第128話 最終話にならなかった
大志は還暦になると早々と組長の座を大和に譲り、自分は楽隠居生活をすると宣言。そんなにうまくいくかな?大雄さんは楽できていないもんね。
そんなわけで、白虎組組長は五代目の大和になり、若頭として大斗がサポートするような形になった。
大斗は大輝にPC習ってるよね?大輝ほどできないにしても、人並み以上には…。
五代目の姐さんは香ちゃん。若頭夫人は遊佐ちゃん。4人の中で遊佐ちゃんだけちょっぴり若いかな?
二人とも子供産んでるし、育児との両立もしなきゃでこれから忙しくなりそう。
大和は毎日の日課として、組員に地域の清掃をボランティア活動の一環でするようにした。
「今日も行くぞ。ついて来い、皆の衆!と、その前に。三代目とその姐さん。俺達が厄介ごとに巻き込まれないように見守っていてください!」
と、神棚に手を合わせる。
ちょーっと待て!私も大雄さんもまだ死んでないって!大雄さんはもう90才近いけど現役だし、歯だってしっかり生えてるわよ。8020運動なんのそのよ!
惜しむべきは、新橋と蘭さんが亡くなっちゃったのよ……。
大雄さんも凹んでたし、茜ちゃんも凹んでたなぁ。
そう!組に医師が足りないと思うのよ!遊佐ちゃんがちょーっと若作りしていろんな大学の大学祭に顔を出して、よさげな医学生をスカウトしてくれないかなぁ?と思うんだけど。ココに籍を置くってけっこう根性がいることだと思うのよね。大地が行ければいいんだけど、まだ13才でしょ?かなり無理あるし。独り者で、奨学金で医学部に通ってる子とか?理想的よねぇ。親という縛りもないし、奨学金ならココがポーンと払っちゃうし?
遊佐ちゃん一人で大学祭なんて心配だなぁ。うーん、大佳?大佳が医学の心得あるといいんだけど、赤川小を二人預けちゃったからなぁ。
あとは大翔とか?でもなぁ…爆乳二人を歩かせるのはどうかと思うのよね。
香ちゃんに五代目の姐として期待するのがいいかな?姐と若頭夫人の初仕事!いいじゃない?
「おい、俺はまだまだ元気だ。ユキもいろいろと検討するみたいだけど、こういうのを考えるのはお前らの仕事だ!いい加減俺らに楽隠居生活をさせてくれよ…」
そう言いながらも、大雄さんはこの仕事が好きみたいです。
私はちゃんとした姐さんになれたかな?
~おまけ~それから7年後
俺は81才、ユキは75才になってた。さらに言えば、ひ孫まで存在する。
今は出先から屋敷に帰る途中の車の中。ユキは何気なく外を見ている。やっぱり俺のユキは最高だなぁ。外を眺めるユキを俺は眺めていた。
ユキがある店を真剣に見ていることに気づいた。
写真館。
入口に飾られているウェディングドレス着て写真に写る花嫁が羨ましく見えたようだ。
思えばユキをあの家から連れ出し、籍を入れたものの式は挙げていないし、やっぱりウェディングドレス着たかったんだろうか?
「ユキ、ウェディングドレス着たかったのか?」
「違うのよ?そんなワガママ。蘭さんもみんな着てないじゃない」
俺は知っている。あいつらが俺に黙って写真だけは撮っていたことを。
「写真だけでもこれから撮らないか?」
「え?だってこんなおばあちゃんになっちゃって」
ユキはそう言うけれども、恥じるほどの年寄りくささはないと俺は思う。
「そうだなぁ。和装は今の年代で。洋装はユキが屋敷に来たばかりの頃に合成ってのはどうだ?見開きで過去と現在がわかるんだ。昔のユキがウェディングドレスかぁ。さぞかし、可愛いだろうなぁ」
「今はそんな技術が?」
「大輝に笑われるぞ。そのプログラムを作ったのはあいつだし。サンプルをかなり見て作ったらしい。しかも引きこもりの時に既に構想を作ってて、産休中に完成させたそうだ。あいつのPC技術はスゲーな。犯罪捜査にも一役買っているらしい。表向き白虎商事の秘書だからな。表が作ったソフトを警察が使うのはOKなんだろう?」
数日後、俺とユキは写真館で和装と洋装の写真を撮ることとなった。
「大雄さんは年齢に関係なく、タキシードも似合っててステキです」
そんなことを言われたら俺の理性さんがまたどこかへ旅立ってしまう!
