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プロローグ【血のクリスマス】

2017年、クリスマスに成り立ての深夜。


ニューヨークの中心部、きらびやかに飾りつけられた巨大なツリーの周りで、所狭しと、恋人達が聖なる夜を祝っている。


年に一度の事ではあるが、それでもありふれて感じる平和な光景。


そこにいる誰もが、これからも永遠に続くであろう無償の平和を信じて止まないでいた。




――――瞬間。




夜を照らす紅い太陽。女神像の真上、はるか彼方にあまりにも眩しく、狂おしく、現れた。



紅い光りに導かれるように、全ての視線が、その紅に集まっていく。




あまりに突然であまりに理解し難い目前の存在が、人々の思考すら停めてしまったのだろうか。

不思議とざわめきは聞こえない。

街灯とイルミネーションが閃く紅い闇を、不吉な静寂が支配する。




空の黒を切り裂く紅い一線。


―――沈黙は破られた。



とてつもなく激しい轟音と共に、自由の象徴は、一瞬で崩れさり、その周囲一帯を強烈な熱波が燃やし尽くした。


建物は放心円状にどんどん破壊され、人はことごとく、死んだ。


ある人は断末魔と共に臓器まで焦がし、ある人は四肢を無惨にまき散らし、ある人は灰すら残さず、文字通り消え失せた。

そして、ことごとく、死んだ。



かつて、合衆国のシンボルとして聳え建っていた女神像は跡形もなく、代わりに、半径にして1キロメートル近い虚無の空間が地のはるか底まで続いている。



たった数秒の出来事だった。


その数秒で、合衆国の巨大都市は廃墟と化した。

自由を司っていた大都会は、瓦礫で埋葬された憎悪の象徴として生まれ変わったのだ。



そして―――

























「―――したがって、我々アメリカ合衆国はこの悲劇を決して忘れる事はない。我々をはじめ世界中の人々がこの悲劇を許しはしない。断罪の剣を右手に、正義の盾を左手に、悪に屈せず立ち向かう事を、今、ここに誓う!」




―――新人類と旧人類との壮絶な戦争の幕が切って落とされた。

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