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神隠しに遭ったら、異世界に居ました。  作者: 神無月夕
第五章 聖王の試練
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第三十話 観光

 魔動列車の食堂箱で、注文した料理が運ばれてくるのを待っている間、タニアが切り出した話は衝撃的な内容だった。


「ギルドでの事にゃ。攫われた弟を助けるって、特別依頼のことにゃけど――――おそらく、攫われたってのは嘘にゃ」


 タニアは一応、周りに聞こえないよう声を低くして、そんな事を言った。それを聞いて、煌夜とセレナは同時に目を見開いて驚いた。


「嘘? 嘘って、じゃあ、攫われてない、ってことか?」

「……どういうことよ? タニア、アンタ何を知ってるの?」


 煌夜とセレナの問いに、タニアは強く頷いてから続きを話し出す。


「まず、大前提から説明するにゃ。そもそも、あの女――セリエンティアを名乗ってたギルドマスターにゃけど、公主セリエンティアにゃんかじゃにゃいにゃ。あちしが【鑑定】で視たところ、アイツの本当の名前は、エーデルフェルトって言うにゃ」

「なっ――偽者、ってことか?」


 煌夜は思わず絶句する。タニアは、にゃにゃ、と頷いた。


「偽者にゃ。それも、ただの偽者じゃにゃいにゃ。アイツ、エーデルフェルト・ラ・クロラは、テオゴニア大陸で四人だけの聖騎士パラディンの称号を持つ【四色ししょくの聖騎士】の一人、【赤の聖騎士】にゃ――」


 タニアはそこで一旦、言葉を区切った。ちょうど料理の前菜が運ばれてくる。

 煌夜は配膳されるのを呆然と見ながら、どういうことだ、と思考を巡らせる。

 それはセレナも同様のようで、セリエンティアの偽者がそんな大物だからなんだと言うのか、いまいち話が結び付いていかない様子だ。

 そうして、前菜を運んできた料理人が下がると、早速それをつっつきながら、タニアは会話を再開した。


「――赤の聖騎士エーデルフェルトは、【竜騎士帝国ドラグネス】の将軍で、正統派側の人間にゃ。ドラグネス王家の内部事情、王位継承で揉めてるのは説明したにゃ? それをもうちょっと細かく説明すると、今のドラグネス王家は派閥が二つあって、一つが正統派と呼ばれる派閥にゃ。『玉座は血筋でのみ継承すべし』って思想の派閥で、ベクラル領主一族の正統後継者の血筋を取り込もうとしてるにゃ。それと対立する派閥が、『玉座は相応しい資質を持つ者こそ継承すべし』って唱える異端派にゃ。異端派は、次代の国王に【救国の五人】の一人である異世界人を擁立してるにゃ」


 タニアは言いながら、脇に置かれた調味料の入れ物を二つ持つ。

 右手の大きい入れ物が正統派、左手の小さい入れ物が異端派、らしい。それを人形遊びでもするかのように、カチカチとぶつけて見せる。

 二つの派閥が争っている、と言うことを擬似的に表してるつもりだろう。


「にゃけど、異端派はこの見た目通り、少数で弱いにゃ。にゃので、勝つ為に正統後継者の血筋を次々に暗殺してるにゃ。ベクラルの領主一族に懸賞金を掛けて、狙ってるのも異端派にゃ――つまり、それを阻止する為に、エーデルフェルトはベクラルに派遣されてるに違いにゃいにゃ。そのエーデルフェルトが、正統後継者として護るべき公主の弟を攫われて、あんにゃ悠長に構えるかにゃ? いや、そもそもその奪還を他人に任せるかにゃ? 仮に攫われたのが本当として、ガストンが犯人と断じてるってことは、その犯行を目撃したってことにゃ。とにゃると、公主の弟が攫われるのを、むざむざ見逃したってことににゃる。そんにゃはずはにゃいにゃ。エーデルフェルトがガストンと戦えば、十中八九、エーデルフェルトが勝つにゃ。取り逃がすはずにゃいにゃ」


 トン、と調味料をテーブルに置いて、白熱した口調をしばし落ち着かせる。タニアはここまでで話を理解できているか、煌夜とセレナに視線を向けてきた。

 セレナはその視線に迷わず頷くが、煌夜はいまいち理解しきれず、少しだけ唸る。タニアが苦笑する。


「にゃにゃにゃ――要するに、にゃ。エーデルフェルトは、公主とその弟を匿ってるはずってことにゃ。公主の弟が攫われたってのは、デタラメにゃ」

「ねぇ、タニア。仮にそうだとして、あたしたちに身分を偽ってまで依頼したのはどうしてよ? そんな事情があるなら、あたしたちが異端派だった場合、自分が狙われ…………ああ、そう言うこと?」

