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神隠しに遭ったら、異世界に居ました。  作者: 神無月夕
外伝 月ヶ瀬サラ
27/113

閑話Ⅲ 神隠しB面

サイドストーリーです。

サラ、竜也、虎太朗に何が起こったのか、その裏話。


……とは言いつつ、サラの生い立ちが半分あります。ちょっと蛇足だったかな、とも思うのですが、ここ以外では、今後書く予定がないので、書いちゃいました。

当初の更新予定がだいぶずれました。申し訳ありません。

 

「……サラ、すまん。アイツらを見てきてくれ」


 煌夜お兄ちゃんはそう言って、わたしの背中を優しく押した。いつものように暴走したコタと、それを追って行ったリュウを、連れ戻してきてくれというお願いであった。

 勝手にいなくなった二人を心配していたわたしは、そのお願いに、一、二もなく頷いた。


「任せて、煌夜お兄ちゃん」


 わたしはそれから急いで、不思議な鳥居をくぐり、またその世界に飛び込んだ。

 向かう先はあの宝物部屋である。一人で行くのは少しだけ不安だったが、先ほど煌夜お兄ちゃんと入っていった場所だったし、二人を一刻も早く連れ戻したかったので、迷わずそこに向かえた。


 ――それにしても、やっぱりまだまだリュウやコタは子供だ。

 煌夜お兄ちゃんを心配させるなんて、本当に困ったものである。


「ちょっと、コタ! リュウ! もう戻ろ……って、何してるの?」


 わたしは宝物部屋に入るが否や、二人の姿を見つけて思わずキョトンとしてしまった。二人は何をしているのか、宝箱を囲んで難しい顔をしている。


「ん? お、サラか。いや、リュウがよ。この宝箱が解体できるってんで――」

「――これ。秘密箱って言って、中に何かが隠れてるんだよ」


 コタが呆れ顔で、リュウが興奮した様子で、同時にそんなことを言った。

 わたしはそんな二人を見て、どうして戻ってこないのかすぐに察した。いつも冷静なリュウが夢中になっている。こうなったら、もう煌夜お兄ちゃんでも連れ戻せない。


「……秘密箱、って何?」

「秘密箱って言うのはね、カラクリ箱のことで――ほら、こうやって決まった手順を行うと、分解できる箱のことだよ」


 わたしの呟きに、興奮状態で冷静さを失っているリュウが、すかさず説明してくれる。けど、そんなこと正直どうでも良かった。


「――ねぇ、リュウ。もう戻ろうよ? 煌夜お兄ちゃん、心配してるよ?」


 わたしは自分でも分かるくらいに冷めた表情をして、リュウに向かって静かに怒った。

 そんなわたしを見て、コタがヤバイという顔を浮かべる。わたしが本気で怒っていることに気付いたのだろう。

 慌てた様子で、興奮するリュウの脇腹を叩いていた。

 それでようやくリュウも今の状況に気付けたらしく、突如ハッとした表情になり、あ、と口を開ける。


「ご、ごめん、サラ。ちょっとボク、夢中になってて……そうだね、もう戻らないと」

「わたしに謝っても仕方ないよ。戻ったら、煌夜お兄ちゃんに謝って! ほら、コタも、もう行こう」

「――お、おう。悪いな、サラ」


 まったく、リュウもやっぱりまだ子供だ。知恵の輪みたいな頭を使う玩具を見ると、すぐさま夢中になって時間を忘れる癖がある。

 わたしは呆れ顔で溜息を漏らして、早く行こうと促した。それを見て、コタは腰を上げて頷き、リュウも弄っていた宝箱をその場に置く。

 すると、宝箱の内側が少しスライドして、隠れた二重底が見えた。

 その宝箱の二重底を見て、リュウが少しだけ興奮をぶり返していたが、わたしがこれ見よがしに、ゴホン、と咳払いすると、ビクッと怯えて立ち上がった。

 コタは苦笑している。わたしはそれ以上何も言わず、コタと一緒に入り口の階段に向かう。


「――――あ、何だこれ? 黒い本?」


 その時、リュウがそんな呟きを漏らす。その声に、わたしとコタは同時に溜息を吐きながら振り向いた。


「リュウ、いい加減に――」


 わたしがもう一度怒ろうとしたその瞬間、突然、宝物部屋が崩れた。そして、わたしは意識を失った。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 わたしは、ロシア人のお父さんと、日本人のお母さんの間に生まれたハーフである。

