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第二話 霧山実太
キーンコーンカーンコーン…
〜昼休み〜
莉絵は自主練へ行ってしまった。いわく、「トップは時間を無駄にしない。」んだそうだ。私とは真反対だ。ん?何か女子の歓声がする?
(ワァ〜キャ〜)
「邪魔だ。どいてくれ。」
そうやって女子の波を掻き分けているのは、同じクラスで学年で人気者の霧山実太だ。なんでも、日本有数の財閥、霧山財閥の御曹司らしい。頭脳明晰、運動神経抜群、そしてイケメンという、欠点らしい欠点が見つからない。おまけに、クールで女子をおざなりにしないため、玉の輿を狙う女子も多いのだとか。
「まっ、私には関係ないけどね〜。」
というのも、私と実太は幼馴染なのである。だから、今更かっこいいとも思わないし、クールだとも思わないし、(実はちょっと冷たいなーとは思ってる)あっちも私のことなんて特になんとも思ってないだろう。それにあいつにはあれが…
と、少々よろしくないことを考えていたところで、件の人物に声をかけられた。
「おい。なににやにやしてんだ?」
女子の全ての視線が突き刺さった気がした。