「そうにゃ。恐らくは、コウヤたちが異端派であることを想定して、嘘をついたにゃ。襲ってきたところを返り討ちにするつもりがあったと思われるにゃ。異端派の息が掛かった刺客を殺せば殺すほど、異端派の力は弱まるからにゃ」


 そこまで説明したとき、注文していた料理が湯気を立てながらやってくる。

 タニアは口を閉じて、配膳される食事を嬉しそうに眺めていた。煌夜もその香ばしい匂いに空腹を刺激されて、思わず腹の虫が鳴る。

 しばし会話は中断して、三人とも食事に集中する。

 配膳された食事のうち、オススメ定食と呼ばれるモノは、見た目が完全に焼き魚定食だった。

 その焼き魚は、見たことのないグロテスクな形状だったが、味も風味も素晴らしく美味である。食感は秋刀魚のようで、骨まで食べられるが、味は鮭を焼いたようだった。醤油風味のタレが掛かっていて、それが見事に味にマッチしている。

 ちなみに、セレナの頼んだS定食とやらは、ハンバーグ定食である。実際の味は分からないが、セレナの満足げな顔を見る限り、見た目通りに美味しいのだろう。

 そうして食事を摂って、タニアが二つ頼んだ定食の一つを食べ終わった頃合で、話は再開される。


「――んにゃ。ところで、そうにゃると疑問が湧くと思うにゃ。エーデルフェルトが、ガストンを狙う理由にゃ」

「え? それは、公主の弟を――――あ、そっか、攫われてないのか……」


 公主の弟を攫ったから、と発言しようとして、煌夜は気付く。確かに、タニアの推測通りならば、公主の弟は攫われていないので、ガストンを狙う理由が不明確になる。


「何か別の目的があるのかしら? と言うか、タニア、アンタなんでそんなに詳しいの?」

「にゃにゃ? 世界の事情に通じるのは、冒険者の基本鉄則にゃ。あちしはこう見えても、情報収集は欠かさにゃいにゃ。情報を制すれば、あらゆる事柄で先んじれるにゃ」


 タニアは口周りを汚したまま、自信満々に豊満な胸をブルンと張った。

 その胸を、セレナが白けた顔で見ていた。


「さてにゃ、エーデルフェルトがガストンを狙う理由、あちしたちにガストンを襲うよう仕向けた理由にゃけど……正直、分からにゃいにゃ。ガストンが異端派の人間とつるんでいるだろう、ってことくらいしか思いつかにゃい。にゃけど、だとしても、確実に仕留められる保証もないのに、あちしたちに依頼するのが解せにゃいにゃ。あちしたちを信用してにゃいのは当然として、厄介払いをしたかったにゃか、あるいは、ガストンは仕留めにゃくてもいいにゃか――にゃんとも、不思議にゃ」


 にゃにゃにゃ、とお手上げポーズをして、タニアは首を傾げる。

 そこまで話した時、ヤンフィが強く非難する口調で、煌夜に言った。


(コウヤよ――これでいよいよ、何の為に『攫われた公主の弟を探す』と云う依頼を受けたか、意味が分からなくなったのぅ。助けるべき相手もおらず、云われるがまま踊らされれば、厄介な輩との戦闘が待っておる。かと云えば、得るものはない)

(……それは、そうだけど、さすがにそんな事情まで、あの時分かるわけないだろ? 俺だって、困って――)

(――コウヤ。妾は幾度でも云うぞ? 汝の目的はなんじゃ? 家族、弟妹と云うべき童を見つけ出すことじゃろ? それと同時に、身体を癒すことの出来る治癒術師も探さねばならん。いまコウヤの身体は、一時的に強化されておるが、それでも、半死なのは変わっておらんのだぞ? 悠長に事を構えておっては、何もかもが手遅れになりかねんぞ?)


 ヤンフィに厳しい口調で言われて、煌夜は、ウッと言葉に詰まった。そのヤンフィの言葉からは、煌夜を心配する気持ちがありありと伝わってくる。

 だが、だが――子供が危ない目に遭っていると聞いて、煌夜は放ってなど置けない。そう反論したいが、その前にヤンフィが重ねて忠告してきた。


(良いか、コウヤよ? いかに妾が万能に思えても、誰も彼もを救うことはおろか、実際は汝一人も満足に救えぬ。あちこち手を伸ばしすぎて、全てを失うことは往々にして起き得る。妾は汝を救いたい。その過程で、汝以外を救えるならば、喜んで手伝おう。しかし、汝を犠牲に見知らぬ他人を助ける為になぞ、妾はこの能力を使おうとは思わぬ――じゃから、軽々しく何もかもを背負おうとはせぬことじゃ。この世界では、今回のようにハズレくじを引くことの方が、圧倒的に多いのじゃから……)


