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20.満たされた?黒い令嬢が動き出す

お久しぶりです。

なかなか更新できず・・・

また、よろしくお願いしまぁーす!

美味しいお菓子をお腹にいっぱい詰め込めたアンジェリカはたいそうご機嫌よく、只今、町中を歩いているところだ。


アシェフィルドの王城で王様を筆頭に多くの者に見送りをされたアンジェリカたちは、次なる町を目指して、アシェフィルドの国中を移動しているのであった。


「あぁ、美味しかったですわね」


「うん、ぷるん、ぷるんが最高だった!」


「まあ、カチェはあれが好みですの?わたくしは、やはりあの光沢のあるチョコレートかしら?」


町をゆるりと歩きながら、王城で頂いた菓子について、カチェと談義しているアンジェリカ。


微笑ましい話題にユーリシアスも心が和む。


が、しかし・・・


「次の国では、どんなおもてなしをしてくれるのかしら?」


「そうだね?アンジェリカはどんなのがいいの?」


「あぁ、そうね?お菓子も気にはなるけれど、ちょっと、体が疲れたから温泉とか入りたいですわ!」


「おんせん?」


「あらっ?カチェは知らないのですの?地下から湧いている温かい湯のことですわよ」


「へえー。アンジェリカは物知りなんだね!」


「まあ、当然ですわ!わたくし、聖女兼精霊ですのよ!」


と、にっこりと微笑むアンジェリカに、ユーリシアスは、目を細めてしまっている。


「で、アンジェリカはおんせんに入ってから、どうするの?」


「そうですわね?その後は、美味しいお食事やキラキラなお菓子を頂いてからぁ、あっ!マッサージなんかもお願いして、そして、ふかふかなベットで休みますの!」


「あっ!それいいね!」


「でしょ?何てったって、わたくしは聖女兼精霊ですからね!」


再び満面な笑顔を向けるアンジェリカに、とうとうユーリシアスが問い掛ける。


「あの、ですね?さっきから、その『聖女兼精霊』の呼称はなんですか?」


少々呆れた口調になりつつも、アンジェリカに優しく問うユーリシアスとは反対に、アンジェリカの機嫌がここで下がる。


「あぁ゛、もうっ!ユーリシアスはわかっていないのですか?わたくしは、ただの聖女ではなく、精霊でもあると、アシェフィルドの王城で語ったではありませんか!だから、わたくしは、あの場から『聖女兼精霊』と自覚し、気持ちも改めて行こうと呼び名も付け加えたのですわ!」


プンスカ!と怒りながらも、説明をするアンジェリカに、ユーリシアスはただただ白い目をむけるのであった。


呼称はたいそうなモノにバージョンアップしてしまったが、中身は、アップはしていないなっと思うユーリシアス。


「はいはい、わかりましたよ。『聖女兼精霊』のアンジェリカ」


ここは、アンジェリカに合わせておくかと、ユーリシアスが返事をすると、アンジェリカの気持ちも再び気を良くしたようで、鼻歌まじりに歩き出していく。


(ほんとうに、げんきんな娘だ・・・)


髪色が変わってからというもの、黒髪のアンジェリカに振り回せているユーリシアスも、何だかんだと慣れてきつつある。


そんな自分がちょっと怖いと思いながらも、軽やかに前を進むアンジェリカを見つめていると、ふいにアンジェリカが振り返った。


「ねぇー?、ユーリシアス!次の国はどんな国ですの?」


こてりと首を掲げて問い掛けるアンジェリカに、ユーリシアスが次に向かう国の名を告げた。


「ああ、ゲルダロですね。アシェフィルドよりも小さな国ですが、エルボルタよりは国土は大きいですよ。精霊はアシェフィルドと変わらないくらいの数が生息していますね」


これから向かう国について、ユーリシアスが話をするたびに、アンジェリカの顔がくすんでいくように感じるのは気のせいだろうか?と、ユーリシアスが不思議に思いながらいると、とうとう、アンジェリカが口をはさんできたのであった。


「ちょっと待ってください!これから向かう国には精霊はいるのですか?」


アンジェリカから出た言葉に、今度はユーリシアスとカチェの顔色が変わる。


「えっ?アンジェリカ、何の話なんだ?」


困惑をするユーリシアスに、アンジェリカはアシェフィルドの王城で聞こえた事を告げる。


「わたくし、楽しみにしていたのですわよ!消えた国に行けることを!」


どこか自慢気のように話すアンジェリカに対して頭痛を催しかけているユーリシアス。


確かに、イゾルバとその話はした記憶はあるが、それがアンジェリカに聞こえていたとは、再び記憶を思い起こしながら頭を抱えるユーリシアスである。


そんなユーリシアスとは違い、小さな精霊カチェが好奇心を持ったようでアンジェリカに話をしだしている。


「うわっ、凄いね!アンジェリカは物知りなんだね?そんな国があるの?うわぁー、行ってみたい!」


カチェの言葉に気を持ち直したアンジェリカは、再び自分が知りうる知識を披露しだしたのであった。


「でしょ?さすがは、カチェね!わたくしと同じ思いなのですわね」


「うんうん。だって、消えた国なんだよね?」


「そうですの!精霊がいなくなり、消えた国があるのです!」


「へえー、で、どうやっていくの?」


「そ、それはですね・・・」


そこで二人の会話が途切れて、アンジェリカが恨めしそうな視線をユーリシアスに向けたのであった。


その視線を受けたユーリシアスが深いため息をついてから、二人に向き直ったのである。


「いいですか?だいたい、消えた国ですよ。消えてるのにどうやってわかるんですか?この世から消えてるんです!」


強い口調に、さすがのアンジェリカもしょぼくれてしまい、反論は出来ずにいる。


「消えた国にはいけませんね。しかも、精霊がいないんですよ?行けるわけないでしょうが!」


そうだけど・・・でも、あの人は行けるような話しぶりでした、けど?


ごにょごにょと口元で小さく呟くアンジェリカを無視して、ユーリシアスが歩き出していると。


どこからか、声が聞こえたのであった。


「知ってるぜ!」


ううん?


何か声が聞こえたような?と、それぞれが辺りをキョロキョロと見渡していると、下の方から再び声がしたである。


「ここ!ここだぜ!」


今度はしっかりと声のした方向がわかり、それぞれがその声の主を求めて近寄ってみると、小さな人型のちょっと気障な風貌の精霊が胡坐をかいて座っていた。


「あらっ?」


アンジェリカが腰を落として、その声の主である精霊に声を掛ける。


「あなた、消えた国をご存知なのですか?」


「そうだよ。俺は、何だってしってるぜ!」


フンっと鼻を鳴らしながら、精霊はニヤリと微笑んでみせる。


その姿に、ユーリシアスが目を細めて見つめていた。


(まあた、余計な奴が出て来たな・・・)


ユーリシアスは、心の奥で項垂れながらも、その小さな人型精霊の話に耳を傾ける事にしたのだった。


「まあ!素敵ですわね!わたくし、『聖女兼精霊』のアンジェリカですわ。よろしければ、消えた国について詳しくお聞かせくださいますか?」


そう言いながら、にこやかな笑顔を向けるアンジェリカに、何故か、小さな人型の精霊は顔を強張っていた。


「お、ぉうよ。聞かせて、やるぜ!」


どうした?、呼び止めた勢いとは違い、発する言葉がぎこちなく思うのは気のせいかとユーリシアスが少し嫌な気を感じたが、人型の小さな精霊がコホンと咳払いを行い、話しだしたのであった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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どうか、よろしくお願いいたします。

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