1/6
幕が上がるには早すぎる
"星が一つ、流れる夜には
命も一つ。天へと昇って行くらしい"
「おばあちゃん、私も連れていって」
翌朝街の片隅で
少女がひとり
冷たくなっていた
その頬は薔薇色に染まり
幸せそうに微笑んでいたとかーー
<おしまい>
◇◇◇
「……これ、誰が楽しいのかしら」
パタン。
本を閉じ、少女はぽつりと呟いた。
いや、叫んでいた。
ーー少なくとも私は物足りないわーー
「物語のラストは誰もが羨む展開で無いと……!」
心からの笑顔と羨望の眼差し。拍手喝采の最中に下りる幕が理想なのだと。
ならば、それを一身に浴びる"主役"の立場として至極当然の異議ーーなのかもしれない。見過ごせない、と彼女は動いた。
「リメイクが必要ね」
これじゃあ幕を上げられないわ。
これは発言力と実行力と体力と。
極め付きの財力が少女にあったが故に起きた喜劇だーー
Twitterにてリプライ用に書いていたものを
加筆修正して載せています。
リハビリがてらに。お目汚しを失礼致します。