 うぐ、と煌夜は押し黙る。仰ることは重々承知で、まったくもって正論であろう。

 何の力も持たない煌夜は結局のところ、ヤンフィを始めとして、タニアやセレナに助けてもらわなければ、何もできない。恩返しさえできずに、しかし煌夜は願いを叶えてもらっている。

 それなのに、人助けだからと言って、行動を軽々しく決めすぎた感がある。確かに猛省すべきだった。

 何も喋っていないのに、突然意気消沈し始めた煌夜に、セレナが心配そうな顔を向ける。


「コウヤ、大丈夫? 騙されたのは、悔しいと思うけど、別に依頼なんて無視すればいいんだし――気にしない方がいいわよ?」

「特別依頼にゃから、無視すると永久に別の依頼を受けれにゃいにゃ。にゃので、どっかで折り合いをつけて、エーデルフェルトに依頼を取り下げさせる必要があるにゃ――まあ、それはさておき、あちしはてっきり、コウヤは安堵すると思ったにゃ」

「……どうしてよ? 今の話のどこに安堵する要素があったの?」

「公主の弟が、攫われてにゃいことにゃ。これで、急ぐ必要はどこにもにゃくにゃったにゃ。とりあえず、子供攫いの後始末、攫われた子供を助けることに集中出来るにゃ」


 タニアはセレナとそんなやりとりをする。見返りがあるわけでもないのに、煌夜の好き勝手に付き合ってくれるそんな二人に、思わず目頭が熱くなった。だからこそ、煌夜は気持ちを切り替えて、タニアの言葉に、ああ、と力強く頷いた。


「……確かにタニアの言う通り、『攫われた公主の弟』の件は、一安心だ。んで、何の目的があって達成できない依頼を俺らに受注させたかは、この際置いておく。今はともかく、目の前の事を一つ一つこなそう」


 煌夜は宣言して、食事の残りを食べ終える。気付けばタニアはとっくに食べ切っており、セレナも残りわずかだった。


 そうして程なく食事を終えた一行は、とりあえず自室に戻ってきた。空腹は満たされて、すると途端に時間を持て余す。

 タニアは部屋に入ると、いきなり床にゴロゴロと寝転がり始めた。凄まじいその寛ぎ方に、少しだけ呆れる。

 一方で、セレナは優雅な姿勢でソファの肘掛に腰を下ろす。

 煌夜はそんな二人を一瞥してから、四人掛けソファの真ん中に身体を沈めて、先ほどの食堂での会話を思い返した。

 兎にも角にも、まずこの世界の事情を把握するのが重要だな、としみじみ思う。

 時間はタップリとある。魔動列車がベクラルを出発してから、まだ一時間強。

 目的地まではまだ十八時間以上、この魔動列車で過ごさねばならないのだから――――さて当面は、どう暇を潰すか、それが一番の課題だろう。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 魔動列車の中に、パァ――ッ、と警笛のような音が響き渡った。

 煌夜はいつの間にか失っていた意識を取り戻して、ソファから身体を起こす。

 敵襲か、と慌てた様子で部屋の中を見渡した。

 けれど当然ながら、特に何の変化も見受けられない。煌夜が眠る前と寸分違わず、綺麗なリビングである。


『――乗客の皆様、長旅お疲れ様でした。まもなく当列車は【湖の大橋】に到達いたします。ここから先は、規制により減速して運行いたします。その間、窓の外に広がる【聖王湖】をご覧頂きまして、ごゆるりとお寛ぎ下さい』


 警笛が終わると、そんなアナウンスが流れる。そして、また警笛。さらに同様のアナウンス、とそれを三度繰り返してから、ガクン、と大きく部屋が揺れた。

 今まで十数時間乗ってきて、初めて魔動列車が揺れたので、煌夜はいっそうビックリした。


「にゃにゃにゃ、ようやくここまで来たにゃ、あとちょっとにゃ――――あ、おはようにゃ、コウヤ。よく眠れたかにゃ?」


 そんな時、爽やかな笑顔をして、洋風の部屋からタニアが現れた。タニアは、にゃあ、と片手を挙げて、セレナの居る和風の部屋を指差す。


「コウヤ。魔動列車は今ちょうど、聖王湖に架かってる【湖の大橋】に乗り上げたとこみたいにゃ。こっからの景色は、絶景って噂にゃ。一緒に見にゃいか?」

「あ、おはよう、タニア……えと、今ちょうど、何だって?」

「魔動列車が、クダラークに通じる橋を走ってるにゃ。今ここは、湖の上にゃ。辺り一面、綺麗な湖が広がってるにゃ」


 タニアはそう説明しながら、ノックもなく当然の顔で、セレナの部屋を開けて押し入った。苦情が出るかと思ったが、しかし中から言い争うような声は聞こえてこない。煌夜も後に続いて部屋に入っていった。

