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俺と私と三人目の僕  作者: 海産物Ver.2.5
第二章 不思議な力の話
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第Ⅹ話

久しぶりに更新します。

その時の僕には、驚きしかなかった。

千夏の声はまた、無機質なものに変わっていた。

「.......なるほど、使えないわけか」

千夏は僕の首を絞めながら言う。

「.......力を使えないなら、そのまま死ぬがいい」

「......が....ぅ」

息ができない。

苦しい。

意識がだんだんと遠のいていく。

「....あ.......あ......」

腕の力が抜けていく。

結局、情けないことに意識を失った。


その場の空気が変わったことに、千夏だけが気づいていた。

後ろからは、仲間が数人現れた。

だが、そのせいではない。

目の前で気を失っているはずの少年が原因である。

「E-20、作戦は終わったのか?」

仲間の一人がそう尋ねてくる。

応えようとした時、意識を失ったはずの少年が突然呟いたことに、私は驚いてしまった。

「...........動かないでね、千夏ちゃん」

透き通った少女の声で........

「っつ!............何なんだ奴は!」

「.....データには載ってないぞ!」

十人ほどいた仲間は、私を含めて三人しか生き残っていなかった。

他はすべて、地面に倒れている。

目の前の少女によって、私たち以外は一瞬で吹き飛ばされたのだ。

「この!」

仲間の一人が持っていた剣で少女を殺そうとする。

が、その刃は届くことなく、もう一人も含めて蹴りでなぎ倒されてしまった。

「ふぅ、終わった終わった。いっや、久しぶりの体は動かしにくいね」

「.........あなたは誰?」

「........私?」

それはすでに、少年ではなかった。

後ろで縛った髪は深緑に染まっており、こちらを不思議そうに見るその瞳はエメラルドのように煌めいていた。

少しはだけたシャツからは、女性のものとしか思えない胸が谷間を作っていた。

「私の名前は青葉ツカサよ。よろしくね、千夏ちゃん」



「..........あれ?」

目が覚めると、そこは自分の部屋だった。

時計を見てみると、数時間しかたっていなかった。

「.........僕、死んだんじゃ?」

何かがさらさらと首筋をくすぐる。

虫でも止まっているのだろうか?

振り向くがなにもない。

元に戻すと、やはり首筋に違和感を覚える。

手で触れてみるとそれは自分の髪と思えないぐらいの、まるで絹を触っているようだ。

「.........髪、こんなんだったか?」

妙に身体が重たいようなことを除けば、特に変わらな........

「僕ってこんなに胸あったっけ.........って、なんじゃこりゃ!」

それは、女性の胸だ。

そう、男の俺にあるわけないもの。

なんでこんなもんが付いてるんだ?

しかも、さっきから首筋に当たっている髪の毛。

「なんか、腰まであるんですけど!」

「静かにしてください!」

思はず、声を出してしまっていたようだ。

下から、ナヴィアの声が聞こえてくる。

..........それに、足音も。

「く、来るなナヴィア!来ちゃだめだ!」

ドアの向こうに向けて叫ぶ。

しかし、こちらの制止の声も届くことはなく、ナヴィアが部屋に入ってきた。

「もう、朝から騒がないでくださいよ!ご近所迷惑です。そもそも、帰ってきているんなら声ぐらいかけてくださいよ。昨日、どこにいっ.........?」文句を言いきるうちに気づいたのだろう、ナヴィアの言葉が止まる。

そして.........

「どどどどど、どちらさまですか、なンでこの部屋にいるんですか、もしかして唯さんの彼女さんですかそれともやっぱりた............」

「お、落ち着け!僕だよ、僕!」

「......ゆ、唯さん?」

じっと、僕の顔やら身体やらを観察しながら、つぶやいた。

「..........嘘ですね」

「え?」

「アナタは唯さんではありません。なぜなら............唯さんは男の子ですから!」

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