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聖女ちゃんは免れたい!〜力の為のR18展開なんて断固拒否します〜  作者: そらいろさとり


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27.聖女ちゃんピンチに陥る





ズシャァァァァァッッッ!!




豪快に砂を巻き上げて止まるはヤモリ型の魔獣…と、反対側にはこのわたし。

蹴り飛ばしたもののカウンターを肋にくらい飛ばされてしまった。



「く…っ!なんか強くなってないッ!!?」




毎度親切にも放課後や休み時間に現れるご都合主義な魔物だけれど、一学期も後半に差し掛かった今回は先程鐘が鳴って午後の授業が始まってしまった。



「…とはいえ、みんな午後の授業は……避難で潰れてるけどねッッッ!!!」



脚に力を込めて高く跳び上がれば太陽を背にしたせいか、見上げた魔獣の視界が削がれる。



「夜行性が昼間に活動すなぁぁぁぁぁ!!!」



その脳天に渾身の右ストレートを叩きつければ、鼓膜に響く悲鳴を上げるとそれよる風圧なのか見えない何かに飛ばされてしまった…!!



「グァ…ッ!!」



背中を校舎に叩きつけられ、思わず出た悲鳴とともになんとか両手を広げて聖魔法で魔獣を囲み、パンっと手を叩けば、光となり消えていく。



「なんなの…?こんなに強いだなんて…」



ズルズルと背中を壁に付けて座り込めば、目にしているマスクがズルりと落ちそうになっ………



「聖女さま!大丈夫ですか!?」



その声は間違うわけなくアルフで、慌ててマスクを付け直して必死で立ち上がる。



「オイ!聖女!俺を待たずにまた一人で倒したのか」

「くそ…っ出遅れましたね」

「……」



そちらを向けばアルフの前には三原色トリオが居て、わたしは何も言わずに跳び去り消える。



『 肋やられてまで必死になって、なんで文句言われなきゃいけないのよ! 』



跳びながら回復魔法で骨折を治しつつ木々を渡って森の奥へと一旦向かえば…疲労から意識が弱まっていたのか足を滑らし落ちたのをなんとか木を蹴って体制を立て直そうと…、



「湖っっ!!!」


跳んだ先は湖で当然足をつけるはずもなくそのまま豪快な音を立てて、蹴り飛んだ勢いのせいで一度水面を跳ねてから中へと落ちた。



「もう…最悪ッッ!!」



水面から顔を上げれば、当然マスクは落ちて水に浮かぶのはいつもの金に近い茶色のわたしの髪。



「もう…っ、この姿じゃトイレで飛んで着替えるわけにもいかないし……」



制服のままでは泳ぎにくいが、しかし子供の頃から川で着衣泳の練習をしておいて良かったと、マスクをブラにしまって泳ぎ出して陸へと向かう。



「髪型が台無しだわ…」


小さめとはいえ湖に落ちた衝撃からかポニーテールも解けていて、お気に入りのリボンは聖女の時に使うべきじゃ無いと無くした悲しみに打ちひしがられながらも情けなく岸に辿り着き顔を上げれば、「どうもこんにちは魔獣さん☆」なんて軽〜く挨拶したいほど顔面至近距離に2メートルはありそうなイモリの魔獣。



「あは☆ナタリー知ってる☆イモリはお腹が赤くって、ヤモリは赤くないんですよねぇ〜」



えへっとヒロインらしくウインクと共に可愛く笑えば、そのペタリとした大きな手が振り上げられて……叩きつけられる!!



「ひえぇっ!!」


湖から上がったところでの急なことにへっぴり腰で逃げ躱したが、まだ肋が完全に治っていなかったらしくそのまま躓けば、ペタペタと表現するには速すぎるその音に振り向くと先程と同じくらい至近距離に迫るイモリ。



「……アロー」


声と同時に左の森から突然現れた弓に魔獣は悲痛な声を上げながら吹っ飛ばされていった!



「…ナタリー、何故…ここに?」


現れたのは想像通りのイーサック。

顔面蒼白になりながら、マスクが見えないかと慌てて胸元を両手で押さえれば、慌てたようにイーサックが目線を逸らした。



「透けて…は、いないぞ」



セーラー服が紫色だったのが幸いし、濡れた制服を恥ずかしがったと思ってくれたらしく、ブラからズレていた仮面をそっと奥へと入れて「すみません…」と、言い訳を考える。



「ナタリー…!」


まだ答えの出ない間にイーサックがわたしに向かって飛び込めば、今いた場所にはイモリの掌が地面に跡を作るほどにめり込んでいる。



「痛…っ」

「…まさか…アイツに連れてこられて…怪我をしているのか…?」

「…!えぇ!はいっ!それはもう廊下を避難に歩いているところを無理矢理…そりゃもう強引に!!」



とりあえず助け舟だと大きく頷き便乗すれば、後ろで何故か魔獣が何故か必死で首を振る。言葉分かってないだろうに空気を読むな!!



「魔獣め……か弱き乙女に……」



相変わらずのボソボソとして喋り声と共に怒りの視線を魔獣に向けるその後ろでわたしはガッツポーズをしているのには気が付かず、「下がっていろ」とお優しい言葉に素直に頷いて木の影へと隠れに走る。




「とはいえ…彼がやれる?」



木々の隙間から見れば案の定に遠距離攻撃の弓の攻撃ではあのスピードによる接近戦は相手に武があり、攻撃こそ躱しているものの、イーサックも致命傷は与えることが出来ずに、なんとか避けながら弓を撃っている。



「……肉体強化…魔力強化…ッ」



人にかけるのは初めてで、最初に隠れた木よりも更に死角になる場所へと移動して、わたしを守ってくれようと必死に戦い、飛びあがろうとするイーサック先輩へとその背中へ向けて魔力を放てば…、きっと思ったよりも筋力が増えた様に感じるのだろう。驚いた顔をして跳ぶとそのままイモリを飛び越してその背後へまで回り込み、予想外の動きのせいか身体のバランスを崩しながらもその魔獣の後頭部へと、



「アロー…ッ!!」



普段以上の威力の弓矢を放ってばその頭をつき抜け、……そんでもってその先には、




「なんって場所が悪ぃぃぃぃっ!!」



わたわたと逃げようとしたが、完治させて居なかった肋のせいで一歩出遅れ、そして先輩の放った矢は隠れていた木に当たりそのままわたしへ向けて倒れて来た。



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