表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ビール物語~醸造家の異世界転生~  作者: 麦汁酵生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/104

第一話 山に落ちた醸造師と、最初のラガー

大麦おおばく かもすは、湯気と麦芽の香りに包まれて生きてきた男だった。


 三十五歳。独身。実家もなく、呼べるほど親しい友人も多くはない。小さな町工場のようなクラフトビール醸造所で、仕込み、発酵管理、瓶詰め、清掃、出荷まで一通りをこなす毎日。華やかな仕事ではない。だが、彼はその地味さを嫌いではなかった。むしろ好きだった。麦を砕く音も、糖化槽をかき混ぜる重みも、ホップを入れた瞬間に立ちのぼる青く鋭い香りも、酵母が発酵しているタンクのかすかな息遣いも、すべてが愛おしかった。


 誰かに必要とされることは少なくても、ビールは嘘をつかない。


 丁寧に造れば、丁寧な味になる。手を抜けば、ちゃんと濁る。


 それだけは、醸にとって救いだった。


 事故が起きたのは、冬の終わりの仕込みの日だった。ラガー用の麦汁を仕込み終え、冷却器の点検をしていた時、老朽化した足場が不意にきしみ、崩れた。咄嗟に手を伸ばしたが届かない。視界が傾き、ステンレスの配管と白い天井がぐるりと回った。


 最後に感じたのは、冷たい床の硬さではなく、不思議なほど強い麦の香りだった。


 ――ああ、もったいないな。


 せっかくいい仕込みだったのに。


 そんな、職人らしいのか間抜けなのかわからない感想を最後に、彼の意識は暗闇へと沈んだ。


     


 次に目を開けた時、そこにあったのは、見慣れた醸造タンクでも病院の白い天井でもなかった。


 青かった。


 どこまでも高い空が、青かった。


「……は?」


 醸は仰向けのまま、まばたきを繰り返した。耳に届くのは風の音。近くで沢が流れる音。土と草の匂い。頬に触れるのは、ひんやりとした山の空気。


 体を起こす。途端に、背中に張りついていた草がざわりとこすれた。


「ここ……どこだ……?」


 見渡す限り、山だった。急峻な斜面に針葉樹が並び、その合間に白い岩肌が覗いている。遠くには雪を戴いた峰。手前には野花の群生。人工物らしいものは何一つない。


 頭を打ったのかと考えたが、痛みはない。むしろ、驚くほど体が軽い。事故前まで慢性的に重かった肩も、立ち仕事でこわばっていた腰も、妙に楽だった。


 醸は立ち上がり、ポケットを探った。スマホはない。財布もない。作業着ではなく、見たこともない麻と革でできた簡素な衣服を着ている。足元は丈夫な革靴だ。


「……夢じゃ、ないよな」


 呟いた瞬間、茂みの向こうで何かが吠えた。


 低く、獣じみた声。


 醸は反射的に振り返る。藪を割って現れたのは、狼に似た生き物だった。だが普通の狼ではない。肩の高さが醸の胸ほどもあり、毛は灰色ではなく岩のような黒。額の中央には短い角が一本生えている。唇の隙間からのぞく牙は、包丁より長く見えた。


「おいおいおい……!」


 逃げようとした瞬間、足がもつれて転ぶ。斜面の小石が滑ったのだ。情けない声を上げる間もなく、角狼は飛びかかってきた。


 死ぬ。今度こそ。


 そう思ったその時、


「伏せろッ!」


 鋭い女の声が山に響いた。


 次の瞬間、銀色の閃光が横薙ぎに走った。角狼の体が宙でひねられ、血しぶきとともに地面へ叩きつけられる。間髪入れずに炎の矢が三本、一直線に飛来し、獣の肩と腹と喉元に突き刺さった。


 轟、と火が上がる。


 角狼は苦悶のうなりを漏らしながらなお立ち上がろうとしたが、最後は首筋に深く突き立てられた剣によって、完全に動きを止めた。


「……大丈夫?」


 息を切らせながら現れたのは、赤茶の髪を後ろで束ねた若い女剣士だった。革鎧の上からマントを羽織り、片手剣を握っている。年は二十代半ばほど。目つきは鋭いが、声には気遣いがあった。


