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聖女ちゃんは免れたい!〜力の為のR18展開なんて断固拒否します〜  作者: そらいろさとり


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81.聖女ちゃん愛を語る



「偽モノにも程があるだロウ!!」


 雪脱兎が置いて行ったユノ先生的なソレは、こちらを指を刺して酷いことを言ってくるが、わたしはゴキゴキと指を鳴らしながらちゃんと正当な聖女だと胸を張る。



「だから結局のところは本物よ!聖なる力で癒したじゃない!」

「むシロこちらヨリも悪の波動ヲ感ジたガ!?」

「気のせいよ!!ねぇ神獣のお母さん!」



 後ろに控えてくれた聖獣カロッコウとその兄弟達が目一杯頷いてくれることが心強く笑みを返せば、先程までの表情とは違い明らかにユノ先生の綺麗な白髪が黒ずんで、その眼までも黒ずんでいく。



「もう少し時ヲ稼ぎたかったが仕方ガナイ! 今すぐこの身を我のモノとして、この地を黒く染め上ゲテやろう!!我が身ニ集まれ!!黒き魔力ヨ!!」



 そう言って手を広げれば、周りから黒い魔力が集まっていく……!!




「あ……アれ??」



 しかし思いの外集まらなかったのだろう、ユノ先生の姿すらも6割程度に黒っぽくなっただけで、その地面の周りがちょっぴり黒くなってる程度。



「何故ダ!! この世界は、先人達の血、それに人々の日々の暗き願いや思いが……!」



 そこまで言われて手をポンと着くと思い当たることを言ってみる。



「あっ、さっき世界まとめて浄化したから?」

「アレ本気でヤッテタのか!?そんなこと出来るわけガ……!!」


「出来ちゃうのよ」



 わたしは地を蹴ると一瞬で近付き、そのユノ先生の端正な顔面に手を付いてそのまま勢いよく後頭部を地面に叩きつけてあげる。



「それが人の愛の力ってもんでね。アンタの知ってる聖女と違うっていうなら、このわたしが真の愛を知ったからよ……!アルフがわたしを好きだって、大好きだって、世界一好きだ〜って言ってくれた相思相愛こそが力の源よ!」


「そんな単純な……!?」



 指の隙間から目を大きく見開くその顔にわたしは笑みを浮かべながら、残り全部の魔力をその手に宿す。



「単純だなんだって愛なんて複雑で難しく考えないのが1番よ!! 愛は……紛れもなくただ一筋の愛なのよっっ!!!」


「やめ……やめろぉぉぉ!!!!」


 叫ぶユノ先生のその身体へと聖なる魔力を全力で押し込もうとすれば、最後の抵抗とばかりに黒の魔力が押し返してこちらから流れる聖なる魔力と均衡する……!!



「絶対……絶対負けないわ!!」


「そうですわ!! 愛が負けてなるものですか!!!」



 突然わたしの手に重なった白い手の主を見つめれば、その人はいつの間にか意識を取り戻したシャルティエ様。



「ナタリーさんの愛にわたくし負けるわけにはいきませんのよ!」

「そりゃぁ百人力ですね!!」



 一歩間違えれば愛のあまりに悪女に落ちるほどのその愛の重さは計り知れないと、引き攣る笑いのあとにニヤリと笑うと、



「んじゃ、シャルティエ様の魔力も便乗させて頂きますか!!」

「秘密にしておりましたけれど、わたくしの魔力も大概だったりいたしますの」



 お淑やかな笑みの割に重ねた手から流れる魔力は言うだけあってなかなか膨大で……。それは嫉妬の時にシャルティエ様から黒く溢れ出てるのも頷けると背中に汗を掻きながらも……集中してその魔力を取り入れて聖なる魔力に変換をして……、




「これぞっっ、愛の力よ!!!」

「それでダメならナタリーさんの拳で叩き込みなさい!!」

「合点です!!!」



「お前タチ、本当に聖女カ!!!?」



 そんな会話と共にわたしたちから光が溢れ出て空へと柱として立ち上がる!



「だから何回も聖女だっつってんでしょぉがぁぁぁ!!!」



 わたしが大声で張り上げれば、シャルティエ様も負けじと声を上げ、


「愛とは一途に思ってこそですわ!! 愛するものを犠牲にしている貴方が愛を、そして聖女(ナタリーさん)を! 語るべきではございませんわ!!!」


 その言葉と共に吹き上がった魔力は勢いよくそのまま急降下してユノ先生の中へと叩き落ちる。



「グァァァあァァぁアァァァウァァァァァァァガァァァァァぁガァァァァァァァァァぁあァァガグァァァァァァァァァァァあぁァァぁぁぁ!!!!!!!」



 聖なる魔力が入り込むと共にユノ先生の中のソレの断末魔はその場の人々は思わず耳を押さえるほどに響き渡りその身が一度跳ねると黒き魔力が溢れ出ると、ソレはそのままユノ先生から離れてチリのように消えて……無くなっていった。




「ナタリー……終わった……の……か?」

「終わったよう……ですね」



 呟くようなイーサックとブルーノの声に返事をしようとした時、



「ニャタリー!!聖杯を持ってきたぞ!!」


 いつの間にか居なくなって戻ってきたらしい王子の手には礼拝堂の聖杯。



「聖杯ですか?」

「そうだ!!!ユノ先生が黒くなって行く時に思い出してな! 『聖女が清くありし形へと戻した魔力を使いし時、魔に嚥まれたものを救うであろう』 そう王家に伝わりし伝説が……!」

「遅いわぁぁぁぁぁ!!!」



 思わずその顔面に蹴りを入れてしまいながらも、『清い魔力に戻した力』というならば……、シャルティエ様の魔力を借り、それを聖なる魔力として使った結果としてそうなったのだと納得する。



「お姉様!聖杯が!!!」


 ブルーノにそう言われて見てみれば、気を失った王子の手から聖杯が落ちていく。



「割れ……る!?」



 皆が血の気が引くのを感じ、わたしは落とさぬよう王子から足を離し必死で身を捻った。




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― 新着の感想 ―
[一言] 割れて中身が溢れたところで三原色の性欲もろとも浄化すればいいだけだし
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