第三話 雨谷澪(?)
「えっ、にやにやなんかしてないよ。」
汚い心の中身を当てられたようで少し焦ったが、私はすぐに落ち着きを取り戻した。
そんなに顔に出ていただろうか…?
「嘘つけ。めっちゃ悪巧みしてる。って、顔に書いてあったぞ。何考えてたんだ?」
「知らない!別に何も変なことは考えてないも〜ん。それより、女子の視線が痛いので、さっさとどっかいってくれます?」
周りの女子は私達が幼馴染であることを知っているから、この程度ですんでいるのだ。
もし知らなければ…あぁおぞましい…(女子とはそーゆーものだ。)
「あっそう、まぁいいか。じゃあまた後でな。」
といって、またスタスタと歩いていってしまった。遠くから(ワァ〜キャ〜)が聞こえる。なんか増えてない?
「(ハァ〜)なんであいつとなんか幼馴染なんだろう。めんどくさいだけじゃん。」
「ん〜どした〜?なぁ〜にかあった〜?さ〜やちゃん。」
そう声をかけてきたのは、クラスでそこそこ人気のある”雨谷澪”だ。ほぼ実太に人気を喰われているが、実太がいなければ一番人気があっただろう。そんな人だ。中性的な顔立ちで、イケメン。一見優しそうなイメージを持つが、告白してきた女子を必ずフることで有名で、隠れファンが多いと聞く。なんでも、「絶対に告白はしない!すきだけど。」をポリシーとして掲げているらしい。しらんけど。
「なんでもないよ。いつものことでウンザリしてただけよ。」
「あぁ〜あのまとわりついてくる女子か。よく平気だよね霧山クン。僕は絶対ムリだね。」
キーンコーンカーンコーン…
ちょうどそこで、昼休み終了後分前の予鈴がなった。