32.聖女ちゃん後悔する
なんか……この前の春の連休でもこんなんだった気がする…。
「ニャタリー、あれ知ってるか?なんだかお前の国の出店の食べ物みたいだな」
「そ、そうですね。似てますかね?」
15歩に一回楽しそうなものを見つける王子様。
「ナタリーさん。トウドくんは…将来は王都にくるんですかね?」
「知らないですわ。オホホホホホ」
何かにつけてはトウドの話を振ってくるブルーノ様。
「ナタリー……これ、取ったから…やる」
「いつの間に……。あっ、投げ輪の景品ですか?紺色のワンコちゃん…えへへ可愛いですね」
イーサック先輩はどこかに離れていて、今度はいつの間にか戻ってきたと思えば、軽く渡されたワンコのぬいぐるみは、なんだかちょっぴりアルフを思い出させて、この場にいない事を嘆きながらも部屋に飾ろうと……いや、ついでに一緒に寝ようとか添い寝しようとか朝晩チューしようとか考えてないし?!
「……えへっ」
リアルアルフが隣に寝てる姿を想像して、メチャクチャ腑抜けた顔になったのを慌てて引き締めて「ありがとうございます」とお礼をつげる。
「もう一個…取るか?」
「いえ、一つで大丈夫です。ありがとうございます」
持っていたバッグへと入れてワンコの顔だけ出せば、なんだか目が合った気がして頭を撫でてから、また何かを見つけた王子を追いかけたところで見かけたことのある後ろ姿が見える。
「あっ、シャルティ…」
呼び掛けた名前は最後まで呼べず、口元を押さえられて裏道へと連れ去られた。
「んーーーーーっっっ!!!!!」
必死で叫ぶ声に「おい待て、静かにしろ!」そう言われて見上げる顔はフランツ王子。
「シャルティエは最近妙に固執してきてな。こうして自由に遊んで居れば怒ってくるんだ。今日もきっと……イテェッ!!」
ガブリと噛んでその腕が回されている身を捩りながら「離して下さい!!」と言えば、何のことかわかったらしく慌てて両手を上げて離してくれる。
「……あーー……すまん。あまり気がつかなかった…というか…うん」
視線を逸らして言うそのわたしの胸を押さえ付けていた右手を何故かニギニギとする姿に、とりあえず投げ付けてやろうとバッグを振りかぶるとそれが手元から…消えた?
「え?」
手ぶらになった手を見て、その先を見れば一目散に逃げる人物。
「おい、ニャタリー。知り合いか?」
「ンなわけ無いです!!ドロボー!!!」
慌てて追いかけて行けば、賑やかな街中を人にぶつかりながら逃げていく男。
そしてその脇に抱えられたバックからは助けてと言わんばかりのアルフワンコがこちらを見ている。
「返しなさいよっ!!」
街中で…しかも三原色トリオが見ている中で肉体強化魔法を使う訳にはいかないと、人混みを走り抜けながら追いかける。
「ニャタリー、任せろ」
颯爽と走り出すフランツ王子はやはり軽やかで、差をあっという間に詰めていく。
しかし犯人もそれに気が付いたのか、当てたように懐からナイフを出して「退けぇぇ!!」と叫び振り回せば、祭りには似つかわしく無い逃げ惑う人々と悲鳴が響き渡る。
「フランツ様、危ないですっ!わたしバッグは諦めますから!!皆さん逃げて!!」
必死で叫ぶが王子には届かないのか聞く気がないのか…走り抜けようとしているが、混乱するお祭り会場の人々の動きに阻まれ始める。
そして開けた場所に来るとその犯人の前にはまだ状況が飲み込めていなかったのか、一人の人物が立っている。
「どけぇぇぇぇぇ!!!」
犯人も苛立って居たのか狂気めいた声と共にナイフを振り上げその彼へとその切っ先を向けた事に、わたしは悲痛な声をあげる。
「アルフゥゥゥゥ!!!」
伸ばした手は遠く必死な呼び掛けは彼に届いたのかわからない。
ただ浮かんだ涙が目の前を歪ませていた。
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