53.聖女ちゃんが聖女ちゃん?
「いやいやいやいや、ちょっと流石に…!」
「ナタリー、大丈夫似合ってるよ!」
ほぼ無理矢理被らされたウィッグはポニーテールでは無いものの、色は聖女の時の白銀に近くて冷や汗が流れる。
「いや、似合ってなくはないかもだけど!?」
「なんだぁ〜。ナタリーも自信満々じゃない。でもこの一個だけ買えたポニーテールのウィッグはあたしのね」
「どうぞどうぞ!!ダリアンが1番似合うと思うよ!」
両手を前におすすめすれば、まんざらでも無いと髪を纏めてウィッグに入れていくダリアン。
「ふふふっ、ダリアンもナタリーもよく似合うけど、ゴメンねダリアン。今日は折角巻き髪にしたから、また今度お揃いにしようねぇ〜」
「そっかぁ〜、クレープ今日髪の毛凝ってるもんね。なら次回出掛ける時にお揃いで聖女様しようね♡ あっ、制服で出掛けたら正に聖女さまだね!」
くるくると可愛らしいクレープの髪を見ながら楽しそうに話すダリアンに、わたしは洒落にならないと背中でダラダラと汗を流していれば、
「ポニーテールとはいかないけど、ナタリーの髪も素敵だねぇ〜。触っていい?」
そう言ってクレープは触ると、ウィッグとわたしの金茶の髪の毛を組み合わせて三つ編みにしてくれる。
「うふふっナタリーの髪色も素敵だからアレンジしちゃった♡」
ウインクと共に告げるクレープにダリアンが不満気に、
「え〜、聖女様といえばポニーテールなのに……ま・いいか。あたしが本物に近いって事で⭐︎」
そう言って自慢げに笑っているので、こくこくと大きく頷いておく。
「聖女!?」
その声と共に肩を掴まれ振り向けば、ブルーノ先輩。
「違いますけど!?」
「君は……ナタリーさんか。すいません。なんだか……」
少し青い顔で告げる青い人に、とりあえずニコニコとわからないふりをしていれば、ダリアンが横から入って来てくれる。
「ブルーノ様! 聖女様と言えばこの様なポニーテールじゃないですか!」
「ん・あぁ、そうですね。しかしその頭は?」
「今流行ってるんです。ウィッグです!!」
楽しそうに一周回りながら話すダリアンに、感謝をしていれば、ブルーノ様がぶつぶつと何かを呟いているのに耳をすます。
「ウィッグ……?成る程。白銀の女性とばかり絞っていたが、カツラと考えれば背丈や何かを次回凝視し調べれば粗方絞れ、正体に近付く事ができるのか?いや、カツラの購入者を調べれば……?」
その言葉はわたしの背中にヒヤリと汗を流させ、
「流行りのウィッグは今日開店らしいですよぉ!!勿論王都初出店! ナタリーこんなものはじめて見ました!お洒落ですね!」
「そうか。ナタリーさんは王都に今年来たばかりだからね。たしかに女性貴族の一部では既に使っている方もいたのですよ」
丁寧な説明はカツラ疑惑は晴れていないと言っていて、「そうなんですねぇ〜。田舎者だから知りませんでした」と笑って誤魔化す。
「女性だけでの買い物中に失礼しました。では僕はやることが見つかったのでこれで」
手を上げることもなく早速と去るその姿に「やっぱり素敵ねぇ〜」とダリアンが夢見心地で呟いたかと思えば、
「さっ!買い物買い物!! 今日はこの聖女様ウィッグに合うリボンを探すんだから!!」
そう颯爽と歩き出し、わたしとクレープは少し目を合わせてから……、仕方ないねと苦笑いをしてその後をついていった。




