#04
だが、ある日を境に、六人の間にひびが入り始めた。
「おっ、二人とも、おせーぞ!」
先に公園で待っていたリュウちゃんとタクちゃんが、只今来たヒカリと真白に声をかける。すると、リュウちゃんがある異変に気づいた。
「あれ? カホはどうした?」
いつもヒカリと真白の二人と来ているカホの姿が、今日は無いのだ。首をかしげるリュウちゃんに、ヒカリは答えた。
「勉強するから遊んじゃダメって、ママに言われたって」
カホは少し前から、持ち前の頭の良さをたくさんの人々に評価されていた。それをいい事に、カホの両親は、カホに中学受験をさせる事にしたのだ。そのため、カホは今まで以上に勉強量が必要となった。つまり、遊ぶ時間が減ってしまったのだ。
「そうか~……」
「ねぇ、陽ちゃんは?」
次は、真白が異変を感じとり、問いかけた。カホと同様、陽ちゃんはいつもリュウちゃんとタクちゃんと一緒に来ている。なのに、今日は何故かその姿が見あたらなかった。
「それがさぁ、なんか知んないけどいないんだよなぁ」
「そうそう。家に行っても、誰もいなかったし」
リュウちゃんとタクちゃんは、顔を見合わせて頷く。
変だ。学校には来ていたのに、帰ってすぐいなくなるなんておかしすぎる。
「まぁ、待ってればそのうち来るでしょ」
笑うヒカリに、そうだよなと男子二人は賛成した。
だが、待っても待っても陽ちゃんは来なかった。嫌な予感がした真白は、三人に陽ちゃんを探す事を提案した。だが三人は、用事があったとか、親に怒られてるとか、そう推測して真白の案を却下した。明日会える事を信じて、今日は別れた。
だが、次の日から、陽ちゃんは学校に来なくなった。すると、学校ではいろんな噂が出始めた。退学しただとか、転校しただとか。だが、五人はどれも信じなかった。陽ちゃんが何も言わずにいなくなる訳がない、そう信じていた。
そうしていくうちに月日は流れ、卒業間近となった。多くの児童が吹雪中学校に自動的に入学となるので、悲しさとかそういうのはなかった。
そんな星屑小学校に、ある情報が入ってきた。
吹雪中学校の隣に、新しく中学校ができたという事だ。その名は、静風中学校。ここらの児童は殆ど吹雪中学校に入学するため、毎年大量の生徒が入学していた。それを見かねて、隣に新しく中学校を造ったのだ。隣と言っても、ピッタリ隣り合わせという訳ではない。多少は離れている。
そんな静風中学校に、星屑小学校からも何人か入学が決まっていた。その中に、ヒカリとタクちゃんの名前もあったのだった。真白やリュウちゃんやカホ、勿論陽ちゃんの名前は無い。つまり、二人とバラバラになってしまうという事だ。そんな時、カホの中学受験が行われ、見事合格した。そのため、カホも別の中学校への入学が決まってしまったのだ。
そんな感じで卒業式を迎え、真白達は無事小学校を卒業した。
卒業式の約一ヶ月後に、中学校の入学式が行われた。真白とリュウちゃんは吹雪中学校、ヒカリとタクちゃんは静風中学校、カホは都心の進学校、陽ちゃんは所在不明のまま、中学生になった。
中学生になってからの真白は、小学校の時より多い生徒数にビクビクしながらも、普通の生活を送れていた。最初の頃は、クラスが別になってしまったリュウちゃんとよくリュウちゃんのクラスに行って話していたが、最近はクラスでできた友達との会話が増え、リュウちゃんとの間に距離ができてしまった。この前久々に会いに行ったら、いつの間にかリュウちゃんは他県に転校していた。話を聞くところによると、静風中学校に入学したヒカリとタクちゃんは、高校進学の際に、離れてしまったという。こうして、幼馴染み六人はバラバラになってしまったのだ。
ずっとスマートフォンにつけていたお揃いのキーホルダーも、いつの間にかボロボロになってしまい、終いには紐がちぎれてしまった。六人を繋ぐ、唯一のもの。真白は、ベッドの棚に大切に飾る事にしたのだ。
未だに所在不明の陽ちゃん。真白は、今でも陽ちゃんの顔を忘れたつもりはなかった。