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俺と私と三人目の僕  作者: 海産物Ver.2.5
第一章 魔王と共に勇者を倒す話
4/11

第Ⅲ話

本来なら、これは第Ⅴ、Ⅵ話のぶんです。

もし最初に投稿した第Ⅲ話を読んでしまった方はもう一度、第Ⅱ話から読み直してください。

すいませんが、よろしくお願いします。

 「どういうことだよ?」

 勇者を倒せって、言われてもどうすればいいかわからない。

 それに勇者って、普通はいい人で魔王のほうが悪者の気がする。

 そのことをナヴィアに言うと頬を膨らませながら、

 「それは逆ですよ!」

 と、心外そうな顔をされた。

 「だって魔王なんだろ。それに世界征服って.....」

 「だから違うって言ってるじゃないですか!」

 確かにナヴィアを見ていても別に怖いというわけではないし、むしろかわいいとさえ思うぐらいだ。

 それに何かを企んでいるようには見えないし.........

 「私が言う世界征服とは、私たち魔族と魔法が使えない無族との共存なんです。別に恐怖で縛ろうとかではないんですよ。その逆で、恐怖で縛ろうとしているのは勇者たち、無族なんです」

 「でも、どうやって征服しようとしてたんだ?」

 「話し合いです。無族の人たちと話し合うことで誤解を解き、共に共存をしようとしていたのです。なのにあの勇者と名乗る無族、ミリアムはそれを妨害、阻止しようとしてきたんです」

 「.........ふーん、なるほどね......」

 実は勇者のほうが平和を壊そうとしているということね.........

 「わかったよ......僕にできることなら手伝うよ」

 「ホントですか!ありがとうございます!」

 「で、俺はどうすればいいんだ?」

 「そうですね........例えば」

 ズドーーン

 「な、なんなんだ!」

 「魔力の気配がします!」

 「魔力ってことは......ナヴィアの仲間?」

 玄関から急いで外に出ると、そこには色とりどりのカラフルな鎧を纏った変な奴が。

 ナヴィアが降ってきたところと同じ所にだ。

 髪形を整えている。

 変なコスプレといい、今いる場所といい.......降ってきたのはこいつだろう。

 あれ、空間魔法ってナヴィアしか使ったらいけないんじゃ........

 「.......唯さん、あれです!あの変態が勇者ミリアムです!」

 「おや、ハニー。折角の再会なのに酷い言われようだよ」

 「.........キモ.....」

 あまりのキモさに、つい呟いてしまった。

 「さあハニー、僕たちの世界に帰ろう」

 「....ひっ。近づかないで!」

 ミリアムが剣を抜いた瞬間、凄まじい風が起こり僕たちを襲ってきた。

 しかし、ナヴィアが風を起こしそれを相殺する。

 「いいね~、この感触!」

 あれ、勇者って無族だから魔法を使えないんじゃなかったっけ?

 「一つ言っておくことがあります。あの変態は魔法を使えます。ちなみにあれは魔族ではありません」

 「じゃあなんで空間転移できたの?」

 「あれは私たち魔族の血を吸うことにより魔法を使ってるんです!」

 「........吸血鬼なわけか」

 吸血鬼が勇者って........

 剣を縦と横、十字をきるように振るう。

 すると、炎がでてきた。

 もちろん僕らに向かってだ。

 「ホント、気持ち悪いです!」

 ナヴィアがそう言うと今度は水路から水が出てきて龍の形になり炎を飲み込んでいく。

 なんかすごすぎて動けない。

 水の龍は炎を飲み込みながら進んでいき、ミリアムを飲み込もうとして......

 「しまった!」

 ナヴィアの背後にミリアムが姿を現す。

 「ハニー、これで終わりだ」

 振り上げた剣をナヴィアに下していく。

 「危ない!」

 ガキィィィン

 ミリアムの剣が鉄製のバットによって軌道をずらされた。

 玄関に立てかけていた僕のバットだ。

 「やるな、少年!」 

 「っ!」

 横を叩きうまく弾けたものの、振動で手が痛んだ。

 「まだまだ始まったばかりだぜ少年!」

 「っが!」

 わざと殺さぬようにミリアムは僕の肉を切り裂いていく。

 手を、足を。

 そして、ミリアムは片手でナヴィアの相手をしていた。

 「先にハニーから葬ってあげるよ」

 剣を持ってないほうの腕に赤い光が集まっていく。

 「なにあれ.......私見たことない!」

 「当り前さ。専用の魔術だからね」

 ナヴィアはいつの間にか黒い蔦のようなものに動きを封じられた。

 「いくらキミでもすぐには解除できないだろっと!」

 そして次第に赤い光は槍のの形になりミリアムはそれを投げた。

 「!」

 動けないナヴィアは、避ることはできない。

 だから.........

 「..........えっ?」

 赤い槍はナヴィアに届くことはなかった。

 「自分から死にに来るとはね」

 そう、僕に刺さっていたから。

 助けようと庇いはしたが、まさかここまでうまくいくとは......ね。

 我ながら、なかなかいい死にかたじゃないかと思う。

 ナヴィアにあった数時間前の出来事から、幼稚園での楽しかった思い出まで。

 思い出しながら僕は笑い、そして倒れた。

 これって走馬灯ってやつか。

 ああ、僕の人生っていい人生だったのかな.......

 薄れゆく景色の中、僕は自分の手に石を握っていることに気付いく。

 あれ、これって.....夢で.........まあ、もう関係ないよな。

 槍はぼろぼろで血だらけになった僕の胸に刺さったまま、赤く輝いている。

 もし僕に......もっと力があれば......

 そして、僕の握っていた石は砕けた。

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