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骸鬼王と、幸福の花嫁たち【第13部更新中!】  作者: 雨宮ソウスケ
第13部

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第六章 交渉の行方①

 要塞化されたタワーマンション。

 その一室にて、現在、五人の人間が集まっていた。

 エルナ、かなた、刀歌の三人の正妃(ナンバーズ)。そして近衛隊の蒼火と武宮の二人だ。

 場所はリビング。エルナ、かなた、刀歌の三人がソファーに座り、蒼火は壁際に立って控えている。武宮はダイニングから椅子を持ってきて逆向きに座っていた。

 結局、銀城と圭吾の議論は一時中断となり、エルナたちとの面談もなし崩し的に流れて、今日のところは一旦この部屋を割り当ててもらったのだ。


「申し訳ありません」


 後ろ手を組む蒼火が、エルナたちに謝罪する。


「不敬にもお妃さま方と同室になるなど。別室を強く要望すべきでした」


「ああ~、気にしないで」


 エルナはパタパタと手を振った。


「人数分の部屋はあるし。むしろ分断されるよりはいいわ」


「エルナさまの仰る通りです」かなたも言う。「扇さんと兄妹設定にしたのも功を奏したかもしれません。情報を整理するには最善の状況です」


「そうだよな。俺らもお妃さんたちを護衛するのに便利だしな」


 と、武宮が陽気な口調で言う。

 蒼火は「……お前は」とジロリと武宮に視線を向けた。


「まあ、それよりもだ」刀歌が口を開く。


「少し状況を整理しよう。まず主君は私たちをこっそり見送りに来ていて、その行きか帰りかに衰弱した少女を拾った。それがあの銀城さんのお孫さんだった」


「推測だけど、たぶんその可能性は高いわね」


 エルナが苦笑を浮かべて言う。こつんと自分のこめかみを突き、


「紫子さんもそう言ってるわ。真刃さんらしいって」


「……真刃さまは」


 ふと、かなたがポツリと呟く。


「私たちに対して、より過保護になったような気がします」


「……そうね」「うん……」


 エルナと刀歌は少し遠い目をした。


「前とはまた違う感じだと思うけど、それよりも問題は――」


 一拍おいて、エルナは言う。


「銀城さんがお孫さんを真刃さんに攫われたと思っていること。そしてここの人たちが天雅楼への襲撃と強奪を計画しているってことね」


「うん。あれは想定外だったな」


 刀歌が腕を組んで呻く。


「まさか彼らが天雅楼の場所を掴んでいるとは思ってもいなかった」


「……それだけ必死なんだろうな」


 おもむろに武宮がそう呟き、双眸を鋭くした。


「ここの連中は強欲都市(グリード)の下層連中によく似てるぜ。ボスが平定する前のな。ありゃあ何がなんでも生き延びようとする野郎の目だ」


「……かつての頃の西の魔都か」蒼火が呟いた。「俺も噂には聞いていたが、平定前は相当に荒んでいたらしいな」


「あそこも力こそがすべてって場所だったしな」


 武宮が自嘲気味に口角を上げた。


「俺はしばらく寄ってねえが、今は大分マシになったって話だ。っと悪い。話が脱線したな。そんでどうするお妃さんたち」


 武宮はエルナたちに視線を向けた。


「天雅楼が関わってくんなら話は変わってくんぞ。報告のために戻るか?」


「……いいえ。まだ虐殺の未来の片鱗も見えていないわ」


 武宮の言葉に、エルナはかぶりを振った。


「私たちは潜入を続けてそれを防がないと。けど、これは報告もすべきよね。スマホか従霊のネットワークを使えればいいんだけど、今は封じられてるし」


「赤蛇たち、専属従霊の誰かに直接報告に行ってもらいましょうか?」


「ああ。その手があったか」


 そう呟き、刀歌は自分の白いリボンを掴んだ。


「蝶花。任せられるか? OKなら震えてくれ」


 この部屋には刀歌たちしかいないのだが、念のために従霊たちは沈黙を続けていた。従霊たちの存在は超常現象以外の何物でもないからだ。

 そうして、刀歌の掴んだリボンの端がフルフルと震えた。

 刀歌は頷くと、


「それと戻ってくる時は伝令係としての従霊も連れてきてくれ」


 続けてそう頼んだ。リボンはそれにも震えて答えたが、すぐに動かなくなる。さっそく依り代から離れて真刃の元に向かったのだろう。


「これで大丈夫だろう」


 刀歌は満足げに頷いた。エルナたちも頷く。

 ただ、それを見ていた蒼火は表情を引き締めて、


「ですが、これでしばらく、参妃さまから専属従霊が離れることになってしまいました。護衛としてより一層尽くさせていただきます」


「はは。真面目だな。扇は」


 それに対し、刀歌は苦笑を浮かべるが、すぐに豊かな胸元に片手を当てて、


「だが、そんなに心配しなくても大丈夫だぞ。なにせ、今の私は無敵だからな。主君の愛で満たされているからな」


 自慢げにそう告げた。それに対し、


「……ああ~」「………」


 エルナがポリポリと頬を掻き、かなたは視線を刀歌に向けた。


「その話もあったわね。とりあえず扇さん。武宮さん」


「は」「おう」


 二人はエルナの方に顔を向けた。


「いずれにせよ、今はまだ様子見よ。銀城さんたちが言っていた《イーターズ》とかいう連中に関する情報も少ないし。ただ、二人とも警戒だけはしておいて」


「――は」「了解だ」


 二人の返事にエルナは頷き、


「二人とも今日はもう自室で休んで。私たちもしばらくしたら休むから」


 そう言って立ち上がった。

 それから、かなたと刀歌の方を見やり、


「二人とも、私の部屋に付き合ってくれる?」


「あ、ああ。そうだな」「……承知しました」


 刀歌とかなたも立ち上がった。エルナは頷くと、


「それじゃあ、また明日お願いね」


 蒼火と武宮にそう告げて、自室として割り当てた部屋へと向かう。かなたと刀歌もその後に続いた。廊下を進む。彼女たちはエルナの部屋に到着した。

 ドアを開けて灯りを点けると、そこには大きなベッドがあった。他にもワークテーブルなども備え付けられている。エルナはベッドの縁に腰を下ろした。少し遅れてかなたがその隣に座る。最後に刀歌がワークチェアを動かして、そこに座った。


「赤蛇。九龍。少し席を外してね」


 エルナはそう告げる。

 返答はなかったが、二体とも応じてくれたことは確信している。

 そして、


「さて」


 腕を組んで、壱妃は宣言する。


「じゃあ、本音の女子トークをしましょうか」









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