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21.気障な精霊からの情報談

まったり更新です。

小さな身体の割に、何だか態度がちょっぴりデカそうな人型精霊が胡坐をかいた姿勢で、アンジェリカを見据えている。


そちらから呼び止めておいてからの数分の間が、アンジェリカとその気障な精霊との間に流れた・・・


「オイ!」


痺れを切らしたのは、勿論、上級精霊であるユーリシアスである。


「ううん?」


その声に、視線をユーリシアスに向けた気障な精霊は顔を少し顰めて見せてきた。


「おまえ!何故答えないんだ!」


そんな気障な精霊の態度に尚も腹を立てているユーリシアスは、更に彼を問い詰めだしたのである。


「ああん?この精霊はナニモンだぜ?」


ユーリシアスからの高圧的な態度をスルーして、アンジェリカに問い掛ける気障な精霊に、ユーリシアスは自分が無視されたことで、怒りが増して身体までわななかせてしまっている。


「あら?あなた、ユーリシアスをご存知ないのですか?」


「ほへぇー。誰だそれ?」


「まあ、ユーリシアスったら知名度が低いのですのね?あれでも上級精霊らしいのですのよ?」


気障な精霊とのやり取りにちょっぴり驚いて見せながら、アンジェリカは優しく微笑んで見せた。


「フーン、あれが上級精霊ってか?なるほどな?」


そう言いながら、気障な精霊は、今度はユーリシアスを上から下まで見定めているのであった。


「ねえ?ところで、あなた、消えた国のことをご存知ですのよね?」


ユーリシアスを隅々まで見ている気障な精霊に対して、今度はアンジェリカが遮るように問い掛けると、気障な精霊が再びアンジェリカへと向き直ってみせたのである。


「おう!そうだったぜ!もちろん、知っているぜ!」


再び、自信満々に言い出すその精霊の姿に、ユーリシアスは目を細め、眉間には深い皺が寄っていく。


「だから、そのことを聞かせろ!と、こちらはさっきから言っているんですよ!」


このやり取りに耐え切れないとばかりに、再び、ユーリシアスが口を挟むと、また、精霊がじろりとユーリシアスを見やるのであった。


「へぇー、あんた、上級精霊なんだよな?なのに、知らないのか?」


そう言って、何だか嫌な目でユーリシアスを見る下級精霊。


「上級精霊なのに知らないんだ、こいつ?」


そう言って、ニヤリと気障な精霊の口元が上がった。


その姿に、ユーリシアスの顔が歪むと同時に大きな声を上げたのであった。


「おまえ!!今何と言った!このわたしを無知扱いしたのか!」


怒るユーリシアスに対して、気障な精霊は全く怯むことなく尚もユーリシアスに絡みだしたのである。


「無知扱いなんてしてねぇぜ。けどよぅ、俺は知っているけどさ。あんたはさあ、その知らないっつう訳だから、俺に聞いているんだろ?ってことは、やっぱり、あんたはなぁ~」


ニヤニヤしながら気障な精霊が告げる内容に、その場にいるアンジェリカとカチェはすんなりと頷いてしまっていたのであった。


「まあ!上級精霊ですのに、ユーリシアスは知らないのですね?こんな小さな精霊が知っているというのに!」


気障な精霊の話に流されてしまったアンジェリカは、これまで上級精霊であるユーリシアスに多少は尊敬の眼差しを向けていたのだが、その思いがかき消えた瞬間であった。


「ガッカリですわぁ。これまでちょっとは精霊の師的な思いはありましたのに・・・」


『ショックですわ』と、最後に言葉を零して、大きなため息をつくアンジェリカの姿に、先程まで怒りに満ちていたユーリシアスが急に蒼褪めだしたのは言うまでもない。


「いや、待ってください!アンジェリカ!、この上級精霊であるわたしが知らないことはありませんよ!だいたい、こんな下級精霊が知っていることを知らないはずがないでしょっ!」


