1/46
わたくしは
わたくしはネコである。名前はまだない。
ンなことはない。私は人間だし、名前も一条 都という立派かどうかは解らないが、両親が愛情こめてつけてくれたものがある。
そうだ、私は人間だ。明日から新社会人としてバリバリ…かどうかはわからないけど、しっかりと働く、勤労意欲に燃えている成人した女性だ。そのはずだ。
ではなぜ、私の視界はこんなに低いのか。
もともと160センチあった身長だ。特別高くもなく、特別低くもない。普通の身長だった。
それがどうだ、今は目の前の45リットルゴミ袋がとてつもなく巨大に見える。
しかもなぜか体は自然と四足歩行。
ベッドで寝ていたはずが、目が覚めればゴミ袋に埋もれていたので驚いて声を上げてみれば、耳に聞こえたのは「ニャッ」というちょっと和みそうな可愛らしい、泣き声。
ジタバタもがいたときに見えたのは、真っ白い毛皮。
おーけー。りょーかい。理解した。
わたくし、一条都は、ネコになりました。
暗転。