まとめとあとがき
まとめ
古代、縄文時代や邪馬台国では全身刺青をする文化があった。しかしヤマト朝廷支配下で失われる。
江戸、中国文学の水滸伝が庶民に大流行し、水滸伝コスプレ、つまり刺青が大流行。江戸ファッション文化として定着する。
幕末、不平等条約を押し付けにきた英国無敵艦隊はそれを目にする。江戸刺青は英国に渡り、皇室、貴族、船員に大流行。英国皇太子が来日して刺青を入れた。
明治、新政府は西洋技術・文化を重視して日本文化を軽視。刺青も規制され、普段は近しいもの以外には隠し、祭りの時だけ解禁された。
戦後、新憲法により刺青規制が解除。大っぴらにできる文化に戻った。
昭和、ヤクザ映画が大流行。江戸刺青を初めて知った地方人は、ヤクザだげが入れてるものと誤解した。ヤクザがベンツに乗るから、ベンツに乗るのは皆ヤクザ、みたいな誤解と偏見が広がる。
平成、英国人サッカー選手ベッカムは、全身刺青姿で来日し、当然のファッションだと語った。英国で続いていた江戸ファッション刺青文化は、幕末以来百数十年を経て、再び元の姿を現した。
蛇足
水滸伝知らねとか書いたけど、反体制派の悪漢が梁山泊に集まるとかそんな話だった気がする。
中国では刺青刑があるから、昔刺青刑受けたキャラ、とか原作に設定があるかもしれん。ある気がする。
やべえ。全部ひっくり返って、ベッカムも悪い刺青ということになってしまう。気づかなきゃよかった。
ここはひとつ、ポリネシア=>英国で意味が変わったように、中国=>日本で意味が変わったことにしよう。そうしよう。
あとがき
私は別に刺青好きなわけではない。少し前に、娘の相手が刺青入れてたのを理由に結婚を許さない話がtwitterで話題になっていたので、その機会に調べてみた結果をまとめたものである。
調査の結果、悪いイメージがそもそも誤解と知ってびっくりした。「お客様は神様です」みたいに誤解の方が広まったのだろうか。
個人的には、いかにもソレっぽい紋々しょった刺青者が、必ずしもヤクザではないと知って安心できた。特に東京下町銭湯に出没する刺青爺さんは、高確率で近所の大工の類だと思う。まあ仮に引退ヤクザだったとしても、そう思っていた方が平静でいられる。
他の人にまで偏見なくせというモチベーションはないけど。
制作ノート
この本に史実が載ってるぽい、という手前で寸止めして、紹介や書評見るにとどめ、そこから妄想しました。細部は適当。
書く時は、人名とかうろ覚えだったのでごまかした。列強に負けたのは確か下関戦争だったよなーとか思いつつ「局所戦争」でごまかした。(薩英戦争は英国無敵艦隊に薩摩勝っちゃってるので島津マジ修羅である)
写真貼るときにメモやURL見て思い出したり追加調査で直そうかとも思ったが、人名とかなくても通じる/むしろ概要追うにはイラねと思い、また妄想でカバーした部分もそのままにした。
例えばwikipedia情報によると、日本で皇太子と皇太孫が刺青入れて、後の国王と皇太子になったので、国王と皇太子でも間違いはない。このへんごまかしてる。
あと、江戸刺青と違いを際立たせるため、ミクロネシアでは邪馬台国時代から変わってなかったのでは? とか適当にホラ吹いてたら、写真探しに行ったとき本当と分かった。全部族ではないらしいが。
基礎資料
wikipedia情報によると、
幕末日本にとある英国人がいて、生麦事件(英国人が武士に無礼討ちされた件)のときはペーペーで通訳を務め、明治維新を体験し、後に大使にまでなったらしい。
この大使、日本に関して本国に報告するのがお仕事なので、数多くの手記や報告書を残し、帰国するときに当時の日本の書籍を山ほど持ち帰った。これは英国の図書館に収蔵され、大使の名をとってナンタラコレクションと名付けられた。
そして、とある日本人の図書館員がこの英国の図書館の日本部門の長に就任し、その図書館員が書いたのが、刺青と英国王室に関する本である。おそらくこの大使の手記が元ネタであろう。そっちの方が面白そう。
(順にまとめるとわかりやすいが、著者名からググってさかのぼって調べるの面倒、でも楽しい)
マジ歴史学者は、史料に「ナンタラにはカレコレと書かれている」てのを見つけると、その数行の裏を取るためにナンタラを探し、世界に1冊しか残ってない(もしくは貸してくれない)とかだと、はるばるソコへ行って閲覧許可を取ったりするのがクソめんどくさいお仕事らしい。
図書館員なら、自分トコのは見放題だ(たぶん)。裏とりもコレクションっていうくらいある。ていうかコレクションまとめるのが図書館員本来のお仕事だったぽくて、コレクション目録とかも出してる。
著者は歴史学者ではなく図書館員だが、本の情報確度は高いと思う。読んでないけど。