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夢幻犬鏡 ※整備中  作者: 奥瀬
第三章 吾罪鏡 鎌倉公方足利氏満のこと
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義政の首

 初めて会ったときから気に入らなかった。

 小山小四郎義政。

 いや、昨年入道して永賢と名乗っていたか。

 その顔が、今、目の前にある。

 自害後五日にあって、やや傷み始めた首級。

目の下には黒々とした隈が縁取られ、己れの死を言立(ことだ)てる。

 剃髪した頭部は幾分青味がかかっている。髪は人の死後も伸び続けるというが、その証しか。それとも激しい戦いのただ中にあって、手入れが行き届かなかったためか。

 義政の首は鷲城の南庭で実検が行われ、氏満はそれを座敷から眺めていた。

 変わり果てた姿。

 閉じられた目も口も、二度と開かれることはない。

「もう良い、下げよ」

 家臣に命じる。

――京までもつかな。首は腐らぬよう櫃に酒を入れて浸さねば。

 首級は義満に送る。

 四百年前の平将門の故事にちなみ。

「まさか己が城で、予に首を晒すなど思いもよらなかったであろうな」

 氏満は誰にともなく呟いた。


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