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第十七話 推しの進展が尊すぎる件!!



――皆さま!お待たせしました!!

侍女サラの「推し観察記録」、最新号です!!


最近、エステル様とシリウス殿下の甘々度が加速度的に上昇していることをご報告いたします!!


ええ、分かっていましたよ?

殿下がエステル様を溺愛していることくらい。

ですが、ここにきて、殿下は着実に距離を縮めている……!!


もう私の尊死カウントが振り切れそうです……!!







まずは、以前のデート帰りの話から聞いてください!!


お忍びデートから帰ったエステル様、まるで夢見心地のようなふわふわした様子でお戻りになりました。


まぁ、そりゃそうですよね!?

あの優雅で麗しい殿下と歌劇鑑賞して、おしゃれなカフェで甘々なお時間を過ごして、そして!!!


――額にキスをされて帰ってきたんですよ!?!?


「……サラ、わたし……」


お部屋に戻ったエステル様、頬を真っ赤にしながらベッドにぽふっと倒れ込みました。


「どうされました!?大丈夫ですか!?何があったんですか!?(知ってるけど聞きたい!!)」


私が興奮気味に問いかけると、エステル様は枕に顔を埋めながら、か細い声で答えました。


「……シリウス様に……額に……」


はい、知ってましたぁぁぁぁ!!!


「いやあああああ!!!ついに!!!」


「サラ、落ち着いて……!」


落ち着けるわけがないじゃないですか!?

だって殿下ですよ!?

王宮一の完璧紳士、王宮一のポーカーフェイス、そんな殿下が、そんな殿下が……!!!


「それで!?その後は!?殿下、何か言ってましたか!?」


「……『またデートをしましょう』って……」


ああああああ!!!

殿下、あなたは紳士の皮を被ったとんでもない策士!!!


エステル様が完全に陥落するのも時間の問題ですよ!!(いや、もうしてるのでは!?)







そんな余韻も冷めやらぬまま、つい先ほど、私はまたしても信じられない光景を目撃しました。


はい、皆さま。


シリウス殿下がエステル様の頬にキスをしましたぁぁぁぁぁぁ!!!


いや、どうして!?どういう流れで!?って思いますよね!?

それがですね、私、現場で見てしまいましたよ。




────




ある日の夕暮れ時、王宮のバルコニー。

エステル様とシリウス殿下がお二人でお茶を楽しんでおられました。


優雅なティータイム。

静かに流れる心地よい時間。


しかし、その穏やかな空気を切り裂くように、突然のそよ風が!!


「……あっ」


エステル様の髪がふわりと舞い、視界を覆う。


その瞬間、シリウス殿下がすっと手を伸ばし、乱れた髪を耳にかけたのです!!!


いや、分かります!?

「髪を耳にかける」だけでも胸がキュンとするシチュエーションですよ!?


しかも殿下ですよ!?


そして、次の瞬間、事件は起こったのです。


「エステル様、風のせいで髪が乱れてしまいましたね」


シリウス殿下が微笑みながら、そっとエステル様の頬を撫でたのです!!


頬を撫でる……からの……


────ちゅっ。


え!?


……ちょっと待って!!!


「おいおいおいおい!!!」(←心の声)


今の流れ、どうしてそうなるの!?!?


確かに自然だった!確かにスムーズだった!

でもそれ、殿下的には“つい”やっちゃいましたの流れじゃないですよね!?!?


完全に狙ってましたよね!?!?


エステル様も当然、固まっております!!!


「……し、シリウス様……?」


「……風のせいで髪が乱れてしまいましたから」


そのままのポーズで静かに微笑む殿下!!!


ずるい!!!ずるい!!!ずるい!!!

風関係なくないですか?!


かつてこんなにも計算された頬キスがあっただろうか!!!


エステル様は驚きのあまり、視線が泳いでおります!!!


そして私は、心の中で全力のガッツポーズ!!!





ええ、もちろん見てますよ、もう一人の護衛、マークの様子も!!


……はい、案の定、彼は少し離れた場所から

「まったく……甘すぎてこっちがむず痒くなる……」

とでも言いたげな顔をしております!!!


でもね、マークさん。


私、見ちゃいましたよ!?

あなた、殿下がエステル様の髪をそっと耳にかけた瞬間、目をそらしましたよね!?


そして頬キスの瞬間、あからさまに咳払いしましたよね!?


こっそり護衛しながら、めちゃくちゃ動揺してましたよね!?!?





殿下、もう確実に次のステップ狙ってますね!?!?


いや、額キスから頬キスって、もう完全に段階踏んでますよね!?

このままいけば、次は……次は……!?!?


しかもですよ!?


エステル様、数日前に殿下に初抱擁されているのです!!


その日、エステル様がふらっとベッドに座り込んでいたので、どうしたのかと聞いたら……


「……シリウス様に、抱きしめられました……」


は!!!??


もうダメです!!!尊さが限界突破です!!!


次はもう、確実に……!!!


ああああ、もうどうしましょう!!!


推しの進展が止まりません!!!


とりあえず、エステル様の気持ちが落ち着くように、今夜はハーブティーをお出しすることにします。

(でも私は興奮しすぎて眠れそうにありません!!)


次もお楽しみに!!!



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