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#09

 あの変態男子生徒の名前を知ってから、数時間後。


「陽平、かぁ……」


 名前を聞いた瞬間、思わずドキッとしてしまった。まさか、彼があの日以来所在不明となった陽ちゃんだとでもいうのだろうか。確かに、名前の漢字も一緒だし、似ている顔だと思った。だが、真白が好きなのは寺園(てらぞの)陽平だ。もし、彼が本物の陽ちゃんだとしたら、今まで酷い態度をとってきてしまった。もしかしたら、嫌われた可能性も――


(――いやいやっ! きっと、いや、絶対別人だよ! ほら、世界に同じ顔は二、三人いるって言うしね! 『陽平』って名前だって、探せばいるだろうし! それに、名字は違うし! なにより、本物の陽ちゃんはあんなふうに変態じゃないもん!)


 いろいろ自分に言い聞かせてみる。すると、なんだか虚しいような楽なような、変な気持ちになった。


(……にしても、遅い)


 実は、真白は今昇降口であの彼 鈴原をさっきからずっと待っているのだ。その理由は、休み時間に誘われて了承してしまったから。誘っておいて人を待たせるなんて、最低な男だ。

 すると、階段の方からなにやら賑やかな声が聞こえてきた。嫌な予感を感じながらも見てみると、案の定鈴原がやって来た。それも、数人の男子生徒と女子生徒を連れて。

 まさか、この人達も一緒という訳ではないだろうか。そう考えながら鈴原に声をかけると、どうやら違ったようだ。その人達は、集団で昇降口を出ていった。鈴原に手を振りながら。


「……これ、私じゃなくてもよかったんじゃ……?」

「ん? 何か言った?」


 べつに、と真白はそっぽを向いた。鈴原は首をかしげる。真白より早く靴を履き替えた鈴原は、真白に向かって「行くぞ」と楽しそうに声をかけた。

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