番外編15 氷の女王降臨!
──サラ視点
式まで、あと【3日】!
ドレスの最終チェックも終わり、引き出物も詰め終えた、そんなある朝。
「第一王子殿下の御一行、まもなく王都に到着されます!」
という知らせが──
はい来ました、兄上!!!
ですが!
今回は「お一人」じゃないのです!!!
この日、私たち侍女組は全員、予感していました……
王宮がざわつくほどの大事件が起きるって!!!
なぜなら!!!
あの“氷の女王”が来るんですからあああああ!!!!!
———
ということで、走って玄関ホールに到着。
まず現れたのは、
旅の疲れも見せず笑顔満点の、我らがジーク様!!
「おっ、サラちゃん!久しぶり!」
……って!!!まさかの名前呼びきたあああ!!!
(実は以前、私が推し語りを延々してしまったことがあってですね……
そのとき、ジーク様は「いや〜面白いね」と言ってくれたんです。優しかった……)
でも今回の主役(衝撃度的に)は、その後ろ。
銀髪を風になびかせ、冷ややかで美しすぎるオーラをまとった女性。
深いブルーグレーの瞳。長いマントの動きすら優雅。
そう、彼女こそ――
イザベル・フォン・フェルディナント。
かつて王妃であり、今は摂政としてフェルディナント王国を支えていた女性です。
「初めまして。……私は、イザベル・フォン・フェルディナントと申します」
え!?え!?名乗ってくださるんですか!?
サラ、昇天しかけました。尊い、気高さとはこのことです!!
———
さてここで、ちょっと解説タイム!
イザベル様は、元々フェルディナント国の先代国王と政略結婚され、王妃となった方でした。
しかし、イザベル様と先代王にはお子様がいません。
元々政治にお強いイザベル様は、夫君が急逝されて以降、王妃としてではなく、「摂政」として国を統治してこられたんです。
なぜ摂政かというと——
現在のフェルディナント王国の正式な王は、
なんと、前国王の弟(すでに故人)の息子、まだ5歳の幼子なのです!!
そのため、イザベル様は現在、その幼い王が成人するまでの間、摂政として国政を担っているというわけ!
そんなイザベル様に!
ジーク様が!!
恋をした!!!
交渉に次ぐ交渉!時に押し!時に引き!
何度も「百年早い」と言われながらも、諦めずに求愛を続け……!
そしてついに!!!
重い鉄の扉が開いたのです!!
イザベル様はもう王族じゃない。
かつて先代国王の正妃ではあったけれど、
今は政治家として、国の未来を担う存在。
今回、ジーク様が“王配”になるわけではなく、
外交官として彼女のパートナーとなり、国政を支えていく関係として調整が整ったそうなんです。
──これ、地味にすごくないですか!?
恋と信頼が両立してる……すごい……!!!
———
そんなお二人が今、アストラ王国にやってきた!!
さて、我らがエステル様。
このお方と、ついにご対面となりました!!
王宮の応接間。
深く頭を下げたエステル様は、静かに言いました。
「本日は遠方よりのご参列、心より感謝いたします。イザベル様とこうして言葉を交わせること、光栄に存じます」
……完璧っっっ!!!
語彙も声の調子も完璧すぎて、隣のマーク様が頷いてましたから!
イザベル様が続けます。
「こちらこそ会えて嬉しいわ。
聡明で、礼節を知り、芯の強い女性。まさに、王国の誇りに相応しいわね」
えええええええええええええ!!!?
それ、氷の女王に最大級の賛辞をもらってますよ、エステル様!!!
エステル様、頬をほんのり染めながら、それでも背筋はぴんと。
「身に余るお言葉です。ジークハルト様のような方にお慕いされるイザベル様のようになれるよう、私も日々精進いたします」
やばい、私泣きそう。
ジーク様はというと、
「あ〜、やっぱり二人って似てるかもなあ」なんて言いながらワイン飲んでました。
(いやあんたが言うと全部薄まるんですけど!)
そのあと、イザベル様とエステル様が静かに微笑み合ってお話されてて、
それを遠巻きに見ながら、殿下とジーク様が何やら視線だけで会話していて……
(なんなの!?この場の尊さと気品の暴力!?)
王宮の空気が、明らかに上質になりました。
今、空気が高貴。肺が品格を吸ってる。
———
そして私は、思うのです。
あの自由なジーク様が、本当に“守りたい”と思った人。
その想いが叶って、並んで歩いている姿を、こうして見られるなんて。
推しの幸せは……世界の宝!!!
……さあ、結婚式はすぐそこ!
王宮には今、愛の形がいくつも花開いてます。