 和風の部屋に入ると、唯一外を覗ける窓のところで、セレナとタニアが並んでいる。

 珍しく肩を並べて、外の景色に意識を集中していた。


「――ん? ああ、おはようコウヤ。やっぱりコウヤも見に来たの?」

「うん、おはよう……って、どうしたんだ、二人とも? 何か見えるのか?」


 煌夜が部屋に入ってくると、セレナがそれに気付いて挨拶をしてくる。それに返しながら、煌夜も二人の隣に並んで、窓を覗き込んだ。

 果たして目に飛び込んできたのは、見渡す限りの大海原――いや、湖の光景だ。水平線さえ見えるほどに広大なその湖を、一本のどこまでも続く長い橋が伸びている。その橋の姿は、一見するとまるで、万里の長城を思わせた。

 あまり幅のないそんな橋の上を、魔動列車は時速30キロ前後の低速で走っている。

 煌夜は、窓の外に広がるその光景に、思わず絶句する。

 人は真に美しい景色を見ると言葉を失うのだ、としみじみ実感する。


「――にゃぁ、にゃ。凄いにゃぁ……確かに、これは、絶景にゃ」

「ええ、同感ね。世界には、こんなところもあるのね……」


 タニアとセレナの感動の声を耳にしながら、煌夜も同感とばかりに無言で頷いた。その時、セレナが何かに気付いて、あ、と声を上げる。


「ねぇ、タニア。アレ、何?」


 セレナが、空の色を映して煌めく湖面を指差す。煌夜もタニアもそこを注視する。すると、そこには何か、ドリル状になった黒い角みたいな突起物が飛び出していた。

 それは、空を目掛けて湖面から突き出しており、風にそよぐようにユラユラと左右に揺れている。

 タニアはそれを見た瞬間、目を輝かせて興奮気味に口を開く。


「アレは、有名にゃ【ギガンドレッドプワソン】――現在確認されている水棲の魔貴族アールの中で、竜族じゃにゃい唯一の魔貴族にゃ。不死性があり、その全長は500メートルとも、1キロとも言われてるにゃ。しかもその巨体で、湖中を時速200キロを超える速度で泳ぐらしいにゃ。ただしその代わりに、非常に知性が低くて、魔神語デモンラングは解せるけど、基礎的にゃ魔術すら行使出来にゃいにゃ。にゃので、魔力量は魔王属ロードに比肩するほどにゃのに、物理攻撃一辺倒の単純にゃ魔貴族にゃ。まぁ、そのおかげで、橋に施された【冠魔術クラウン】を破壊することも出来にゃいんだけど、驚異的にゃ強さにゃのは変わらにゃいにゃ――ちょっと戦ってみたい相手にゃ」


 タニアはそんな物騒なことをのたまう。その台詞に、煌夜もセレナも正直ドン引きであった。

 馬鹿じゃないのか、と煌夜は心の中で本気のツッコミを入れる。タニアの説明が真実であれば、相手は全長500メートルオーバーの化け物――つまりは戦艦一隻と同等か、それ以上の巨大さを誇っている。それでいて、時速200キロと言う出鱈目すぎる速度で泳ぐと言う。

 それは既に、生き物の規格を超越している怪物だ。そんな怪物相手に、人間が何を出来ると言うのか、挑もうと言う発想がもはやぶっ飛んでいた。

 しかし、そんなタニアの言葉に興味を持った馬鹿が一人いた。ヤンフィである。


(――ほぅほぅ、水棲でありながら竜族ではない、と。しかも不死性まである上に、500メートルから1キロの凄まじい巨体、か……なるほど。それは是非とも、一度見てみたいのぅ。どのような形をしておるのか)


 煌夜はそんなヤンフィを無視して、改めて恐怖の混じった目で、そのドリル状の角を見た。それは先ほどと変わらず、湖面に突き出てユラユラ揺れている。周りに対比物がないので、それがどれほどの大きさかは判別が付かない。だが、パッと見た限りでは、10メートルはあろう直線の角である。


「……ねぇ、タニア。アレは、その【ギガンドレッドプワソン】とやらのどの部分なの? 角か何か?」


 煌夜が疑問に思っていた事を、セレナが質問した。タニアは、んにゃ、と首を傾げる。


「角にゃのかにゃ? 一説には、鼻とも言われてるにゃ。頭部の先端に付いてて、感覚器の役割があるらしいにゃ。また同時に、あそこから空気中の魔力を吸収してるにゃ。戦闘時には、頭部に格納できるらしくて、正直、何の器官か分かってにゃいにゃ」