急激に、自分の立場が危うく脅かされる事態となったユーリシアスは、その現状を打ち消すかのようにアンジェリカに自分の知性の高さを知らしめるのであった。


「そうなのですかぁ?」


尚も、ユーリシアスは本当は無知なのでは?と疑る視線を向けるアンジェリカたちに、ユーリシアスはその視線を跳ねのける様に大きな声で断言したのであった。


「あっ、当り前ですよ!このわたしが知らないなんてあり得ませんねっ!!」


最後には鼻をフンと鳴らして言い切ったユーリシアス。


その姿に、気障な精霊が再び声を掛けたのであった。


「へえー。じゃあ、俺から聞かなくてもいいよなぁ?あんたは知っているんだからさぁ」


そう言って、気障な精霊がぐふふふっと声を上げて笑い出したのである。


それに対して、ユーリシアスの方は再び顔を蒼褪めだしてきたのであった。


「じゃあ、上級精霊さんよー。俺にも聞かせてくれよなあ?」


ニタニタと嘲笑う気障な精霊に、ユーリシアスの口角がひくついてしまっている。


(こいつ、やり口が詐欺じゃないかっ!)


まんまと騙されたと、ユーリシアスが落胆しているとこころに、アンジェリカがここに来て声を上げたのであった。


「それよりも、消えた国について早く教えてくださいな!」


とうとう痺れを切らしたアンジェリカがギッで、ピューと口笛を吹いてユーリシアスからの視線を躱したのである。


もう無理だな・・そう思ったユーリシアスは、コホンっと咳払いを一つしてから、アンジェリカへ向き直ったのであった。


「えっとですね・・・消えた国ですよ、ね?」


これからユーリシアスから話される内容に、アンジェリカが物凄~く期待を抱いてるのがわかるくらい、彼女の綺麗な瞳が大きくいつも以上に輝きを増している。


(くう~、アンジェリカの期待が高いのがわかる・・・だから、尚、こわっ!!)


「わ、わたしが話せることはですね?、その、とおーい昔にですね?この大陸には11の国があったのですよ」


消えた国について話し出すユーリシアスへアンジェリカからの熱い視線が向けられている、が、ユーリシアスには、この視線が凍てついた刃のように突き刺さっているように感じてしまうのは、気のせいであろうか・・・


「かの国はそれほど大きくもなくて、小さくもない国でして、自然もあってですね。それなりに豊であったようですね?そして、その、消える前は、わ、我々、精霊が住んでいました、ね?」


何だかユーリシアスにしては珍しく話の進みが悪く、また、いつもと話の内容も簡素で切れの悪いものになっている。そんなユーリシアスの現状にアンジェリカの目は急激に細めれていくのであった。


「ユーリシアス?それで、もしかして終わりですの?」


まさか、そんなはずはないですわよね?と、アンジェリカの細められた目が告げているのをユーリシアスにも届いてはいるが、彼からは言葉が続かない。


だが、代わりに、物凄く冷たい汗が彼の美しい額に浮かんでいる。


「あん?これでおしまいなのか?」


アンジェリカの不穏な気が漂う最中、今度は、呆れた口調で気障な精霊が口出したのであった。


「たいしたこと知ってないんだな?」


そう言われても仕方ない状況ではあるのだが、こいつにだけには言われたくないという思いから、ユーリシアスが不穏な空気間を押し破って、気障な精霊に対しては言い返したのであった。


「ならば、お前はどれ程のことを知っているのだ?このわたしに話をさせるような姑息な手を使っていながら!」


どうせ、同じくらいの情報しか得ていないと踏んでいたユーリシアスがここに来て挑発的な物言いを見せたのである。


「フン!俺は何だって知っているって言ったぜ!」


しかし、気障な精霊は腕を組み、胡坐をかき大きな態度を変ずにしている。


その姿に、ユーリシアスの方がイラっと来てしまっていた。


「おまえー、だったら申して見ろ!その消えた国ついて知り得たことを!」


美しい顔が評判であったユーリシアスが鼻息までもが荒くなり、気障な精霊に詰め寄っている。


そんな姿にアンジェリカは呆れながら頭を横に数回振ってしまった。


だが、その時であった!


