第三十話 素敵な戦闘服を身につけた推し!
(サラ視点)
皆さん聞いてください!!
私の推しことエステル様が、ついに!!
ついに、ジョセフィーヌ夫人の教えを実践する日がやってきました!!!!!
(今、頭の中で鐘が鳴り響いています!!!)
夫人曰く、「自信は下着から」ということで、エステル様が素敵な下着を身につける決意をされたのです!!
もちろん、この大事なプロジェクトにおいて、侍女筆頭である私が抜かりなくサポートさせていただきましたとも!!
「サラ、本当にこんなにたくさん……?」
エステル様が、目の前に並べられた繊細なレースのランジェリー、滑らかなシルクの下着、色とりどりの下着を見て、若干引き気味のご様子。
(ええ、もちろん本気で集めました!!!)
「エステル様!女性の美しさは見えないところからです!!どんなに素敵なドレスを着ていても、下着に気を抜いてはいけません!!」
「そ、そう……?」
「そうです!!これはただの布ではありません!!戦闘服です!!」
「戦……??」
エステル様は戸惑いながらも、観念したようにため息をつかれた。
そして……
ついに、エステル様が初めて「大人の女性の装い」を身につける瞬間が訪れたのです!!!
(ああ……!!!!!)
エステル様が、繊細なレースの下着を身につけた瞬間——
私は、涙が出るほど感動しました。
なんという美しさ!!!!
透けるような白い肌に、上質なレースがぴったりと馴染み、ほっそりとした腰のラインをより一層引き立てている。
(尊い!!!!!!!!!)
ミシェル「サラ、鼻血出そうな顔してるけど大丈夫?」
サラ「大丈夫じゃない」
ミシェル「やっぱり」
(大丈夫なわけがない。)
エステル様は元々気品のあるお方だけれど……この繊細な下着を身につけたことで、色っぽさがほんのりと漂っている!!!!
(こんなの……殿下が知ったらどうなるんですか!?!?)
(いや、むしろ!!殿下はご存じなのですか!?!?)
私は今すぐにでもシリウス殿下の元へ駆け出し、「殿下!!エステル様がとんでもなく色っぽくなられてしまいましたが、心の準備はよろしいですか!?」と叫びたい気持ちでいっぱいだった。
が、そんなことをしたらエステル様に怒られるので、ぐっと堪えることにした。
「……とりあえず、下着に慣れるために、日常生活で着用してみます」
——とエステル様が決意されたため、私は拍手を送った。
この日から、エステル様はより上質な下着を身につけて過ごされるようになった。
その結果——
なんということでしょう。
気のせいか、ドレスの下に潜む色気が漂うようになったのです。
本人は全く意識していない様子だけれど……
ちょっとした仕草、指先の動き、ドレスの揺れ方……すべてが柔らかく、どこか女性らしさを増している!!!!!
(推しが進化している!!!!!!)
——そして、問題はここからだった。
「エステル様、お邪魔します」
と、タイミングよくシリウス殿下がやってきたのだ。
(ちょっ……!!)
(殿下、今は危険です!!!!)
ミシェル「今のエステルに気づかない男はいない」
サラ「ですよね!!!」
しかし、その忠告(心の中での)は届かず、殿下はエステル様を見た瞬間に、明らかに動きを止めた。
(……やばい。)
(何かに気づいた顔をしている!!!!!!)
殿下の瞳が、いつも以上に静かにエステル様を捉えている。
まるで——
「……エステル様」
「はい?」
「……何か、変わられましたか?」
やっぱり気づいてる!!!!!!!!
エステル様は特に意識せずに普通に振る舞っていらっしゃるが……
(いや、殿下にはバレてる?!!!!)
普段のシリウス殿下は穏やかで優雅な方だが……たまに底知れぬ観察眼を発揮する時がある。
今回もそれだ。
きっと殿下は「何かが違う」と直感しているに違いない。
エステル様は首を傾げ、「いいえ?特に変わったことは……」と答えていたが、殿下の視線はどこかじっとこちらを探るように鋭かった。
(殿下、違うんです!!!!)
(エステル様は、素敵な下着を身につけることで女性としての自信を深められたのです!!!!)
(決して何か企んでいるわけではありません!!!!)
が、もちろんそんなことを言えるはずもなく、私はただ黙って見守ることしかできなかった。
——こうして、殿下はまだ知らない。
推しが、ジョセフィーヌ夫人の英才教育により、女性としてさらに輝きを増しつつあることを……!!!