「…………なぁ、タニア。アレ、どんな姿形をしてる化け物なんだ?」

「姿形にゃぁ――うーん。あちしも文献でしか知らにゃいけど、鯨みたいにゃ胴体をして、二十本の触手を持ってるそうにゃ。そんで、尾びれが二つあって、長い首が付いてて、頭部は三角錐みたいにゃ形状をしてるらしいにゃ」


 タニアの言葉を聞きながら、煌夜はその姿を想像してみるが、まったく見当が付かなかった。

 そうこうしているうちに、湖面から突き出た角は、徐々に魔動列車の方へと近付いてきているような気がする。煌夜は嫌な予感がした。


「……なぁ、ちなみに、さ。アレ、こっちに襲い掛かってきたりしないか? 大丈夫か?」

「にゃ? 襲い掛かってくることは、よくあるらしいにゃ。にゃけど、そのたびに橋に展開してる【冠魔術クラウン】の防御結界に阻まれて、諦めるってのが、ここの名物にゃ。ギガンドレッドプワソンは、凄まじい速度の物理的にゃ突撃しかしてこにゃいから、万が一にもここを突破出来にゃいにゃ。だから安心してにゃ」


 タニアの自信満々な言葉に、煌夜は、本当かよ、と疑いの眼差しを向ける。そんな視線を、タニアはキョトンとした顔で受け止めて、あ、というセレナの呟きに反応した。セレナは窓の外を凝視していた。

 煌夜も瞬間的に窓の外を見る。すると、次の瞬間、窓の外の世界が暗闇に閉ざされた。


 ――――ズガン、ドドドドド……、と重く痺れるような轟音が鳴って、直後、連続して何かを叩きつける音が響き渡る。


 何が起きたのか、煌夜は恐怖よりも先に混乱がやってきていた。

 爆裂音にも似たその連続する音は、しばらくの間続いてた。そして、音が続く間はずっと、夜になったと錯覚するほどの暗闇で、窓から見える景色が真っ黒に染まっていた。


「な、何が――いったい、何が起きてるんだっ!?」

「落ち着くにゃ、コウヤ。別に何の危険もにゃいから、平気にゃ。今は、ギガンドレッドプワソンが、橋に展開してる防御結界にのしかかってるに過ぎにゃいにゃ。ついでに触手を叩きつけてるみたいにゃけど……あの程度じゃ、千年叩き続けたって結界は壊せにゃいにゃ」


 本当に馬鹿にゃ、とタニアは失笑しながら解説してくれた。しかし、煌夜は絶句して窓の外をジッと眺める。

 タニアの話を信じるならば、今この外の景色を一変させているのは、化け物の身体だと言う。にわかには信じがたいことだ。それほどの巨体が存在していることもそうだが、それがのしかかっても壊れることはないと言う結界も――いやそもそも、この世界のあらゆる常識が、今更ながら煌夜には理解しがたい。

 やがて、一分か二分か、また唐突に窓の外が明るくなる。そして直後、ザパン、と言う凄まじい音だけが聞こえてきて、湖面に巨大すぎる水柱が出現した。それは高さ20メートルほどの高さになり、湖面に津波の如き高波を生じさせる。同時に、噴出した水柱は豪雨のように降り注ぎ、湖面を激しく叩いていた。


「――おい、タニア。あの津波、やばくないか?」


 一方で、まったく無視できない光景が、窓の外に広がった。

 煌夜はそれを注視しながら、ボソリと無感情に呟いた。湖面に発生した津波は、軽く6メートルを越える高さで魔動列車に迫ってきている。あんなのがここに直撃したら、流されて湖の藻屑となる絶望的な未来しか思いつかない。

 けれど、タニアは苦笑しながら、大丈夫にゃ、と親指を立てる。

 果たして、津波は魔動列車に到達しなかった。それは橋の手前で見えない壁に阻まれて、一滴も橋に届かない。窓の外は今度、押し寄せる高波の青で一面が埋め尽くされた。その光景はまさに、アクアリウムのトンネルの中に居るようだった。


「へぇ、なかなか幻想的ね……」


 セレナの呟きに、思わず煌夜も頷いてしまう。直前まで恐怖しかなかったが、タニアの言う通り、危険は何一つなかった。

 やがて波は落ち着き、湖面はまた静かな水平へと変わる。すると、もうどこを見渡しても、あの黒い角は見つけられなかった。


「知ってはいたんにゃけど、実際を見れて良かったにゃぁ――アレが、クダラークの歓迎って呼ばれてる名物にゃ」


 タニアが満足げに呟き、セレナも同様に頷いていた。危険がないことが分かっているなら、確かに名物として楽しめる催しではある。煌夜も喉元を過ぎ去った今となっては、良い経験だったと感謝していた。