 その背後には、杖を持った小柄な少女がいた。白金色の髪に、青いローブ。こちらはまだ十代のように見える。


「え、あ、はい……たぶん」


「たぶんじゃ困る。噛まれてない?」


「いや、なんとか」


「よかった……。でもこんな山の中で丸腰って、正気じゃないよ」


 女剣士は呆れたように息を吐いた。


「私はレティシア。後ろにいるのがミーナ。山道の巡回依頼で来ていたの。あなたは?」


「……大麦、醸です」


「オーバク……?」


「あー、呼びにくければカモスで」


「カモスね」


 レティシアは頷いたが、怪訝そうな顔を崩さない。


「このあたりの人間じゃないわね。身なりも妙だし」


「それは……」


 異世界転生です、などと口にして信じてもらえるだろうか。醸が言葉を選びかねていると、ミーナが杖の先でちょんと地面を叩いた。


「レティ、血」


「え?」


「この人、腕」


 言われて醸は初めて、自分の左前腕に浅い裂傷があることに気づいた。転んだ時岩で切ったのだろう。痛みはたいしたことがないが、じわじわと血がにじんでいる。


「この程度なら治癒魔法で――」


「ミーナ、魔力残量は?」


「さっきのでかなり使った。村まで保たせたいなら節約したい」


 レティシアが苦い顔をする。どうやら先ほどの炎の矢は彼女ではなくミーナの魔法だったらしい。


 醸は傷を押さえながら、ふと鼻をひくつかせた。


 香りがした。


 風に混じる森の匂いでも、血の匂いでもない。もっと乾いて、甘く、そして芯のある香り。麦芽に似ている。いや、似ているどころではない。醸造所の仕込み室で、粉砕したての麦を両手で掬った時の、あの香りだ。


 彼は吸い寄せられるように周囲を見回した。そして斜面の一角、岩陰に群れて生えている背の高い穂を見つけた。


「……麦?」


 金色に近い淡い色の穂。だが普通の大麦より粒が大きく、うっすらと光を帯びている。まるで朝露そのものが実になったような、不思議な輝きだった。


 醸はふらふらと近づき、一穂を摘み取る。指先で揉むと、殻の内側から現れた粒は、確かに麦だった。ただし、彼の知るどの品種よりも香りが強い。


「神麦……?」


 レティシアが目を見開いた。


「知ってるの?」


「いや、今初めて見た。でも……」


「でも?」


「これ、ビールになる」


 沈黙。


 山風がびゅうと吹き抜けた。


 レティシアが真顔で言う。


「カモス。助けた命の恩人として忠告するけど、今は頭を打ってる場合じゃない」


「いや打ってないです。本気です」


「その草で?」


「草じゃなくて麦です」


「違いがわからない」


「世界が違ってもそこは譲れない」


 醸は思わず強く言い返していた。するとミーナが、こてんと首を傾げた。


「びーるって、なに?」


「麦を発酵させて造る酒だよ」


「お酒?」


「うん。でもただ酔うためだけのものじゃない。ちゃんと造れば、人を元気にする」


「怪しい薬売りみたい」


「否定できないな……」


 自分でもそう思い、醸は苦笑した。


 だが、胸の奥では確信が芽生えていた。この麦はただの麦ではない。香り、粒の張り、表面に宿る微かな熱。素材としての力が、異様なほど強い。


 醸造師として長年鍛えられた感覚が、鐘のように鳴っていた。


 ――これで仕込め。


 ――これなら、できる。


 レティシアはしばらく考え込んだのち、ため息をついた。


「とにかく、このまま山に置いていくわけにもいかない。村まで来なさい。事情はそこで聞く」


「助かります」


「その代わり、変なことしたら縛るから」


「普通のサラリーマンに言う台詞じゃないな」


「さらりーまん?」


「なんでもないです」


     


 山裾の小村グランエッジは、十数軒の石造りの家と、木柵に囲まれた畑、それから小さな鍛冶小屋を持つだけの素朴な村だった。村の背後には深い森が迫り、前には清流が流れている。剣と魔法の世界、という言葉をそのまま形にしたような風景に、醸は歩きながら何度も目を見張った。


 村人たちは見慣れない醸に警戒したが、レティシアの説明でひとまず納得したらしい。もっとも、「山で拾った」「神麦を見てビールと言い出した男」という紹介は、納得というより困惑を招いていた気もする。


 醸は村の空き小屋を一つ借りることになった。壁は粗い木板、屋根は藁葺き。だが雨風はしのげるし、裏手には清水を引いた桶まである。何より、部屋の片隅に古い銅鍋が置いてあった。


 村の共同炊事場で使われなくなった大鍋だという。


 醸の目が変わった。


「これ、借りていいですか」


「鍋を見てそんな顔する人、初めて見たわ」


 レティシアが半歩引きながら言う。


「それと、できれば木桶と布、それから火に強い石釜……いや、簡易炉でもいい。あと麦を砕く道具、縄、広めの板、できれば発酵容器」


「待って、増えた」


「発酵がいるんです」


「知らない単語が増えた」


「大丈夫です、説明します。たぶん」


「たぶんって言ったわね今」


 村長は最初難色を示したが、角狼の素材の処理を手伝う代わりに道具の貸与を認めてくれた。醸は礼を言い、その日のうちに神麦の採取に出た。レティシアが護衛につき、ミーナも興味津々でついてくる。


