第四十四話 ワクワクのレッスン①
今日は生まれて初めて、歌のレッスンなるものを受ける日である。今までは独学で全てやってきたので、人に教えてもらえることは何気にすごく嬉しかったりする。
「失礼しまーす」
と、少し小さくなってレッスン室に入る私。どんな講師が待ってるのかわからず、ほんの少し怖い。スパルタじゃないといいなぁ…。
「あら、いらっしゃい」
と、私に返事を返してくれる女性は、物腰の柔らかくて優しそうな女性であった。スパルタではなさそうで安心安心。今日は初めてのレッスンということで、個別レッスンだ。数回個別で受けてから、集団になるらしい。
「私の名前は、前山 日向前山さん。とよんでちょうだい」
「はいっ!わかりました」
少し緊張で裏返ってしまったが、気にしていない様子。
「じゃあ、早速レッスン始めるわね。あなた、スカウトらしいからね。ビシバシ行くわよ。まずは、ボイトレから。今日はボイトレだけでいいわ。明日からはダンスレッスンも入るわ」
と、まさかまさかのことを言われてしまった。勘弁してぇ…。でも、楽しそうだからいっか。
〜レッスン後〜
「あなた本当にすごいわね!独学でここまでできる子は流石に初めてよ!」
と、すっごく褒められるので悪い気はしない。ただ、かなり喉を使ったので、明日はあまり喋れないかもしれない…。
「しっかり、喉は癒しておきなさい。次のレッスンまでにちゃんと治してくること!私特製のドリンクもとりあえず飲んでみなさい。喉に効くわよ」
と、言われたので飲んでみる。はちみつ主体の薬効ドリンクのようだ。意外と味を邪魔しないので、苦もなく飲める。おいしい。
「おいしいです!これ、どうやってつくるんですか?」
と、聞くと流石に企業秘密のようだ。
私はそのドリンクを飲み干して、レッスン室を後にするのだった。