「――あ、見えたにゃ。ようやく【湖の街クダラーク】にゃ」


 その時ふと、魔動列車が進んでいる方向を指差して、タニアが楽しそうな声を上げる。その直後に、また警笛が鳴り響いた。


『――乗客の皆様、クダラークの歓迎はお楽しみ頂けましたでしょうか? 当列車はまもなく、クダラークの大結界に到達いたします。その際、大きく揺れますので、お怪我をなさらないようお気をつけ下さい。繰り返します。当列車はまもなく、クダラークの大結界に到達いたします。大きく揺れますので、お気をつけて下さい』


 警笛が鳴り響く中、今度はそんなアナウンスが流れた。そしてそのアナウンスが流れているうちに、見る見ると魔動列車は加速し始める。

 煌夜も窓の外を眺めた。すると確かに、ドーム状の透明な何かに包まれた島が見えてくる。その島には、多くの建物が見えていた。あれが【湖の街クダラーク】の街並みのようだ。

 ようやく辿り着いたか、と煌夜は安堵の吐息を漏らす。また同時に、どこか達成感にも似た満足げな気持ちにもなっていた。長かったこの列車の旅を振り返ってみれば、存外悪くはなかったなとも感じる。


 そうしてそれから三十分ほど経って、煌夜たちは【湖の街クダラーク】に到着した。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 テオゴニア大陸の西域に展開して、三大王国のひとつに数えられる【聖王国テラ・セケル】――そこに属する数多の都市の中でも、最も美しい景観を誇り、最も多くの人間が日々出入りしているのが、ここ【湖の街クダラーク】である。

 クダラークは直径20キロほどの小さな島であり、その島全体をドーム状の透明な水晶壁が覆っている。水晶壁には、聖級の結界魔術が幾重にも重ね掛けされており、外界からのあらゆる攻撃と侵入を防いでいる。またその水晶壁は、外界と内部を隔てて遮断するだけでなく、島内の天候までもを操作していて、常に一定の気温、湿度、気圧を維持すると共に、快晴状態を保っている。

 クダラークを覆うその水晶壁を【クダラークの大結界】と呼んでいた。


 さて、その大結界がある為、クダラークの出入り口は二箇所に限られていた。それが南北に島を縦断する【湖の大橋】との隣接部分である。そこ以外からクダラークに入る道はない。それ故に、別名【鉄壁の孤島】とも呼ばれていた。とはいえ、クダラークには通行証の類は必要ない。魔動列車に乗れば、誰でもやってくることが出来る街である。

 そんなクダラークの人口はおよそ五千人で、そのうち五分の四以上を、外部からの冒険者や観光客、商人が占めていた。クダラークは実際に住んでいる住民の数よりも、圧倒的にそれ以外の旅行者のほうが多い街でもある。

 ちなみにその理由は、大きく三つほどあり、一つは、クダラークにある迷宮の存在が挙げられる。

 島の中心地から潜ることの出来る地下迷宮――【聖王の試練】と呼ばれるそこは、全120階層もある長く深い迷宮で、C~Bランクの魔族が棲息している。構造は単調で、現れる魔族もそれほど強くないので、攻略難度はCランクである。だと言うのに、攻略難度が低いわりには、そこで手に入る鉱石は非常に高価だった。それゆえ、初心者から中級者の冒険者たちがこぞって潜る人気の迷宮である。

 またもう一つの理由は、この島が観光地であることが挙げられる。クダラークは、とにかく美しい街である。整然と並んだ建造物は、そのどれもが新築のように清潔な外観をしており、抑え目だが隠し切れない高級感で溢れている。道路は全て大理石のような石で舗装されていて、ゴミは当然、浮浪者や露天商なども存在しない。さらに、計算され尽くした街の景観は、外周から島の内側に向けて高低差を付けることにより、どこからでも聖王湖を望めるような構造になっている。

 最後にもう一つの理由は、クダラークの特産品が非常に稀少で高価だと言うことが挙げられる。その特産品は、迷宮で採掘できる鉱石であり、クダラーク以外ではまったく流通しない稀少鉱石だ。それ故に、非常に高値で取引されるので、多くの商人がそれを仕入れる為に、こぞって足を運んでくるのである。また十日に一度、大規模なオークションも開かれており、そのオークションでは、人身売買から伝説の武器まで、古今東西ありとあらゆる物が出品される。それを目当てにやってくる商人も多いと言われている。