「イイゼ!よーく聞きな!俺は見たんだぜ!消えた国があるのをなっ!」


どうだ!と言わんばかりの気障な精霊の姿が、ユーリシアスとアンジェリカの目に映ったのは・・・


「キャー、ほんとうですの!」


先に声を上げたのは、勿論、消えた国について一番興味を持っているアンジェリカであった。


彼女は、もうそれは物凄いテンションで気障な精霊へ言葉を投げかけている。


「まあまあ、凄いですわ!上級精霊のユーリシアスよりも知識豊富だなんて、下級精霊にしておくのは勿体ないですわね!」


そんなハイテンションなアンジェリカの傍を小さな光が珍しく派手な?発光をしながらクルクルと回っており、まるで、お祭り騒ぎのような状態になっている。


そんな様子を、生気が抜けたユーリシアスがただただ眺めているのであった。


アンジェリカは、生気の抜けたユーリシアスには気に留めずに、気障な精霊に改めて尋ねる事にしたのであった。


「で、そのですね?消えた国をどちらで見られたのですか?」


満面の笑みを気障な精霊へ向けたアンジェリカは、大きな期待を込めて次なる気障な精霊からの答えを待っていた。


「おうよ!それはな!」


気障な精霊の方も、アンジェリカからの言葉に気を良くしたのか、急に立ち上がり、そして指を一つ指し示すような仕草を見せて話だしたのである。


「隣の国、ゲルダロにあるでっかい教会の中にあったんだぜ!」


そう言い切った気障な精霊は、尚も気を良くしたまま誇らしげに立っていた。


しかし、アンジェリカの方はさっきと違い急激にテンションが落ちてしまったのである。


「ううん?ゲルダロ、ですか?」


「おうよ!ゲルダロで見たんだぜ!」


テンションが落ち、首を傾げるアンジェリカの姿が気障な精霊には目に入っていないようで、彼の態度は変わらないままにいる。


アンジェリカと気障な精霊の間で、そんな会話が交わされ出したことで、ここに来て漸く復活したユーリシアスが不敵な笑みを携えて、会話に割り込んできたのであった。


「ほう?消えた国がゲルダロにあるんですか?」


不気味な笑みを携えたユーリシアスが会話に加わって来たことで、気障な精霊もここに来て場の雰囲気を理解したのであった。


「な、なんだよ・・俺は見たんだぜ・・」


「ほぉ?ゲルダロで見たと?しかも、教会で、ねえ?」


さっきまで小バカにされていたのもあってか、ユーリシアスの言葉は嫌味たらしく気障な精霊へ執拗に突いてくる。


そんな嫌味な態度を取る上級精霊の姿を見てしまった、カチェは光が弱まりその代わり軽く身震いをおこしてしまっていた。


「ほ、ほんとにあったんだぜ!嘘はついてないぜ!俺は見たんだぜ!」


ユーリシアスの言葉に焦る気障な精霊、ちょっと気の毒なように思いもするが、ユーリシアスにはそんな気持ちは皆無とばかりに、美しい顔には恐ろしい笑みが浮かんでいる。


「うん、うん、それで、その見た話を続けて言いなさい!」


真顔で迫る上級精霊ユーリシアスに対して、怯える気障な精霊が最後には叫ぶように事の真相を告げたのであった。


「み、見たんだぜ!ほ、ほんとうに、そう、教会のか、壁にな。ち、地図があったんだーーー」


言い終えた後は、ひたすら何故か、ゼーハー、ゼーハーと呼吸を荒げる気障な精霊。


そんな精霊を気遣うことなく、アンジェリカがむくれた顔をしながら「何ですの??知っているって話とは、地図のことでしたの・・・」と落胆していたのであった。


一方、ユーリシアスは、自分だけが無知であると露呈しかけたことが、これにて完全に払拭出来たと思い込んで、晴れやかな面持ちになっていた。


だがしかし・・・


「はァ、結局、上級も下級も精霊は無知なんですのね?」


ガッカリですわ~


呆れた眼差しを上級、下級精霊それぞれに向けたアンジェリカがポツリと呟いたのであった。


「やだ?、ただの時間の無駄でしたわね?行きましょうか?」


そう言ってアンジェリカは、ユニコーンをどこからか呼び出してヒョイっと背に乗って歩み出して行ったのである。


その後ろ姿を精霊二人は暫し眺めていたのであった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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