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16.聖女ちゃん、お茶会に行く



「生きた心地のしないお茶会に行ってきます」



同室のクレープへとそう言って、お休みの日に制服を着て、シャルティエ様から本当に届いてしまった招待状を持って、学生寮を後にして学園の温室でのお茶会に着けば…、



……みんなドレスなんですが!!?



「あら?ナタリーさん。今日はお休みの日のお茶会だから…そうね、一年生だから知らなかったのね」



ニコリとシャルティエ様のお友達に言われて「すみません〜知らなかったです」と笑顔で返す。


お茶会の案内には『ドレスコードは無くいつもの服装で』って書いてあったしね!!!そうか貴女方のいつもの服装はそれでしたか!!学生だからナタリー勘違いしちゃった⭐︎テヘペロ!!的なヒロイン的な事を言わなきゃいけないのかしら!?



「おぉニャタリー。女性の茶会に制服とは斬新だな」

「この前の…ナタリーさん…でしたか?たしか地方の伯爵家の娘さんでしたね。たしか…変わった領地運営をされてるとか?」

「……この前の……」




レディーティーパーティーに三原色トリオが居るんですけど!!?そして青い方はよく家の事情までご存知で!!




「あらナタリーさん。ごめんなさい。わたくしの書き方が悪かったわね。いつも学生のお茶会は簡易なドレスなのよ?あまりかっちりしてると疲れちゃうでしょう?」



私の知ってるレベルの超カッチリしてるドレスを着て、少〜し申し訳なさそうなシャルティエ様は、わざとなのかそうでないのか、貴族だけど体を鍛える事に必死だった私には言葉の裏や、真意を取るには対抗できる術はない。



「そうだったのですね。場所が学園でしたから…制服なのかと思ってしまいました」



そのまま返したけど、ヒロインまんまな台詞に心の涙は溢れてくる。




「ニャタリー気にするな。ニャタリーには制服がよく似合うさ」

「………(こくり)」



爽やかに微笑み近付くと肩へと手を掛けて言う王子様…、世間一般で言うところの美しく整ったそのお顔は素晴らしいですが、シャルティエ様のお顔が怖いっっ!!!

しかも何故緑のイーサック先輩は便乗したのかな!?

多分緑派の取り巻きの御令嬢からも憤怒のオーラが出てますが!!?



「大丈夫です!ほら、わたしがドレスアップしたところで、シャルティエ様の足元にもおよびませんし!わたしは制服着てるくらいがピッタリです!」



ニコリと笑ってシャルティエ様を立てれば、少しだけ御怒りのオーラは和らいで…



「なら俺がニャタリーに似合いそうなドレスを送ってやろう」

「………(こくり)」




要らなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっっっっっ!!!





心からの心の叫びは心の叫びだけあって周りに伝わらず、ゴウッとレディー達の怒りのオーラに火をつけたのをヒシヒシと感じる。



「結構ですわ。わたくしなんぞに気を使わずに、シャルティエ様に是非」

「ドレスの1枚2枚程度気にするな」



気にするし要らないし王子様それは国民の血税です!!!



「……何色が…好き…なんだ?」

「いやぁ〜?特に〜好きな色はありませんわ」



イーサック先輩は何故便乗してるのかしら!?




「まったく…女性のお茶会にお邪魔した上に、掻き回すとは…。そういうことをすると茶は渋みが出ますよ」



いつの間にか椅子に座り優雅にお茶を飲んでいた青の…たしかブルーノさんがやれやれと横の二人へと声を掛けてくれる。よし!この流れでそのままお帰えり下さい!



「まったく、その女生徒の何処が気に入ったのですか」




  聞くなや!!!!!




「ニャタリーは照れ屋さんだからな!俺に会って恥ずかしくて名前を言い間違えて訂正も出来ない奥ゆかしさだ」



あえて間違えてなんならそのまま忘れて欲しかっただけです!!



「………怖がり…だから」




トイレに篭ってたのは、窓から出て貴方が襲われてたカマキリ野郎を退治してました!!!




「…お言葉ですがナタリーさんはクラスでは元気な子ですよ」



その声はシャルティエ様の取り巻きであり、わたしのクラスメイトの取り巻きAちゃん!!



「そうなんです!わたし元気いっぱいです!奥ゆかしくも怖がりでもありません!!」



有難う!そう心で感謝して笑顔で頷き言えば、



「そんな奴が、俺に名前を言い間違えるとは、やはり俺の罪か…」

「…無理、するな。怖がって、隠れる事も…悪いわけじゃない」



黙って!!!お願いだから黙って下さい!!!

心の涙はリアルな涙になりそうになれば、



「それにナタリーさん、好きな人、いるでしょう?」



クラスメイトの更なる援護射撃に、クレープにダリアンに続いて同性とはなんてめざといのかと驚くが、微笑むアルフを思い出せばこの地獄に仏で思わずへにゃりと顔が緩む。



「……おい。それはどこのどいつだ?俺よりいい男か?」

「…………護れる…のか?」



貴方より良い男でぇ〜可愛くってぇ〜、そんでもって護って貰いたいけど、物理的な話で言えば命を賭けてでも護りたい人なんです〜!


なんて事は言わないけれど、へにゃりと弛んだ顔は戻せていなかった事を2人の不満げなその顔が物語る。



「えへ」



耐えきれずに出た笑い声は、何故だかブルーノ先輩に響いたようで、「フッ」と笑われて無意識にチョッピリ視線を送れば…眼鏡の奥で妖しく目が光った気がして、全身に寒気が走る…!!




そうだあの人!!!王子ルートとか進んでても「私の方が…いいでしょう?」とか、略奪系の事をやらかしておりました!!!!



改めて顔をキリッとして、


「シャルティエ様、今回は場にそぐわない格好で失礼してしまったので、帰らせて頂きますね!!お誘い嬉しかったです!!!有難う御座いました!!!」




90度頭を下げて敵前逃走させていただきました!!







ブクマ、評価、感想ありがとうございます!

頑張ります!!

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