Special morning (生まれて初めて)
「Don't bother.」
といって、数人の男たちが新谷に近づいてきた。
下卑た薄笑いで、
「Go fuck yourself(消え失せろ)」
と叫んだ。
新谷は、それでも男達に向かって進んだ。
「Fuck you dick face!」
一人の男が、新谷の胸ぐらをつかんだ。
新谷は、相手の両肘を引き寄せると、そのまま体を回転させて相手の腰を浮かして一本背負いで、男を地面にたたきつけた。
たたきつけたられた男は、しこたま腰を打ったのかうめいたまま動けなくなった。
その状況を見た、他の男たちは、信じられない光景から、すぐに声をあげて新谷に向ってきた。
各個撃破 これは喧嘩の常套手段だ。
新谷は後ろに回り込まれないように、壁を背中にして男達を往なした。
足を払い、殴りかかったきた相手には、釣り腰や背負い投げで地面に容赦なく叩きつけた。
そのうち、一人がナイフを抜いた。
新谷は、近くゴミ箱に捨てられていたモップの柄を手に取るし、擦り切れたモップのヘッドを足で叩き折
つて棒だけにして剣道の中段に構えた。
男はわめきながら、まっすぐに向ってきた。
新谷は、ナイフの持つ手首を軽く打ち据えた。
男はナイフを落としたが、そのまま新谷に突進してきた。
新谷は、体を交わして、すれ違いざまに、剣道でいう抜き胴で男の腹を打ち据えた。
鳩尾に入ったらしく、腹を抑えて荒い息をしていた。
戦意を失ったと見えて、男たちは悪態をつきながら新谷の視界から消えた。
新谷の脳裏に、フィリピンでの竹部の勇姿がよぎった。
Saraとの出会いがよみがえってきた。
こうして戦えたのも竹部のお陰だった。
Saraと出会った後に、竹部の見事な柔道技に感激して、竹部に教えてもらっていた。
柔道の鍛錬は、首まわり腕力を鍛えるのにも役立ち。
空戦の旋回時に起こるブラックアウト呼ばれる、脳に血がいかなくなって意識を失うことへの対処へもなっていた。
もともと、新谷は剣道の選手であり、幼いころより稽古しており、真剣での稽古もあり刃物には慣れていると言ってよかった。
戦場での経験が、いまの新谷を作っているといってよかった。
軍人は身のこなしでよくわかるという。
直線での動作をこなし、無駄な動きがない。
上半身がぶれることはなかった。
射撃でもそうだが、上半身がぶれると当たらない。
戦闘機でもそうだ、しっかりと操縦桿を握り、スロットルレバーについた、7.7mm 20mmのスイッチを押す
動作が必要だ。
20mmは単発で、7.7mmは頭を押さえるのに。
染みついた癖だ。
死なないために、生きるために。
この国の正義は分かりやすい。
弱者のための正義ではなく、強いものが常に正義であり。
時代、時代の正義がある。
ただ、この国は過去の過ちに対して、道理が通れば謝罪する。
うんちくよりも、行動を評価する。
行動が何よりも結果が大切であり、分かりやすいとさえ感じる。
新谷は、路地の奥の方に進むと、そこにはうっすらと目を開けた銀髪の女性が横たわっていた。
上半身の服は脱がされて、乳房が見えていた。
ハイヒールが転がっていて、スカートはたくし上げられていた。
状況で判断すれば、抵抗した形跡はなく、うつろな表情から、泥酔しているようだった。
「Is it OK?(大丈夫ですか)」
と新谷の問いに女性は上半身を起こして
「It's none of your business.(大きなお世話よ)」
といって、脱いだ服を着だしたがおぼつかない様子だった。
新谷は服を着せるのをあきらめて自分ジャケットを脱いで、ボタンを留めてハイヒールを履かせて肩を担いで抱き起したが、すぐに尻餅をついて地面にへたり込んだ。
相当泥酔しているようだった。
仕方なく、新谷は女性を背負うと大通りまで歩き出した。
大通りでタクシーを拾うと女性を乗せて、一緒に乗り込むと
「Where is your house? (家はどこ)」
と尋ねたがろれつが回らずに意味不明なことょ喋っていた。
好奇心満々の運転手をよそに、新谷は仕方なく自分のアパートの住所を言った。
バックミラー越しの運転手の視線を意識しながら、女性をよく見ると、真っ赤な口紅、銀髪のパーマネントで、抜けるほどの白い肌だった。
