こうして舞台は現在(リアル)に移る
"ビラ配りの(美)少女"は
鳴り止まぬ拍手の中に幕を下ろした。
その陰では満身創痍な文花ーーの父が救急搬送されていた。
感極まり過ぎたとか。迷惑極まりなかったらしい。
「母の木靴を差し上げます」
少女の誘いに家まで行くと、
"ビラ配りすら出来ないのか"
父親が肩を怒らせて。
養われて当然だしな
良い身分だなーー!
此方に向かって怒鳴り散らす。
このままじゃあ彼女危険じゃないか。
◇◇◇
歳月が過ぎ、
成人を迎えて。
彼女は施設を出ることになる。
援助をしようと向かう先、
先約がいた。彼女の父だ。
かっちりスーツを着こなして、
ビシッと分けた髪の毛黒過ぎ……
ピーンと伸びた背筋は強張る、
笑顔の娘を目の前にして。
(あぁ、ずっと信じて待ってたんだ……)
欲するのは生きること。捨てがたいのは父への情。
こうして"彼"は完敗したけど。
(僕はまだ、諦めてない)
だって文花の未来は"これから"だからーー
きっと春には恋花爛漫、咲き誇れるように。
<おしまい>
◇◇◇
(……そうだ)
"ここで会ったが百年目"よりも良いプロポーズの台詞。今から考えておかないと。
"長年捜していた運命の相手にめぐり会えた"なんて素晴らしい表現はそうそう無い。本当に日本語って奥深しだよねーー
~And they lived happily ever after~
めでたし、めでたし。
ご高覧いただき、有り難う御座いました。
皆様にも"末永き幸せ"がありますように。
2021.5.25 ~SSKK~