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24話

 絶景が見下ろせる窓辺で、絶賛ふてくされ中の私にハイネス君は苦笑する。

 ちなみに美少年顔ハイネス君は年下だった!

 私が21歳(で、いいよね。実際に人だったときは21歳だったし。)で、ハイネス君は19歳だそうです。この世界では男性が18歳、女性は16歳で成年として扱われるから、彼も一応、大人の男性らしい。

 私の感覚だとまだ未成年なんだけどなー。


「今回の作戦は単純に申し上げれば、自国のことを自慢しまくってお前がハンカチ噛んで悔しがるまで惚気てやるよ!ということらしいです。」

「……にー(あーそー)」


 そもそも作戦名がグッダグダに長いうえに内容がまんまわかっちゃうっていうのもどうかと思うけどね!

 なんなのよ、自慢しまくって惚気って!

 由梨さんってもう王様とラブラブなわけ!?

 え、私の知らないうちに、私の由梨さんじゃなくなっちゃったの!?

 えぇぇええぇえ!私がちょっとお昼寝してる間に?!


「ミャーコ様は金色の瞳を持つ貴女という存在が、どれほどの稀であるかお分かりですか?」

「にゃ?…みーぃぁ(なに急に?…そういえば前に聞いた気が)」

「ご存知でしたら、俺の手を叩いてください」


 そういうとハイネス君は手を私のいる出窓に置く。

 顔だけ見るとても白くてほっそりしているのかと思ったけど、意外と大きくてごつごつしてて、剣を握っているからなのか、指のあちこちには豆が何度もつぶれた跡が残っていた。

 えーと…金色の瞳…前にチュニアさんがなんか言ってたなぁ。

 ドラゴンとの会話がーとか神様の眷属がーとか…。

 てへ、忘れちゃった。誤魔化すように尻尾を出窓に置かれたハイネス君の手に乗せて撫でるように何度か往復させた。


「…俺も詳しくはないので簡単に。」


 とりあえずわかったことは、金色の瞳を持つのはこの世界では特殊な存在ってことらしい。

 ドラゴンでも東西南北と中央の国にいる5人 | (5匹?)だけで、中央以外のドラゴンは王様とつがい以外の人とは会話ができないらしい。

 他の動物にも金色の瞳がいるけど、こちらは人の言葉を理解しても、人に言葉を伝えることはできない。

 なので、由梨さんと会話をする私の存在はみんなにとって摩訶不思議ということですね。


「…まぁ、自慢とか惚気とかもあるんでしょうけどね。ミャーコ様のことをアッシュアニヴェル様がとても心配をしていらして、エイラ国のドラゴン、白のエルディナ様に一度見ていただきたいと内密に依頼をされていたそうです。ただユリ様のつがいの件もミャーコ様のことも公表はできない秘匿事項ですので、こうやって王妃候補が外遊のためにエイラ国へ出向く、ということになったのです。」


 まぁ、実際に先に手を出してきたので仕返しをしたいという気持ちもしっかりあるみたいですけどね。と苦笑するハイネス君に私は首をかしげる。


「に?(ほへ?)」

「ミャーコ様がユリ様と言葉を交わしていらっしゃる、我々ともこのように意思の疎通をしてくださるということはまだエイラ国へは内緒です。きっとあちらの国は、女神のような女性が金色の瞳のネコとともに我が王のもとを訪れた、という情報だけで、比較的、手を出しやすいミャーコ様へちょっかいをだしてきたのでしょう」

「みゃ、にゃーーぁぅ(それじゃぁ、私はむこうへいっても狙われやすいんじゃ)」


 安全だって言い聞かされてた青の宮でも手を出されてたんだし、悪の総本山へ行ったりなんかしちゃった日には、身の安全も何もないんじゃない!?

 悪の組織に解剖される自分を想像して、ぶわっと毛を逆立てる。

 ちなみに解剖しようとして私を手術台へしばりつけて高笑いをしているのはジルで想像しました。


「特務騎士は、一時的に騎士の通常任務から離れて、ドラゴンのために行動をするときになのる役職です。なので、俺は今、国王ではなく、アッシュアニヴェル様のために働く騎士であり、今はアッシュアニヴェル様からミャーコ様の護衛を任されている、ミャーコ様の騎士です」

「み、みゃーぅ…(わ、私の騎士って…)」

「しっかりとお守りしますので…お出かけの時は、声をかけてくださいね」


 ハイネス君の美少年顔に似合わないごつごつとした手がゆっくりと私の頭から背中を撫でる。

 ふむ…なかなかに手慣れた心地よさです。

 思わず目を細めて、軽く喉を鳴らすと、今度は指先で私の喉元をくすぐってくる。

 由梨さんほどじゃないけど、なかなかの手さばき。

 只者ではないと見た!

 のど元をくすぐる指先に、じゃれるようにして前足をタシタシとあてると、ハイネス君が笑い声をあげる。


「ははっ!ミャーコ様は可愛いな!」

「にゃーぁう!(もっと褒めてもよろしくてよ!)

「いてて、爪は出すなよ~」

「みゃう、にゃーー(ふははは、手加減はしないー)」


 普通のネコなら噛んだりもしてじゃれるんだろうけど、さすがに噛まずに前足だけでハイネス君とじゃれあってると、勉強をひと段落させてぐったりとしている由梨さんと遣りきった表情で満足そうなイールさんが部屋から出てきた。


「おや、もうミャーコ様と親しくさせていただくようになったのですね」

「あ、はい。」

「あー…ハイネス君いいなぁ。…ミャーコちゃーん!」

「にゃー!(ばっちこーい!)」


 走り寄ってくる由梨さん。

 私も出窓からジャンプしてその豊かな二つの柔らかな山脈へダイブさせていただきます!

 ガシッとわたしを受け止めてくれた由梨さんが、癒されるぅ、と繰り返して私へ頬ずりをする。


「では、お茶をいれてきますね」

「あ、俺が!」

「いえいえ。我ながら、自分で淹れる紅茶が一番口にあいますので、結構ですよ」


 イールさんがお茶を準備してくれている間、私はずっと由梨さんの柔らかい腕の中を満喫させていただきました。




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