閉じた目に長いまつげ、あどけなさを残した顔をしていた。
新谷より年下だとは思ったが、アメリカ人の年齢はよくわからないし、新谷も30に近い年齢なのに年齢以下によく見られた。
日本人は童顔なのかもしれない。
アパート前まで来ると、運転手がニタニタと笑っていたが、多めにチップを払ってさっさと退散してもらった。
アパートのドアの鍵を開けて入ると、家主が出できた。
「どうしたの、その女の人は 知り合い」
と目を丸くして新谷に尋ねた。
「いいえ、知り合いではないのですが、道端に飲み過ぎて具合が悪そうにしていたので連れてきてしままいました。ご迷惑をおかけしてすみません。」
「いいのよ、それにしてもその方、苦しそうね」
「よければ、酔い覚ましにプレーリー・オイスターをもらえる。トマトジュースとビネガーも入れて」
「はいはい、少しきついやつがいいわね」
といってキッチンに入っていった。
新谷は、2階の自分の部屋に女性を背負って上がると、ベッドに女性を寝かせた。
程なくして、家主がプレーリー・オイスターを持ってきてくれた。
新谷が女性の上半身を起こしすと、家主が女性に何言って目を開けさせてグラスを口に持っていき家主が女性の鼻をつまんで一気に飲ませた。
女性はゲップをするとそのまま、ベットに倒れこんでねてしまった。
「なに入れたの?」
と新谷は、家主に聞くと
「ちょいと、きつめのウオッカさ」
家主は、状況を理解しているようだった。
新谷は、女遊びをするような人でないと理解していた。
何らかの事情で、連れてきたのだろうと察していた。
そして、何よりも女性からその手の商売をしている雰囲気がなかった。
あどけない寝顔がそれを物語っていた。
新谷は遅めの食事をとってから、シャワーを浴びてベッドルームを除いたが、女性はそのままぐっすりと寝ていた。
よっぽど、家主のプレーリー・オイスターが効いたのだろう。
それとも、きつめのウオッカのせいか・・・
新谷は、机に向かって提出が迫っていたレポートを作成して、寝る前にベッドルームをもう一度確認してすやすやと寝ている女性を見て安心して、自分はソファーにブランケットを被って就寝した。
次の朝、けたたましい物音で、新谷は目を覚ました。
ベッドルームのドアが開け放されて、昨晩 連れ帰った女性が真っ青に顔をして立っていた。
「おはようございます!」
と新谷は丁寧に英語で発音した。
女性は何も言わずに、きょろきょろと部屋を見まわしていた。
「私は、日本人でこちらの大学に留学している者で、名前は新谷といいます」
とこれまた、丁寧な言い回しの英語で喋った。
女性は状況がよく呑み込めないようで、怪訝な顔で
「日本人、なぜ私はここに居るの、まさか あなたと寝たの?」
新谷は首を振った。
「昨日の出来事は覚えていませんか」
女性は
「確か、バーで飲んでて、そこにいた人たち騒いでたと思うけれども」
と言いながら自分の服装を確かめていた。
新谷はあえて何も言わずに
「酔っ払って苦しそうにしていたので、ここに運びました。」
といった。
「パスルーム貸してもらえる」
と女性が言ったので、新谷はバスルームの場所を指さした。
女性はバスルームに入っていった。
暫くしてバスルームから出でくると
「ごめんなさい、昨日は酔っぱらって何も覚えていないの、迷惑をかけたのでしょう」
と反省しているように表情でいった。
朝日にてらされた顔は、とび色の瞳に透き通るような白い肌で銀髪のウエーブが似合っていた。
昨日は暗くてよく見えなかったが、改めて見るときれいな女性だと気づいた。
「私の名前は Charlotte。レストランでウエイレスをしているの」
朝日が二人を包みこんだ。
温かさが二人を包んだ。
そして、二人のTRFFICS(送路)が交わることになった。
なかなか更新が出来なくてすみません。それでも読んでいただいている人に感謝します。自分で書きながらいつも重い気持ちになります。何故、戦争が起きたのか?どうすればよかったのか!そして、私たちは、どう伝えなければならないのかということにです。この拙い小説を読んでいただける皆さんにとても勇気づけられます。まだ、読んでくれている人がいるだけでとても幸せであり、またきっと、この小説の題名である 「It's last first.(最初で最後)」となってほしいです。