「ユキだってウェディングドレス姿、どこに出しても恥ずかしくないぞ?」
「私が恥ずかしいからやめてください!」
「そうかぁ?そこら辺の若い花嫁よりも魅力的だと思うんだけどなぁ?」
「欲目ですよ!」
「いやいやお二人とも美男美女でいらっしゃる。若い時はさぞかしモテモテだったんでしょうな?」
「そうでもないぞ?ユキは二十歳前に俺が俺の屋敷に連れ込んでるからなぁ」
「いやはや血気盛んだったのですね~」
「とはいえ、俺はユキ一筋だぞ!」
「お熱いことで」
軽口で話しながらも写真を撮り続ける。
「若く合成するなら、もっといちゃついた方がいいのか?」
「そうですねぇ、二人見つめ合ってお姫様抱っことか?」
「そんなんでいいのか」
俺はもっとイチャイチャするもんだと思ってた。先入観て怖いな。
年をとってもユキはオバサン体型になったりしなかったから、以前と変わらず軽かった。屋敷に連れてきてからは少し体重が増えたけど、健康的になったというのか?
和装では、ユキには着付けが必要なかった。普段から着物だからなぁ。
俺は慣れてないから、スタッフの方に着せてもらった。屋敷から持ってきた俺の爺さんが着てた紋付袴。
「うわ~!大雄さん素敵です!それはうちの家紋ですか?」
「そうらしい。いちいち名前があるらしいが、この家紋はなんだろう?ま、いいやユキの白無垢もいいなぁ。角隠し(?)か?」
「多分、和服って難しいですね。着るのはできるんですけど。メイクとかはスタッフさんにお任せしました。女性スタッフさんですよ?大雄さんはすぐ嫉妬しちゃうからなぁ」
「んなっ。まるで俺の心が狭いみたいに言うなよ」
「そうは言ってませんよ?」
俺が立った状態で、ユキは着席で写真を撮った。洋装の時と違って何枚も撮るわけじゃなく、せいぜい3・4枚だ。
後日、改めて写真館に行くと写真が完成しているらしいので、後日に行くことにした。
その後日写真館に行くと、ビックリした。
結構な大きさで俺とユキの写真が写真館の入口を飾っている。
「ご主人~!驚くじゃねーか!許可なくあれはビビるじゃねーか」
「いやぁ、お二人の写真の洋装バージョンは合成するととんでもない美男美女になってこちらが驚きましたよ!」
俺は24才くらいの頃美男だったのか?ユキは美女だったと思う。19才だったからだろうかまだちょっとあどけなさを残しつつの美女。ユキの両親が身体を売るように強要してなくて本当に良かったよ。
写真の中のユキは俺が見ると、なんだか久しぶり過ぎて『久しぶりに会った親戚の子』みたいな感じだった。
ユキは写真の俺を見て「うわ~!懐かし~!大雄さんもこんな時期があったんですよね!」と結構頓珍漢な事を言っていた。
和装の俺たちはもうなんだか落ち着きすぎていた。やんちゃの欠片も感じられない。それでもユキは「袴の大雄さんも素敵ですね~!」と言っていた。普段から袴……。いや慣れていないから駄目だなぁ。紋付の袴だし、これは大志に継承すべきものだよな。
写真館の主人には俺の職業をはっきりと伝えて、「店の正面に堂々と俺の写真なんか貼ったら、俺の命を狙うやつらがこの写真館をマークするようになるぜ?」と伝えた。
翌日には店の正面に飾られていたちょっと大きめの写真は撤去されていた。もったいないので、その写真は俺が個人的に引き取って俺とユキの部屋に飾っている。
ユキが満足そうでよかった。
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