 ――とまあ、そんなクダラークの紹介を冒険者ギルドで聞いてから、煌夜たちは一路、宿屋に向かって歩いていた。


「コウヤ、ついでにセレナ。これが冒険者の基本にゃ。まず街に着いたら、冒険者ギルド――それが鉄則にゃ!」


 リュックを肩に担いだタニアが、そんなお小言を吐いた。それを聞いて、煌夜もセレナも反省の色を浮かべつつ、粛々と頷いた。

 冒険者のイロハ、その一。曰く、冒険者は街に着いたらまずギルドに向かう。情報収集と、食事券、宿屋券を入手する事が前提だからである。それから次に、宿屋で寝床を確保する。そのルーチンこそが、初心者から上級者まで変わらぬ冒険者の鉄則らしい。

 クダラークに着いてまず、煌夜とセレナはそんな鉄則をタニアから叩き込まれた。新しい街に着いたら、何をおいても冒険者ギルドに向かうのが常識なのだと言う。真っ先に宿屋の場所を探そうとした煌夜は、そこでタニアに怒られたのが、つい先ほどの出来事だった。


 まあそんな紆余曲折があったが、冒険者ギルドでは特に問題は起きず、無事に食事券と宿屋券を入手できて、ついでに街の地図も確保していた。


「さてにゃ。とりあえずここが、クダラークのギルド指定宿屋にゃ――噂以上に豪華にゃとこにゃぁ」


 ほどなく煌夜一行は目的地である宿屋に到達する。その宿屋は、魔動列車の発着場のすぐ近くだ。しかもまさかの十階建ての高層ホテルである。

 タニアはそんな宿屋を見上げて、嬉しそうに顔を綻ばせていた。煌夜もその気持ちには凄く共感できた。これほど豪華なホテルに無料で宿泊できるというのだから、そりゃあ楽しみである。一方でセレナは、思ったよりも感動が薄かった。クールに、へぇ、と感心した声を上げただけだ。

 そんな各々の反応をしてから、タニアを筆頭にホテルの入り口をくぐっていく。


「……って、ここ、マジでホテルじゃん。スゲェ」


 ホテルに入った煌夜は、思わずそんな独り言を呟く。その内装を見て、ついつい感動してしまったのだ。

 ホテルの中は、今までの宿屋のように食堂や酒場が併設された構造ではなく、吹き抜けのロビーになっており、受付カウンターと待合席があるホールになっていた。左右には螺旋階段が伸びており、二階から上が宿泊部屋や食事処になっているのだろう。天井から吊るされたシャンデリアのような硝子細工は豪華絢爛で、その雰囲気は懐かしさを覚えるほど近代的なホテルである。


「日本じゃ、ないよな――ああ、そりゃそうか、異世界だなぁ」


 煌夜はロビーに入った瞬間、一瞬だけ日本に戻ったように錯覚する。だがしかし、すぐさまここが異世界だと理解して、溜息を漏らした。ロビーを歩く冒険者たちの姿が、そりゃあもう見事に多種多様だった。


「さて、にゃ。とりあえず部屋を取って来るにゃ。ちょっと待ってるにゃ――あ、その前に、セレナ。お前、その外套脱ぐにゃ。ここにゃら、別に妖精族だとバレても問題にゃいにゃ」


 タニアはロビーを見渡してから、浮浪者然として目立っていたセレナにそう告げた。確かに、と煌夜もそれには頷いた。と言うのも、ロビーにはパッと見た範囲だけでも、タニアと同じ猫耳は居るわ、狐耳は居るわ、兎耳は居るわ、黒人、白人、黄土色の肌をした小さな人間など、一癖も二癖もありそうな人種が平然と歩き回っている。むしろこの中では、顔に魔術紋様があるだけなど、目立たない部類に違いない。

 セレナはタニアの視線を追って、ロビーの隅で立っている長い緑髪を束ねた女性を一瞥した。

 美しい相貌のその女性は、明らかに娼婦と思しき妖艶なドレスを纏い、剥き出しの太腿と、豊満な胸元を強調して立っている。

 煌夜はその女性と偶然、視線がぶつかった。すると女性は、誘うような艶のある流し目を送ってくる。思わず唾を呑んで赤面した。


「…………ええ、そのようね」


 一方で、セレナがひどくガッカリした声と同時に頷き、その場で外套を脱いだ。

 外套の下から現れるのは、頬に幾何学的な紋様を刻んだ美少女だ。だが、その容姿に反応する輩は、ロビーには少なくとも誰一人もいなかった。

 セレナは脱いだ外套を適当に畳んで、小脇に抱えたまま煌夜の隣に並んだ。

 煌夜はセレナが傍に来たことでハッとして、慌ててその娼婦のような女性から視線を外す。それを見て、セレナが溜息を漏らしている。


「あ、違うぞ、見惚れてたわけじゃなくて――」

「――ええ、分かってるわよ。まさかこんなとこで同族を見るなんて思わなかったわ。まぁ、娼婦ってのが、ちょっと情けないけどね」


 煌夜が弁明しようとした時、セレナは悲しそうに頷いた。その言葉を聞いて、煌夜は驚きを浮かべる。思わずもう一度女性に振り向いた。しかし、女性の頬にはセレナのような紋様はない。

