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聖女ちゃんは免れたい!〜力の為のR18展開なんて断固拒否します〜  作者: そらいろさとり


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30.聖女ちゃん悲しみに嘆く


「ひぇぇ〜終わったよぅ〜」

「お疲れ様。これで夏休みを待つばかりだよねぇ!」


全てのテストが終わったと知らせる鐘の音と共に、机に突っ伏すわたしにクラスメイトのダリアンが声を掛けてくれる。



「本当ね。そうだ、ダリアン!王都の夏祭りってすごいんでしょ?」

「ナタリーは来たことないんだ?すごいよ〜!町中に花吹雪が舞ったり、出店も色んなところから来るから珍しい物も多いし!」



ダリアンのキラキラした目が言葉以上に楽しさを表現しているので、わたしもつられてウキウキが増していく。



「そっか〜!わたし地元の小さなお祭りしか出た事無くて。えへへ、美味しいものあるかな?」

「あるよ〜!ねぇねぇ当日は一緒に回らない?」

「いいの!?」


女の子同士の食べ歩きなんてなんて素敵なんだろうと思わず立ち上がり言えば、ダリアンも大きく頷いてから「クレープは?」と、お誘いすれば、「すっごく行きたいから午前だけでもい〜い?午後は用事があるの」と、少し申し訳なさそうに返される。



「なぁにぃ?もしかしてクレープってば、恋人と約束とかぁ?」

「えぇぇえ!?わたしも知らないよ!?」



ダリアンの悪戯っぽい笑みで言われた言葉にわたしが驚けば、クレープは「だったらいいのだけど…、お家に来客なのよぉ」と、眉尻を下げて笑う。



「なぁんだ。あ・その点ナタリーはまだ大丈夫よね」

「その通りだけどね!!」


悔しいかな想い人がバレてる2人に笑われて、チラリと見ればその彼は席を外している。



「花冠、貰えるといいね」


クスクスと笑うクレープに「ハナカンムリ?」と、おうむ返しに首を傾げれば、今度はダリアンが「それも知らないの?」そう驚いた顔をされて説明してくれる。



「好きな男の子に花冠を貰えると2人は幸せになれるんだって」

「ナニソレゲキレツホシイ」

「カタコトになってるし」


笑う2人に笑い返せば、休憩時間の終わりを告げる鐘の音が響いた。




*****



翌日ウキウキとお昼に食堂へと向かっていれば、後ろから声がかかる。



「ニャタリー!夏の祭りの日は何をしている!?」

「約束があります」

「家族か?トウドも来るのか?」

「………いえ、違いますけど。……トウドに何か御用ですか?」



思わずジトっとした目で見返せば、フランツ王子はカラカラと楽しそうに笑い、


「なんだかブルーノが気にしていてな!あいつにしては珍し…」

「トウドは来ませんし、すみませんが先に友人を待たせておりますので…」



食い気味に言いつつ、頭を下げれば「そうか伝えておく」と楽しそうに返された。



「だ・そうだぞ。残念だったなぁ、イーサックも」

「……別に聞いてくれ…なんて、言っていない…」


私の去った後にイーサック先輩が角にいて、2人がそんな会話をしたとは知らずに小走りで食堂へと向かった。




*****




「赤点のあった者は、夏休み補習がありますので、帰省せずにちゃんと来てくださいね」



そう言ってニッコリと笑うキツく一つに結んだ髪に赤い口紅がセクシーなジョデ先生に涙を浮かべた目を向けるも気が付かれず、


「最近は魔物のせいで授業が潰れてしまったこともあり、あまり平均点もよくありませんでしたが……赤点はほぼ居なかったのは皆様野努力の成果かと思います。では補習者以外は夏休みを楽しんで下さい。以上!」


ガラガラピシャンと無情にも閉められた扉に、みんなホッとした様にワイワイと話し始める。



「ナタリー!お祭りはどこで待ち合わせする〜?」

「………学園…かな?」

「は?」



楽しそうにわたしの机まで来たダリアンは言葉の意味を理解したらしく、わたしのテストを手に取り「あちゃー」と呟く。



「ナタリー、そういえばテスト前最後の授業の時休んでたよね…経済学…」

「他はクレープのノートでなんとか追い付いたけど…」

「経済学だけ先生早口で捲し立てる様に詰め込んで来たからね…ほら、うちのクラス経済学が避難で潰れる事多かったから」

「魔獣…!!許すまじ!!!」



血の涙でも出そうな勢いで呟くが「そうだよねぇ〜魔獣のせいで授業潰されて、しかもナタリーは捕まって怪我までして、それでこれじゃぁね…」


ポンポンと頭を撫でられるが、もう本当許すまじ!!それじゃなくとも奴等との戦いで疲れ切って、復習も出来ずに寝てしまう日々が続いたせいで、他の成績も赤点ギリギリ。


「復習の復讐をすることで完結させる…!」

「復習は復習を?復習と予習じゃなくて?」


わたしの呟きをダリアンが不思議そうに言うのを、クレープな笑って「怪我してたもんねぇ〜」とかなんとか言って誤魔化してくれる。

小さな声で「聖女様らしからぬ事いってるわよぉ?」とか言われたけどそんな場合じゃない。


「夏祭りぃ〜〜っ!」

「でもホラ、一教科ならすぐ終わるし…えっと予定は…」


みんなで渡された予定表を覗けば、そこにはお祭りの日付がかかれていて、その先には


『経済学は一日のみ。10時〜16時』




「「「長ッッッ!!!」」」



思わず3人の声が揃ったのも仕方なく、他の補習は数日に渡り一時間毎とかなのに、経済学だけは一日詰め込み方式。



「ナタリー♡頑張れぇ♡」

「ナタリー…祭り、楽しんでくるね!」


クレープの可愛い応援と、ダリアンのしっかりした諦めに涙を浮かべて、




「わたし 頑張ってるのにぃ〜〜〜!!」




そんな泣き言を叫んだのも仕方ないと思う。


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― 新着の感想 ―
[一言] おお、赤点一つで済むんだ、予想外
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