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4.聖女ちゃん誤魔化す!




「ナタリー、大丈夫?昨日やっぱりトイレで倒れたんだって?」


心配そうにアルフに掛けられた言葉に「ごふぅ」と気持ちのみの吐血をしてダメージを受ける。


「お、乙女の体調不良で…」

「今日は大丈夫?」

「やっぱり具合悪いかも〜…ちょっと保健室にいってくるね?」


少し弱々しくそして可愛く微笑んで言えば、



「悪い物食べたなら、保健室より保健所で調べて貰った方がいいかもよ?」



そんな酷いことを笑顔で悪気なくいうのが、マイダーリン(予定)。顔が引き攣るのは仕方ないけど、可愛くみられたいのでなんとか耐えるわ!



「乙女らしく可憐な私が、もうそんな悪いもの食べるわけないでしょ?」おほほと距離を取れば、

「そっか、成長したことにしたんだね」と、可愛い笑みを返された。


…成長したことにしたって何か気になるところだけど、気にしないことにした。




保健室に向かうと言いながらも、ゲーム上でしか見られなかった学園の構造を把握しようとまずは一年生の使う範囲を散歩していれば、前からどこぞの王子様と思われる赤髪が歩いて来たので、思わず右へと曲がり階段を登ると、目の前から絶対的金髪美少女の悪役令嬢様の登場です。



「前を失礼いたしました」


「あら?貴女…入学式の日にお手洗いから保健室に運ばれた…体調はもういいの?」




口元に手を当てて微笑むのは善意か嫌味か。




よしっ!!そんな時は全て善意で捉えよう!!!!!




「ありがとうございます!お見苦しいところをお見せしたなら失礼いたしました。ご心配をおかけして申し訳ありませんが、もう完全完治です!シャルティエ様に至りましては本日も見目麗しく、素敵な御髪に、素敵なボディーラインを目に入れさせて頂きありがとうございます!!!」



後半は自分でも何を言ってるのかわからない状態だったが、その少しだけ吊った瞳をパチクリとさせる姿は年相応で可愛らしくて、とりあえずヘラリと笑えば、シャルティエ様もクスクスと笑ってくれた。


「貴女、面白い子ね。今度お茶会にいらっしゃいな。そんな褒められ方したことないわ」



口に手を当て笑う姿は、この先わたしを突き落としたりする悪役令嬢様には見えなくて。



「身に余る光栄です!!」



行くか行かないかはさて置いて、満面の笑みで返せば、


「なんだシャルティエ。ここに居たのか」


そんな高圧的な言葉が聞こえると共に、シャルティエ様もスカートを掴み私の後ろに向かって頭を下げた。



「ご機嫌麗しゅう、フランツ様」



大慌てで横へと避けて頭を下げた所で、シャルティエ様が美しい笑顔で挨拶するのを「あぁ」などとやはり偉そうに返事をする。いや、偉いのだろうけどね!!第二王子で王位権争いしてるレベルの偉さなんだろうけど、もう少しなんとかならないかしら?ほら、うちのアルフみたいに人当たりよく、領地の評判とか最高な可愛い笑みを少しは見習って……うちのアルフ!!やだ!旦那さんみたいじゃない!!



「おい、そのアホみたいに頭を下げ続けてるのは誰だ」

「あら、そう言えばお名前をお聞きしていなかったわ。貴女お名前は」


「…お、お耳に入れる程の名前では……」


シャルティエ様にお入れして、もうなんなら取り巻きで平和に過ごせるならナンボでも教えますが、この俺様王子の耳に入れたくないと、下を向いたまま答えれば「なんだ、言ってみろ」などとやはり偉そうに言われた。



「ヌァ…ニャタリー・フォレフハーですわ…」


ゴニョゴニョとナタリー・フォレスターを誤魔化し言ってみたけど、何も誤魔化せてないわ。


「ニャタリーね。可愛らしい」

「変わった名だな。まぁいい、では俺は行く」



その言葉と同時に俺様王子が去るのを頭を下げたまま足元で確認する。



「ニャタリーさん?そろそろ顔をお上げになったら?」

「あ!失礼いたしました!」


勢いよく顔を上げて改めて見ればシャルティエ様の後ろにはなんだか知った顔。



「ニャタリー…じゃなくてナタリーさんじゃない?」



それはクラスメイトゥ!!!



「えへっ、緊張して噛んじゃいました。シャルティエ様、ナタリー・フォレスターです」


改めてスカートを摘んで挨拶をすれば、クスクスと取り巻きの皆様含め可笑しそうに笑われるのをヘラリと笑って受け流す。



道化でもピエロでも何を演じてもいいの。私の幸せな結婚ライフのために、断固いやーんあはーんな展開だけは断固拒否!!!




待っててね!!アルフ!!!!

私たちの幸せな結婚ライフ!必ず守ってみせるわ!!




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