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第5話 ルームズ魔術具店


「おじゃまします」


 小さく呟いて店の中に入ると、中は意外と綺麗にしていた。ヴィンテージ風の店内でパッと見だとバーのようにも見える。

 もうすでにヘルは店員さんと話し始めていた。


「あぁ来たきた。このハルキの杖を探してるんじゃ」


 ヘルの言葉に合わせて俺は小さく頭を下げる。

 すると、店員さんは目を見開いて俺をじっと見る。


「こいつ、何者ですか」

「妾のパートナーじゃ」


 一瞬転移してきたと悟られたかと思ってビクッとしたが、大丈夫だったみたいだ。

 っていうか俺ヘルのパートナーなのかよ。


 すると、店員さんは奥に下がって行ってしまった。


「ハルキ、杖の候補を何個か選んでくれるそうじゃ」


 ヘルにそう耳打ちされる。

 無愛想な店員さんだが、意外と優しいのかもしれない。

 杖ってどんなのだろう。大きいのか小さいのか、何で作られてるかさえ検討もつかない。

 すると、店員さんが何かを持って戻ってきた。


「ヘル様、こちらが候補です」


 そういい、持っていた杖を並べ始める。大きいのも小さいのも合わせて4つ持ってきていた。


「1番左から説明します。これは約1000前に作られた杖で初心者にも扱いやすいです」


 このような感じに、各杖の説明を店員さんがし始めた。

 2つ目、3つ目も同じような感じだったがラストの4つ目は少し違った。


「これなのですけど……」

「どうしたのじゃ」

「オススメなのですが、少々めんどくさい代物で」


 そう言うと店員さんは4つ目の杖を手に取って振り始めた。4つ目だけ少し、小さい。


「これは妖杖なんです」


 あとから聞いた話だが妖杖とは基本的には誰かの遺物で通常よりも高い力を持ったり、特殊な魔術が使えるが、使用者を選ぶものらしい。もし杖が使用者を気に入らないと、暴走して使用者を殺してしまう場合もある、とのことだった。

 そんなやばいものオススメしてたのかよ。


「お好きなものをお選びください」


 そうして店員さんは4つ並べた杖を俺たちの方に押し出す。

 目の前に並んだ杖に若干引き気味の俺だが、当たり前にこういうのに慣れているヘルはひとつずつ手に取り感触を確かめる。


「ヘル、どれがオススメとかあるか」

「妾のおすすめはこれじゃ!持ってみるんじゃ」


 そう言うとよりによってあの妖杖を渡してきた。

 これって合わなかったら殺されるってやつだよな?!


 そうして俺は、妖杖の柄にゆっくりと手を伸ばす。

 恐る恐る手にした瞬間異常は起こった。


「杖が光ってる」


 俺が手にした瞬間杖は青白く光り始めた。

 ただの冷たく、重い杖だったがこんなことになるのか。


「ハルキ、反応してるんじゃ!これと合うかもしれん!」


 ぴょんぴょんヘルが跳ねる。これには店員さんも驚いたみたいだった。


「不思議ですね、通常はこのようにならないのですが。選ばれた人なのでしょうか」


 店員さんが興味深そうに考え込む。

 それにいい気になっちゃった俺は思わず言ってしまった。


「これにします」


 俺なら使いこなせるはず、というのが俺の目論見だ。


「さすがハルキじゃ!」


 隣では何故か嬉しそうにヘルがニコニコしている。

 

 


 

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