スペードエースの看板娘
近所の子供達や学生のたまり場、カードゲーム喫茶 "スペードエース"。
様々なカードゲームを楽しむ事が出来ると評判の店だ。
ある日そこに女子大生のアルバイトが入った。
彼女はあらゆるカードゲームを熟知し、ガチ勢と言われる常連のお兄さん達へ引導を渡す実力者だ。
そんな超強いお姉さんに毎度懲りずに挑んでくる少年がここに一人。
「いらっしゃい、今日も来てくれたんだ」
「こんにちは。今日こそは勝たせてもらいに来ました」
「へー意気込みだけは褒めてあげる」
「じゃあ、もし僕が勝ったらデートして下さい!」
「良いよ。でもそう言って99連敗してるのはどこの坊やかなあ? 因みに私は無敗記録更新中」
「う、それは否定出来ないけど今日は秘策を考えてきたんです。絶対勝てる」
「へー、どんな秘策か知らないけど返り討ちにしてあげる」
そしてゲームは終盤に差し掛かる。
「僕の場には最強のキャラカードがある。これでアタックが通れば勝ちです」
「でも良いの? 私の場にはまだこれがあるよ」
それはたった1枚の伏せカード。
もしこれが相手のアタックをそのまま跳ね返す効果であれば敗北するのは少年の方だ。
たが彼女の場はその伏せカードのみ。手札も無い。
これが彼女のブラフだと踏んでアタックするには絶好のチャンスだ。
だが今の少年にはこの伏せカードを除去する術が無いのも事実。
アタックすべきか、見送るべきか。
少年の出した結論は――。
「……次で勝負を決めます。ターンエンド」
「結局アタックしてこないんだ。じゃあ私のターン!!」
そして彼女はたった1枚のドローカードから目が回るような展開を繰り広げる。
「私は全キャラカードで少年へダイレクトアタック」
「うわ~~、また負けたー!!」
こうして少年はまたしても敗北。デートもお預けとなった。
「やったー、これで私の100連勝! っというかきみ弱すぎ。このゲーム意外と単純なのよ」
「あー、やっぱりあそこでアタックしてれば勝てたかもしれないのかー! あ、因みにその伏せカードは何だったんですか?」
「これ? 秘密」
「えー、いいじゃないですか教えてくれても」
「ダメ! 君には絶対見せない」
彼女はカードをささっとデッキに混ぜてしまうのだった。
少年が店を出た後、彼女は溜息を吐く。
見つめる先はあの時に伏せていたカード。
「もう、アタックして良かったのに……。だって私がきみにこれを使うことは有り得ないのだから」
カード名は "拒絶する乙女" だ。