 山道を登りながら、醸は穂を見極めて刈り取っていく。熟しすぎたものは外し、粒の詰まったものだけを選ぶ。指で軽くしごくたび、金色の粒が掌に落ち、陽光を受けてほのかに輝いた。


「そんなに選り好みするものなの?」


「する。原料は誤魔化せない」


「魔法より面倒ね」


「魔法より面倒だけど、うまくいった時はたぶん同じくらい感動する」


 そう答えた時、醸は自分でも驚くほど自然に笑っていた。


 事故の前、自分はこんな顔をしていただろうか。


 仕事は好きだった。けれど、生活は好きになりきれなかった。誰のためでもなく、ただタンクの前で歳を取っていく感覚。帰っても暗い部屋。コンビニ弁当。眠って、起きて、また働く。


 だが今、山の風は冷たく、空は広く、手の中の麦は未知の光を宿している。


 生きている、と強く思えた。


     


 仕込みは翌朝から始まった。


 まず神麦を天日で軽く乾かし、村から借りた石臼で粗く砕く。殻を活かしつつ中身を割るのが理想だが、道具が違う以上、完全にはいかない。それでも、砕いた途端に立ちのぼる香りは圧倒的だった。蜂蜜のような甘さに、青草の清さが混じる。


「すごい匂い……」


 ミーナが目を丸くする。


「だろ」


「まだお酒じゃないよね?」


「まだ麦だよ。でも、この段階でいい香りのものは強い」


「強い?」


「飲み物として」


 醸は大鍋に清水を張り、温度を確かめながら砕いた神麦を入れる。本来なら温度管理はもっと厳密にしたい。だが温度計はない。手と目と経験だけが頼りだ。


 ゆっくりとかき混ぜる。糖化。デンプンを糖に変える、大事な工程だ。


 鍋の中身は次第にとろみを帯び、香りは柔らかく変化していく。焼きたてのパンにも似た甘い匂いが小屋中に満ち、外で見ていた村人たちまでそわそわし始めた。


「なんか、腹減ってきた」


「それ、成功の兆候です」


 醸はどこか誇らしげに言った。


 濾して麦汁を取り出し、煮沸する。普通ならホップが必要だ。だがこの世界にホップがあるかもわからない。仕方なく、今回は神麦の持つわずかな野性味だけで組み立てることにした。あくまで最初の試験醸造。狙うのは複雑さより、素直さと清らかさ――つまり、彼にとっての“基本のラガー”だった。


「これで本当にできるの?」


 レティシアが腕を組む。


「酵母がいれば」


「こうぼ?」


「発酵させる小さな働き手みたいなものです」


「見えないの?」


「見えない」


「じゃあ魔法と変わらないじゃない」


「……確かに」


 醸は苦笑しつつ、冷ました麦汁を木桶に移した。問題は酵母だ。市販酵母も純粋培養もないこの世界で、自然に存在する微生物に頼るしかない。


 だが、神麦の穂をよく観察した時、表面にほのかな白い粉のようなものが付いていた。野生酵母。あるいは、この世界特有の何かか。


 賭けだった。


 醸は選り分けた穂を少量だけ麦汁に浸し、祈るような気持ちで桶に蓋をした。


 その夜、彼はほとんど眠れなかった。


 桶の中で何が起きているのか。腐敗か、発酵か。もし失敗すれば、ただの怪しい男で終わる。けれど成功すれば、ここで生きていけるかもしれない。


 朝日が昇る前に起きて、小屋へ駆け込む。


 耳を澄ませる。


 かすかに、ぷく、ぷく、と音がした。


「……っ!」


 醸は思わず息を呑んだ。


 蓋をわずかに開ける。中から立ち上る香りは、昨日までの甘い麦汁とは違う。青い果実のような発酵香。その下に、整った麦の芯がある。


 生きている。


 酵母が、生きている。


「できる……!」


 誰に聞かせるでもなく叫んだ声に、外からミーナが飛び込んできた。


「なに、爆発!?」


「いや、発酵!」


「似てるようで全然わかんない!」


 結局、村人たちまで集まってくる騒ぎになった。醸は説明し、待ち、香りを確かめ、また待った。数日の発酵を経て、簡易的に澱を沈め、さらに冷たい沢水に桶ごと浸して落ち着かせる。


