42.聖女ちゃん真実に近づく
「アルフくんごめんねぇ〜。この前は急に買い物お願いしちゃって」
「いや、いいよ。でも次からは……なんていうか、ナタリーにはプレゼント関連はあまり頼まない方がいいかな?」
「………やっぱり?」
「うん」
週の初め、教室を覗くなりアルフとクレープが真剣な顔で話してるところに手を振り「おはよう」と挨拶して入っていく。
「おはよ〜ナタリー、今日は部屋を先に出てごめんねぇ。えぇっとぉ……良いもの買ってくれた?」
「わたしも道すがら考え事あったし全然大丈夫だよ〜。あとね、プレゼントはね、沢山選んで沢山悩んだけど、最後はアルフの選んでくれたスタイと、先生にはそれとお揃いのハンカチにしたよ」
「それは安心!」
何が安心なのかわからないけど、とりあえず笑って頷いてプレゼントはアルフからクレープに手渡された。
「渡すタイミングはクレープさんに任せるよ。クラスのみんなからお金を集めてくれたんでしょ? ありがとう。あとお疲れ様」
アルフが微笑み言って、たしかにそういった大変な下準備をクレープはいつもいつの間にかしてくれてると、わたしからもお礼を伝える。
「2人ともありがとうって言ってくれてありがとう。でもほんのちょっとのことだからぁ〜。ナタリーやアルフくんみたいに駆け回ってる訳じゃないし気にしないで。それより買ってきてくれてありがとう! こーゆーのは早めに渡せてた方がきっと喜んで貰えるものね〜。先生が朝来たらすぐに渡そうと思ってるの」
ニッコリと笑うクレープに頷いて、一緒に隣の席に着いてタイミングを話し合えば、アルフも一拍置いてから席へと向かっていった。
*****
そしてその日の放課後。
「ダリアン!」
スタッッとダリアンの行き先を塞ぐ様に飛び降りれば、目をまん丸にして驚く姿の前に両手を広げて立ち塞がる。
「ナタリー!? 今、どこから現れたの!?」
「ここの木の上」
「この野生児……っ!!」
寮へと向かう一本道。今日こそはと心に決めて、暫くわたしを避けてるダリアンと話をしようと決意していた。
……しかしダリアンはやはり今日も素早く先に帰ろうと教室を出て行った……が、しかしその先へとわたしは回り、ちょうどいい木の上でアルフからの鬼ごっこのアドバイスに従い、ダリアンを待っていたのだ。
ちなみに今朝は1人で登校しつつ探した、葉が多い茂って肉体強化魔法も使わずに降りられそうな……3メートル程度の高さにある乗っても折れなさそうな木とその枝はまさにイメージ通りのピッタリいい木。
これを見つけたわたしの喜びはかなりのものだったことは、今ダリアンに伝える必要はないと胸に秘めて……、そして改めて本当に話したいことをしっかり目を見て伝えることにする。
「ダリアン!わたしのこと嫌いになったなら嫌いになったとか、わたしに不満があるならあるって、それなら直したいしどこなのか教えてくれない!?」
「ナタリーは遠回しに聞くとか知らないの!?」
「そーゆーの苦手!!!」
ハッキリとキッパリとダリアンに言えば、呆れた様に息を吐いて、困った様に視線を揺らして……、その姿をジッと見ていれば改めて目が合うと……ダリアンは吹き出しお腹を抱えて笑い出した。
「プッ……あはっ、あはははははっっ!あーーーー……もうダメ。ナタリーに隠し事してもこんな真っ直ぐ来られたら逃げられないよね」
笑い涙を拭った後に、ダリアンは傷だらけの手を広げて此方へ向ける。
「……!!!」
「ナタリー……わかった?」
眉尻を下げて笑うその姿に胸が痛んで、その手の先のダリアンに泣きそうになってしまう。
「……なんで、言ってくれなかったの?」
「恥ずかしくて言えないじゃない?」
「なんで!?」
この傷は修行の証。
きっと偽物…なのかもしれないけど、聖女になる為に日夜特訓してつけた傷。
それでも理由が聞きたいと……しかしダリアンがわたしの正体に気がついているのかも分からず、それ以上は口が開けずただ浮かぶ涙を堪えていれば、ダリアンはなんだか情けない顔をして口を開くと同時に頭を下げて、
「ごめん!!」
そう声を上げた。




