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俺と私と三人目の僕  作者: 海産物Ver.2.5
第二章 不思議な力の話
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第Ⅵ話

かなり時間があいてしまいました、すみません。

一応、まだ続けるつもりなのでこれからもよろしくお願いします。

「....んで、ここが生物講義室。むこうが実験室で......なんだよ、こっちずっと見て」

「.......いや、体育館裏とか連れて行ってくれないのかなって」

千夏は不思議そうに僕を見てくる。

何を考えてるんだ、このアホは。

「変なこと考えてないで、次行くぞ」

「ま、待ってよ」

千夏を置いて次の教室に向かった。


「........やっと終った」

「何よ。そんなに嫌だったの?」

「ああ、嫌だったね」

回り切れなかったので、授業を挟んで放課後にも案内をした。

その間中、千夏はずっとからかってきやがった。

「なんで、そんなにテンションが高いんだよ」

「.........知りたい?」

「......別に」

「それはね......」

「別にと言ったはずだが」

「ふふっ。もう、照れちゃって」

「照れてねーよ」

花のような笑顔、ひまわりのような笑顔で見つめてくる。

「な、なんだよ」

「..........君がいるから」

その小さな声は、外から聞こえる野球部の掛け声にかき消されて、僕の耳に届くことはなかった。

「.....聞こえなかったんだが」

「..............秘密だよ」

千夏は、何かを探すようにポケットをまさぐる。

そして、見つけたのか、ポケットから何かを取り出した。

その手を開けていく。

「......石?」

「正解」

握られていたのは綺麗な緑色の石だった。

石には穴が空いていて、首から掛けるためか、紐が通されている。

「これ、あげる」

「......え?」

「というか、唯のだからね」

「.......は?」

「だからさ.......これは唯が持つべき物なの」

「......意味がわからないんだが」

「まあ、普通はね」

鞄を持ち教室を二人で出た。

「大切にしなさいよ」

石を投げ渡しながら、千夏は走っていく。

「気をつけてね!」

「あ、ああ」

一応、石は首に掛けておくことにした。


千夏と別れた後、後ろから妙な視線を感じるようになった。

背中には何も無いし、悪口も書かれてもいない。

気のせいということにして歩き始める。

〈.....おい〉

「.......」

〈.......おいって〉

声が聞こえる気がする。

まわりを見るが僕に話しかけてきている人はいないようだ。

ナヴィアの時みたいに巻き込まれるのは.......懲り懲りなのかもしれない。

.........うん、無視しよう。

〈無視するなって〉

頭に響いてくる、苛立ったような声。

「.....あの、誰?」

〈おうおう。やった話す気になったか〉

仕方なく、聞いてみる。

響いてくる声は、満足そうに返事をしてきた。

〈俺はお前だ。お前も俺だ〉

「......意味わかんないんだけど」

〈その内分かるようになるさ〉

「........さいですか」

響いてくる声はどこかで聞いたことのある声だった。

..........何処で?

あ、そうか。

この声は僕の声だ。

聞いたことがあるのは当然といえば当然なのか?

.......ん、待てよ。

この声が本当に僕だとしたら..........僕は二重人格になってしまったのか?

「.......別に毎日が苦しいわけではない.........と思うんだけど.........多分」

〈何、ブツブツ言ってんだよ〉

本当に僕なのだろうか。

「君さ........本当に僕なのか?」

〈さっきからそう言っているだろう。まあ、どちらかというと、お前が俺を生み出したんだがな〉

「..............マジかよ」

〈おいおい、なに冴えない顔してんだ。.......それより〉

声、俺が真剣な声で呟いてくる。

その瞬間には既に、空気が重いものに感じられていた。

〈......ちゃんと、気づいているようだな〉

「......一応は、ね」

これと同じ空気は一度感じたことがある。

そう、勇者と戦った時だ。

ジリジリと感じられる、視線とプレッシャー。

〈.....俺と代われ〉

「......どういうこと?」

と、その時だった。

右目が熱い。

まるで燃えているように。

いや、右目からは炎が出ていた。

紅い、それはとてつもなく紅かった。

.......あの石と同じような色をしていた。

「な、なんなんだ、これ!」

〈ウォォォォォォォ!〉

目の前が真っ赤に塗りつぶされていく。

そして意識さへも真っ赤に..........


「........いいね」

俺はその場に立っていた。

そう、僕ではなく俺が。

「お前ら全員、紅く紅く染めてやるぜ」

狂った俺が立っていた。

「隠れてないで、出て来いって言ってんだろうが」

意識の底の方で僕は見ていた。

身体が自分の意志では動かない。

まるで入れ替わったように.........

紅く染まった瞳。

すでに炎は消えていた。

僕の髪は一部分、紅く染まっている。

そして、僕には感じられた。

俺の瞳に映るものがすべて、敵に見えていることを。

「............潰してやるぜ!」

狂った叫びは、空気を震わしていった。

できれば、感想かいて欲しいと思います。

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