 となると――同族、という単語に首を傾げる。

 そんなことを考えて見ていると、ちょうどまたバチっと目が合うが、今度は女性の方が煌夜から顔を背ける――いや、煌夜から、と言うよりも、セレナから顔を背けたようだった。その女性は瞬間、ひどく居た堪れない表情になって、螺旋階段を駆け上っていく。

 その背中を見送ってから、セレナに腕を引かれた煌夜は、カウンターで受付をしているタニアのところへ向かった。


「にゃぁ、コウヤ。部屋割り、どうするにゃ? 二人部屋が二つにゃから、あちしとコウヤ、セレナが一人でいいにゃ?」


 煌夜とセレナがタニアの横に並ぶと、タニアはカウンター越しの店員から視線を切って、そう聞いてきた。煌夜はいきなり話を振られて混乱するが、すぐに冷静になって答える。その質問は考えるまでもない愚問である。


「――え? いやいや、タニアとセレナで二人部屋だろ?」

「嫌よ、あたしは――それなら、まだコウヤと同じ部屋の方がいいわ」

「あちしもそうにゃ。セレナと一緒にゃら、まだ一人部屋の方がいいにゃ」


 しかし、煌夜が愚問と思っていた答えは、二人に即答で否定された。その当然のような返答に、煌夜はキョトンとして反応できない。そんな硬直した煌夜を見て、タニアはセレナと見合って、どうするにゃ、と首を傾げる。


「――あたしは一人部屋がいいんだけど? タニアはコウヤと一緒がいいんでしょ?」

「そりゃあ、そうにゃ――にゃあ、コウヤ。やっぱりそれでどうかにゃ? あちしと二人部屋」


 カウンターで応対する受付嬢は、笑顔でそんなやり取りを見ているが、その額には若干、青筋が立っているのが分かった。煌夜はタニアに上目遣いで首を傾げられて、あー、と意味もなく音を出す。と、ヤンフィが呆れた声で口を出した。


(コウヤよ。難しく考える必要はなかろう? 何を悩むことがある?)

(……いや、だって、年頃の女性と同じ部屋ってのはさ)

(今更ではないか。そもタニアとならば、同じベッドで寝た間柄じゃろぅ? 遠慮は無用じゃ――と云うか、コウヤよ。結局、同じベッドで寝たとて、手を出さないのならば、どの部屋でも同じじゃろぅ?)


 ヤンフィの正論に、煌夜は、ぬぅ、と唸る。反論の余地はない。確かに、一緒の部屋で寝泊りしようが、手を出そうとは思わないし、実際に手は出さない。いや、タニアに魅力がないわけでも、そういうことに興味がないわけでもないが、旅仲間に手を出すなんて御法度だろう――と言うよりも、今はそんな色ボケなことを考えてる場合ではない。

 ふぅ、と煌夜は短く息を吐いて、頭をガシガシと掻いた。そして、タニアを見て力強く頷いた。


「……それでいいよ。俺とタニア、セレナが一人部屋で――」

「やったにゃ!! にゃははは、どうにゃ、セレナ!」


 煌夜の答えを聞いて、タニアは勝ち誇った笑みでセレナに向かって胸を張る。それをセレナは煩わしそうな顔で見て、はいはい、とおざなりに答えていた。煌夜にしてみれば、タニアが嬉しがってくれる分には悪い気はしないが、正直反応には困る。


「――それでは、二人部屋が二つで宜しいですね? こちらが、鍵になります。お部屋は、702号室、703号室です。どうぞごゆっくりお過ごし下さい」


 喜ぶタニアに嘘臭い笑顔を向けながら、受付嬢は、サッサとしろよ、と言外に含んだ強い口調で言って、カウンターに二つの鍵を置いた。それを受け取って、タニアは我先にと螺旋階段に向かう。煌夜はセレナと顔を見合わせてから、ほぼ同時に溜息を吐いた。


 ちなみにこの後、部屋に荷物を置いてから、五階フロアにある食堂で食事を摂った。

 食堂は、高級中華料理店を思わせる豪華絢爛な内装で、出てきた料理も似合いの中華風フルコースだった。当然ながら味も見た目も素晴らしく、煌夜たちはその料理に舌鼓を打ったのである。



※キャラクターデータは別枠でまとめます。


10/15 一部誤字訂正

18.12/5 サブタイトル変更

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