「今度は屋敷と壁?」

「何が起こってるニャ!」


ティアとリッカ以外の4人は立ち上がり、屋敷を睨みつけている。

ティアはペンシィがやったとわかっているのでのんびりと、リッカはよくわかっていないのでティアと同じようにしている。


「あれ〜。ティアちゃんはここの説明してないの?」


言いながらペンシィが全員の前に飛んできた。

クレア達4人はペンシィ目で追っているので、精霊が見えるようだ。


「初めまして!ティアちゃんの契約精霊ペンシィです!このお風呂やあっちの屋敷や湖、山に草原をこの異空間に作ったのはアタシ!だから、作って欲しいものがあったら言ってね!」


ペンシィのウィンクが炸裂した。

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