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第三十七話 推し語り!第一王子に全力プレゼン!



私、エステル様付きの侍女 サラ です!


今日はめちゃくちゃ すごいこと が起こってしまいました!!


な、なんと……!


第一王子ジークハルト殿下が、私のような侍女にも気さくに話しかけてくださったのです!!!



ひゃ~~~っ!!!(心の中で歓喜の雄叫び)



いやいやいや、ちょっと待ってください!?


普通ですよ!? 王族が侍女なんかに話しかけるなんて、普通ありえませんよね!?



でも、ジークハルト殿下は違ったんです……!




「お、君はエステルの侍女か?」


「は、はひぃっ!!(※動揺しすぎて噛む)」


「ははっ、そんなに緊張しなくていいぜ? 名前は?」


「さ、サラでございますっ!!」


「サラか、いい名前だな!」



こ、この方……! なんという気さくさ……!


しかも、私のような侍女にも 「いい名前だな」 なんて、そんなこと言われたら もう王国一推せる王子です!!!!(昇天)



ああ……この 軽妙な話術……!

この 距離感の近さ……!

そして…… この気遣いのできる優しさ……!



これは やばいお方です!!


こんなの、誰でも 「え!? この人、もしかして私のこと好き!?」 って勘違いしちゃうレベルですよ!?(←違う)



ま、まあ、ジークハルト殿下は 天性の聞き上手 ということがすぐに分かりました。


というのも……



「エステルの侍女なら、きっといろんなことを知ってるよな?」



「えっ!? あっ、はいっ!! もうっ、エステル様のことなら何でも!!!」


「ほう……」


「も、もちろん シリウス様との関係も!!!」


「……おお?」


「あんなことやこんなこと!! えっへん、 私、全部見てます!!!(ドヤァ)」


「ふむふむ……それは、ぜひ聞かせてほしいな?」


「うふふふふふ!!!(※完全に調子に乗る)」





……というわけで!!!


私 サラは全力で推し語りをしました!!



「まずですね、シリウス様はとっても不器用な方なんです!」


「ほうほう」


「でも、エステル様にはめちゃくちゃ甘いんです!! あのシリウス様がですよ!? 普段は穏やかで礼儀正しいのに、エステル様の前では 『エステル様が1番大切です』 とか 『エステル様なしでは考えられない』 とか!!! も~~~~~~、この世の尊みを凝縮したような甘々な言葉をさらっとおっしゃるんです!!!!」


「へぇ~~、シリウスがねぇ……」



「で!!! エステル様は 素直で可憐で最高にお美しい のですが、恋愛面では初心すぎて……! シリウス様が甘い言葉を囁くたびに、 『そ、そのような……!』 って 耳まで真っ赤になるんですよ~~~!! いや~~~もう、可愛すぎて天に召されましたね、ええ!!!(感涙)」



「お前、語りが止まらないな……」


「まだまだこれからです!!!」


「お、おう……」


「それにですね!! シリウス様って、見た目は冷静なのに、 エステル様のことになると独占欲が強すぎるんですよ!!!」



「ほう……」


「例えば!!! ある日、エステル様が王宮の貴族の方にお花をいただいたんです!!! それを見たシリウス様は、 『どなたからいただいたのですか?』 って、ものすごく落ち着いた声でお尋ねになったんですけど……」



「おお、嫉妬か」


「そうです!!! しかもエステル様は 『えっと……わかりません』 なんて正直に答えちゃうから!!! シリウス様のお顔が すん……って静かに険しくなったんですよ!! でも!! エステル様が 『ですが、シリウス様にいただいたお花が一番好きです』 っておっしゃった瞬間……!」


「……瞬間?」


「シリウス様の表情が!! 一瞬で!!ほころんだんです!!!!」


「……マジか」


「マジです!!!! その場にいた侍女たちは 『今の……! 今の見た!? 』 って大騒ぎでした!!!!」


「……お前ら楽しそうだな」



「はい!!!! もう!! 彼らの尊さを一番近くで見守れるなんて!! 侍女冥利に尽きます!!!!」


「……いや、なんかすごいな、お前」


「うふふふふ!!!」





そんな感じで、私は 全力で推し語りを続けた わけなのですが……



ジークハルト殿下、ずっと ニヤニヤしてた んですけど!?


「いやぁ~、シリウスもやるもんだなぁ……」


「ですよね!!!」



「昔はあんなに礼儀正しくて近寄りがたい雰囲気だったのに、そんなにデレるようになったとはな……エステル、すげぇな」


「はい!!!! もう 最高のカップルです!!!!」


「なるほどなぁ……いや~、面白い話を聞かせてもらったぜ!」


「いえいえ!!! 私はまだまだ話せますよ!!! だって、推しが結ばれる瞬間を見届けるのが、侍女の醍醐味ですから!!!」


「ははっ、いいな、お前」




ジークハルト殿下は すっかり私の話を気に入ったらしく、最後には


「また聞かせてくれよ!」



と、 王子直々にリクエストをいただきました!!!!



ひゃ~~~~~~!!! こんなの、最高すぎません!?!?



次回の「エステル様とシリウス様の尊い瞬間」を王子にプレゼンするため、私は今から 侍女仲間と新たな「推しエピソード」探しに向かうことを誓ったのでした!!



(続く!!!)


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