第五話 放課後②
「サンキュ〜。いつもすまんね。」
「そう思うなら、もう少し早く切り上げて帰れよ。」
呆れた表情で実太はそう言う。仕方ないじゃん。夢中で読んでいたら時間経ってたんだし。と、それを口に出すと彼にまた呆れられるので、言わないのである。
「そーだ。最近どーなの?あの〜あれあれ。…」
「そうそう跡継ぎ問題はどーなってるん?お父さんに認めてもらえた?」
「いや、まだだ。中々認めてくれなくてね。まぁすべて技量の足らない自分が悪いんだが。」
と、私の方を見ながら”やれやれ”と言わんばかりの表情で実太はつぶやく。そう私の幼馴染は財閥の御曹司で(以下省略)お父さんに認められるために日々頑張っているのである。まぁまだ跡継ぎにはなれていないようだが。
「そっか〜。まぁ応援はしとくよ。幼馴染が当主様なんて鼻が高いしね。」
それに、なにか口挟んだら何でもしてくれそうだしね〜。豪邸とか〜。(二ヒヒッ…)
「やっぱりお前、なんか悪巧みしてるだろ。わかりやすいんだよ。」
「そ、そ、そんなことないよ?てか、顔ばっか見てんの、ふつーにきもっ。」
と、また呆れ顔で言われてしまう。そんなにわかりやすいかなぁ…と思いながら一応反論しておく。
そんなこんなで、あとは他愛もない話をしていて、そのうち家についた。
「ありがと〜送ってくれて。今後も頼むわ。」
「いや、自分で帰れよ…。」
と、慣れたやり取りをして、家に帰るのだった。