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骸鬼王と、幸福の花嫁たち【第13部更新中!】  作者: 雨宮ソウスケ
第8部 『百年乙女―騒乱疾駆―』

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第四章 ジョーカーは気まぐれに③

 桜華からのメールの要点はこんな感じだった。

 まず刀歌と会いたい。

 同行者は二名まで。

 ただし、真刃は同行者の対象外とする。

 その上で面会の場所と時間を指定してきた。

 時刻は十四時。場所は駅近くのファミリーレストランだった。


 もちろん、刀歌たちはこの件を真刃に相談した。

 執務室にて、真刃は少し渋面を浮かべた。


「……そろそろ連絡があるとは思っていたが、あやつは……」


 と、小さく呟いてから、


「何かしらの意図があるのだろうな。ここはあえて乗ってみよう。刀歌。すまぬが、あやつとの対談を頼めるか?」


「う、うん。それは構わないが……」


 刀歌はコクコクと頷いた。 

 それから真刃は刀歌に付き添ってこの場にいるエルナとかなたに言う。 


「同行者はエルナとかなたに任せたい。あやつは刀歌の師だ。刀歌一人では緊張もしよう。二人にも出来るだけあやつのことを探って欲しいと思っている」


 そう告げた。エルナたちも頷いた。


「……若」


 すると、真刃の後ろに控えていた獅童が進言した。


「我らが護衛につきましょうか?」


「……そうだな。いや」


 真刃は少し思案してから告げる。


「護衛はそれぞれの専属従霊に任せよう。文面からして、あやつは刀歌たちが(オレ)の身内であることは知ったようだ。ならば荒事にもなるまい」


「承知いたしました」


 獅童はそう言って下がった。


「刀歌」


 真刃は刀歌を見やる。


「あやつのことを頼む」


「う、うん。分かった」


 刀歌は緊張した様子で答えた。

 そうして今に至るのである。

 時刻は十四時より十五分程前。 

 約束のファミレスにて、刀歌はガチガチに緊張していた。

 顔色は青ざめている。


「刀歌? 大丈夫?」


「だ、大丈夫だ!」


 エルナの問いかけに、瞳をグルグルと回して答える刀歌。


「少し落ち着きましょう」


 かなたも、相変わらずの冷静な眼差しで刀歌にそう告げる。

 三人は、テーブル席の片方のソファーに座っていた。

 対面を空けているのは、当然、桜華の来訪を待っているからだ。

 一応、アイスコーヒーを頼んで待っているのだが、一分ごとに顔色が悪くなる刀歌は、すでに飲み干していた。その後も、エルナとかなたが緊張を解すために何度か声を掛けたのだが、あまり効果はないようだ。


 そうして――。


「待たせたな。刀歌」


 遂に声を掛けられた。

 刀歌はガバッと顔を上げた。 

 そこには師がいた。

 ただ、先日見た中華服(チャイナドレス)ではない。

 夜空を思わせるような暗青色(ダークブルー)のハーフコートと、上下一体型のレギンス姿だ。

 その佇まいは戦士のごとく静謐であり、同時に女性としての艶やかさがあった。

 ――久遠桜華である。


「ああ。そうか」


 桜華は刀歌以外の少女にも目をやった。


「同行者はお前たちか。エルナ=フォスター。杜ノ宮かなた」


 名前を呼ばれて、エルナたちは頭を軽く下げた。

 桜華は「では失礼するぞ」と言って、エルナたちの対面のソファーに腰を降ろした。


「『私』の方は二人だ」


 そう言って、桜華は右耳の装飾品(デバイス)に触れた。


「こいつの名はホマレという」


『初めまして! ホマレだよ! 装飾品(デバイス)越しで失礼するね!』


 と、ホマレが言う。エルナたちは少し驚いて目を瞠った。


「さて」


 一方で、桜華は微笑んだ。


「では、少し話でもしようか」



       ◆



 その頃。

 金髪碧眼の青年――《死門(デモンゲート)》ジェイは街中を歩いていた。

 彼の姿は完全に人だ。

 まさか、その中身が化け物であると思う者はいない。

 ましてや呑気に欠伸をしているのなら尚更だ。


「流石に昨日ははっちゃけすぎたかな?」


 外れではあったが、随分と愉しめたのも事実だ。


「まあ、この勢いのまま連戦と行こうかね」


 彼はスマホを取り出した。

 指先を動かして情報を探す。主に画像からだ。

 引導師(ボーダー)の容姿に外れはないが、やはり自分好みの女がいい。


「お。こいつは……」


 双眸を細める。

 昨夜の相手と似た少女を見つけた。

 年齢は少し下。髪型は長いポニーテールだ。

 通う学校は星那クレストフォルス校。瑠璃城学園にも劣らない名門である。

 性格は質実剛健。公然と《魂結び》を否定している娘らしい。


「おお~、いいねえ」


 ジェイはニタリと笑った。


「今度のサムライっ娘は純度が高そうだ。えっと名前は――」


 と、調べようとした時。


「………げ」


 電話が来た。 

 相手を見やると、世にも恐ろしい姉御からの電話だった。 


「……やべ。もしかしてもうバレてる?」


 少し顔を強張らせた。

 一瞬無視しようかと思ったが、流石にそれは怖い。

 恐る恐る通話をすると、早速怒られた。


 やはりバレていた。

 流石はあの叔父貴の嫁さんだ。

 自分の行動など、最初からすべてお見通しのようだ。


「すみません。すみません。ごめんなさい」


 ジェイはひたすら謝った。

 しかし、姉御は一向に許してくれない。


「え? 駅前っすか? ファミレス? 近いっすけど、ええ~、今からっすか?」


 遂には呼び出しをくらってしまった。

 ジェイは渋面を浮かべるが、


「……分かったっす。すぐに行きます」


 これ以上、姉御を怒らせてはまずい。

 仕方がなく承諾した。












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