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聖女ちゃんは免れたい!〜力の為のR18展開なんて断固拒否します〜  作者: そらいろさとり


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68.聖女ちゃん信頼する



 ラブラブな2人の邪魔して馬に蹴られたりする前に、まずはイーサック先輩を探して口止めをしようと思い、フランツ王子とシャルティエ様とさっさと別れて探し回っていれば、いつの間にか近くに来ていたブルーノ先輩に声をかけられたが……、その顔を見上げてみるが、何故かその瞳はわたしを見ておらず遠くを探すように動いている。


「あっ、ナタリーさんすみません。お聞きしたいのですが……その、トウドくんは来られましたか?」

「いえ、来ていませんが」

「……その……僕が良ければ来てくださいと招待状を送ったのですが……、そうですか」



 眉尻を下げて明らかに落胆する様子に、弟への本気度は本当に本気だったの!?と驚き固まるが、しかしそれを指摘するほど無粋なことは流石にすべきではない。それにまだお子様のトウドにはこの気持ちが分かるわけではないのだろう……そんな思いでその肩でも叩いてみようと手を上げようとした時、わたし達の背後から元気な声が響く。



「あっ、ブルーノ様!!それに姉様〜!!えっと、ご招待頂きましてありがとうございます。トウド・フォレスター、お招きに預かりました」


「トウド!?」

「トウドくん!!」


ニッコリと笑って敬礼するトウドの姿にわたしもブルーノ先輩も目を丸くして名前を呼べば、トウドはビックリした様子で肩をすくめると、



「姉様……えっと、ごめん。来ちゃ……ダメだった?」

「だめって訳じゃなくて、その、どうしたの!?」

「え?呼ばれたから馬車で来たよ。姉様やブルーノ様にも会いたかったし」

「そうじゃなくて、トウドその髪は?!!」



トウドの長かった白銀の髪はバッサリと耳が出るほどの短さへとなっていて、まだあどけなさの抜けきらない顔がハッキリと見える。



「あ、(コレ)? も〜ぉ、姉様ってばちっとも帰ってこないんだもの。切ったの夏前だよ」

「え、そう……なの?」



そう言えば春から帰れていなかったと流れる時の速さに驚けば、トウドはその膨らませたほっぺを鎮めて「仕方ないなぁ」なんて言って眉尻を下げて笑ってくれる。



「その……似合いますね」

「わぁ!ブルーノ様ありがとうございます!!うちの町のみんなは長い方が女の子みたいで似合ってたっていうんですよぉ」

「ははっそんなことないですよ。トウドくんにはどちらもお似合いですよ」



 そう言って目を細めて愛おしそうに笑うブルーノ先輩にトウドは少しビックリした顔をしてから、えへへっと照れ臭そうに満面の笑みを見せた。


「ちなみに何故お切りになったのですか?」

「あれは、願掛けだったんです。姉様が幸せになれますよーにって」

「わたしの?」


 突然の私への願掛けと言われて驚けばトウドも言ってしまったとばかりに「アッ」と呟いたあとに、クスクスとイタズラがバレた子供のように笑う。



「あのね、実は……」



 口元へ手を当てて内緒話を告げる様子にわたしとブルーノ先輩が耳を寄せると、パーティーの開始を知らせる鐘が大きく鳴り響く。すると会場の前にある台でフランツ王子が飲み物を持った手を高く掲げ、注目げ集まるのを確認して声を上げた。



「さぁ皆の者!お待ちかねの時間だ! 3年間皆と共に切磋琢磨し笑い合い過ごせた日々は色褪せることはないだろう。この先の人生、絡むことも無い同士もいるだろうが……、それでも俺たちは確かに今日の日まで友であった。 皆の未来に祝福を!! 乾杯!」



 

 その言葉はこの先は王に向けて動き出す彼の姿へを想像を繋げられ、皇太子である彼の口上に涙する人が居たりとする中、乾杯(ソレ)に続こうとする人々の口が開くより先に……、突然勢いよく会場が壊れんばかりの音が響き渡り、皆がその壁を見ると外から叩かれた様にひびが入っている……!!


 人ではありえないその力を目にした途端、和やかだったパーティー会場は一変し、泣き叫ぶ声、慌てふためき騒ぎ出す人々。

 そんな中フランツ王子はシャルティエ様を片手で胸に抱きしめつつも声を上げて参加者達を扉へと逃げるように誘導している。


 そして……壁に近かったわたしはトウドを守る様に反応したが、それよりも早く守る様にブルーノ様がトウドを庇っていた。


「トウドくん!逃げるんだ」

「はっ、はい!!」


 そうは言ったものの、まだそこにいる人達の中で一番身体の小さなトウドを見て、ブルーノ先輩のいつも冷静なその顔に悩みが見える。



「そうだナタリーさん!君も逃げるなら……!?」

「ブルーノ先輩、トウドをお願いします!!わたしは裏方のみんなを逃げるように誘導してきまぁっす!!」



 わたしの反射的な動きよりも先にトウドを守ってくれた先輩へ笑顔を送れば、心配そうにトウドを守りながらもわたしを止める先輩と、その横で頷いて手を振り見送るトウドが見えて、わたしは笑みを返すと続けて音の響く壁の前を走り抜けていった。






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[一言] トウド☓ブルーノか、どうかお幸せに ナタリーに弟が出来るよ
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