 本来のラガーほど低温で長くは熟成できない。だがこの世界の神麦は、常識を少し飛び越えていた。液体は驚くほど早く澄み、金色の輝きを増していった。


 そして七日目の夕方。


 醸は木のカップに、その液体を注いだ。


 泡は粗い。透明度も完璧ではない。設備不足を思えば、出来栄えは七十点。それでも、夕陽を受けたその色は、確かにビールだった。


「これが……びーる」


 ミーナがごくりと喉を鳴らす。


「酒なんでしょう? 村で飲ませて大丈夫なの?」


 レティシアはまだ半信半疑だ。


 醸は一度目を閉じ、香りを取った。麦の甘み、ほのかな草のような清涼感、野生酵母由来と思われる微かな果実香。口に含む。軽い。だが薄いわけではない。清らかな飲み口の奥に、神麦そのものの生命力が流れている。


 ――うまい。


 素朴で、未完成で、けれど確かに、世界で最初の一杯だった。


「レティシア」


「なによ」


「腕、出して」


「は?」


「こないだの戦いで切ってただろ。浅いけど」


 レティシアは顔をしかめたが、左手首のあたりを差し出した。確かに薄く傷が残っている。


「これを飲んでみて」


「実験台?」


「まあ、そうとも言う」


「正直ね……」


 周囲の視線が集まる中、レティシアは覚悟を決めたようにカップを受け取り、ひと口飲んだ。


「……え」


 彼女の目が見開かれる。


「なにこれ、冷たい。山水みたいなのに、もっと……すっと入る」


「傷は?」


「え?」


 レティシアは自分の手首を見た。


 薄い切り傷が、見る間に淡い金の光を帯び、じわりと塞がっていく。新しい皮膚が下から生まれるように、みるみる傷痕が薄れていった。


 しん、と小屋が静まり返る。


「……治った」


 レティシアが呆然と呟く。


「ほんとに?」


 ミーナが覗き込む。


「治ってる。痛みもない」


 次の瞬間、村人たちがどっとざわめいた。


「治癒薬だ!」


「いや、酒だろ!?」


「酒で傷が治るわけが」


「でも今、見ただろ!?」


 ミーナが目を輝かせた。


「ねえ、魔力切れにも効く?」


「それはまた別の造り方が要る気がする」


「造れるの?」


「たぶん」


 醸は答えながら、手の中のカップを見つめた。


 ラガー。


 彼の世界では、最も広く親しまれ、最も基本とされるビールの一つ。それがこの世界では、疲労や傷を癒やす“回復薬”になった。


 ならば、エールなら。ホップやスパイスを使えば。小麦を混ぜれば。燻せば。長く熟成させれば。


 ビールの数だけ、奇跡があるのではないか。


 村長がふらつく足取りで一歩前に出る。


「カモス殿」


「はい」


「これは、あんたが造ったのか」


「造りました」


「もう一度、造れるか」


「原料と道具があれば」


「なら、うちの村を救ってくれ」


 年老いた村長は、深く頭を下げた。


「この山は魔物が多い。薬は高い。怪我人が出るたび、町まで何日も運ばねばならん。あんたの酒が本物なら、何人もの命が助かる」


 醸は言葉を失った。


 前の世界で、彼のビールは“美味しいですね”と言われることはあっても、それ以上の意味を持つことは少なかった。もちろん、それで十分だった。十分なはずだった。


 けれど今、自分の造った一杯が、誰かの命を救うと言われている。


 胸の奥が熱くなる。


「……わかりました」


 醸は静かに答えた。


「俺、造ります」


「おお……!」


「ただし、適当にじゃない。ちゃんと設備を整えて、原料を選んで、もっと安定して造れるようにする。そうしないと続かない」


「それはもちろん」


「あと」


「あと?」


「できれば、ちゃんと味にもこだわりたい」


 一瞬の沈黙のあと、レティシアが吹き出した。


「命を救う酒の第一条件がそれ?」


「大事だろ」


「……まあ、飲んでわかったわ。たしかに大事ね」


 ミーナが元気よく手を挙げる。


「わたし、飲む係やる!」


「それは誰でもやりたがるだろうな」


 笑いが広がった。


 小さな村の小さな小屋で、金色の液体が夕陽を映して輝く。


 大麦 醸は、その光を見つめながら思った。


 自分は死んだはずだった。何も残せず終わるはずだった。


 だが、もしこの世界がもう一度やり直す機会をくれたのなら――今度こそ、ただ生きるだけじゃない人生にしたい。


 ビールで、人を救う。


 ビールで、居場所を作る。


 ビールで、この異世界に自分の名を刻む。


 その始まりは、山の神麦から造った、素朴な一杯のラガーだった。


 まだ誰も知らない。


 この無名の醸造師が、やがて王国中で“ビール薬師”と呼ばれることを。


 そして、その奇跡の酒を巡って、数多の欲望と陰謀が渦巻くことを。


 けれど今はまだ、第一歩でいい。


 木のカップを掲げ、醸は小さく笑った。


「乾杯だ」


 異世界の風が、小屋の窓を抜けていった。


 麦の香りを運びながら。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
かもすぞー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