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最初で最後でありますように セルリアンブルーの空への願い
過去の作品の「Cerulean Blue sky」のスピンオフの小説です。前回は、零戦を描きましたが、今回は紫電・紫電改などの局地戦闘機の話と特別攻撃隊、それから原爆の話です。
長い連載になると思いますが、よろしくお付き合いください。
新谷少尉のお話になります。
興味のある方は、「Cerulean Blue sky」を読んでみてください。
蝉は泣き続けていた。
鳴いていたのではなく、泣き続けていたと表現したかった。
飛べないペンギンの羽ばたきよりも、むなしい努力なのだろうか。
それとも、飛ぶことよりも母なる海へと帰ることを選んだのだだろうか。
新谷は、目の前に立ち上る、不気味なキノコ雲を呆然と眺めながら、自分中ですべてが壊れていく気がしていた。
空は、とても青く、そして風に吹かれてキノコ雲が崩れ始めていた。
新谷の戦争も終わった。
そして、それが最後だった。
そう、最後でなければならない。