 お父さんは有名な貴族の出で、お母さんは京都の舞妓さんだったと人伝に聞いた。

 二人は日本で出逢って、一年ほどの交際を経て、駆け落ちした挙句に結婚したらしい。互いに一目惚れで、しかも出来ちゃった結婚だったそうだ。

 それだけ聞くと、ずいぶんとだらしがなく、考えなしの結婚だと思うけれど、実情は違う。

 お父さんとお母さんの実家は、どちらも二人の結婚に大反対で、最後まで結婚を認めなかったと言う。それ故に二人は駆け落ちして、既成事実を作った上で結婚をした。

 その代償に、二人は実家から絶縁されるハメになったようだが、それでも構わなかったのだろう。二人は、二人だけで生きていく決意をしたのだ。


 ……だけど、そんなお父さんとお母さんを、わたしは写真でさえも見たことがない。


 駆け落ちして一年目、結婚生活半年のタイミングで、わたしはこの世に生を受ける。

 けれど、お母さんはわたしを産むと同時に、帰らぬ人になってしまった。わたしと同じで、身体が弱い人だったらしい。

 それからはお父さんが、男手一つで育ててくれた。

 実家とは絶縁しているから、誰にも頼れず、慣れない日本で必死に育ててくれたのだと言う。

 けれど、そんな生活も長くは続かなかった。わたしが三歳の時、お父さんは交通事故で亡くなってしまった。


 それからすぐに、わたしは児童擁護施設に入った。

 お父さんお母さんどちらも、自分たちの実家と連絡を絶っていた為、身寄りがない子供として扱われたのだ。

 最初に入った施設は、最悪と言える場所だった。

 物心つく頃には毎日を怯えて過ごしていた気がする。

 わたしの金髪碧眼という容姿はひどく目立ち、そのせいか、施設のみんなから虐められた。

 毎日毎日、悪口を言われて、気に食わないことがあると殴られて、食事は床にこぼされて、着る服はボロ雑巾のように扱われて、しまいに寝るところは廊下に作られたダンボールの中だった。

 そんな虐めの事実はしかし、擁護施設の職員たちは見て見ぬ振りをし続けた。

 わたしは同年代の女子からは嫌がらせ、男子からは暴力と無視をされて、職員たちには空気のように扱われた。

 そんな地獄のような環境は、小学校一年生に上がってもなんら変わらずに続いた。いやむしろ、学校でも嫌がらせを受ける分、より性質が悪くなったとも言える。


 わたしが一体、何をしたというのか。

 誰も彼もが、わたしを疎んじて、人間らしくは扱ってはくれなかった。

 けれど、小学校に上がって半年ほどが経った頃――施設に、わたしのお母さんのお母さん、お祖母ちゃんを名乗る老婆が現れた。

 お祖母ちゃんは、目元がどことなくわたしに似ていた。

 わたしはそれから、お祖母ちゃんの実家に引き取られた。その時に、お母さんのこと、お父さんのことを色々聞いたのである。


 お祖母ちゃんは、お父さんを憎んでいた。

 それだけではなく、お母さんのことも、あれは馬鹿な娘だったと、よく貶していた。そして、だからこそ、わたしはそんな両親には似ないようにと、非常に厳しく躾けられた。


 お祖母ちゃんはわたしを学校には通わせず、日々、芸妓の稽古――日本舞踊とお琴、茶道と習字などをわたしに習わせた。

 一日二十時間、起きてから寝るまでずっと、あらゆる作法を叩き込まれる毎日が始まった。

 休日はなく、食事とお風呂と睡眠の時間以外、わたしに自由な時間はなかった。そしてわたしが少しでも逆らったり、物覚えが悪かったりすると、すぐに激怒して折檻してきた。

 わたしはそうして、引き取られてから一年間、半ば軟禁状態の日々を送った。でも、それはまだマシだったと思う。

 施設の頃のように不特定多数から虐められることはなかったし、食べ物に困ることもなかった。

 貶されることはあっても、人としての尊厳を踏み躙られることはなかった。

 お祖母ちゃんの顔色や機嫌さえ損ねなければ、それほど痛い目にも遭わなかった。


 しかし、運命は残酷だ。

 そんな快適とは言い難いけれど、人間らしい生活も、結局そう長くは続かなかった。


 わたしは八歳の誕生日を迎える直前に、お医者さんから白血病と診断された。

 しかも既に病状はだいぶ進行しており、投薬治療ではなく、手術しなければ手遅れになると告げられる。それは幼いわたしにとって、あまりにも衝撃的だった。

 けれど、病気が深刻な状況にあることよりも、それを知った時に、お祖母ちゃんが何気なく漏らした言葉の方が、わたしにとっては絶望的だった。

 

「貴方も、欠陥品なのね……」


 お祖母ちゃんはつまらなそうにそう漏らして、それからわたしに一切構わなくなった。

 あれほど過密だった習い事のスケジュールが途端、何もかも白紙になって、誰もわたしに声を掛けなくなった。そして、一ヶ月と経たぬうちに、お祖母ちゃんはわたしを遠縁の親戚に引き払った。

 わたしを見限って捨てたのである。

 そこから――わたしは、自称親戚の家々をたらい回しにされる。

 新しいところに預けられては、すぐにそこを厄介払いされて、どこの家にも居着くことなく転々と全国各地を彷徨った。

 そうして、気付けばわたしは、九鬼市に流れ着いていた。

 この時、わたしを引き取った九鬼市の叔母さんは、誰から見ても外道な人だった。

 わたしのことをペットか何かだとでも思っているのか、裸同然の格好に首輪を付けさせられて、家の中に繋がれた。

 二日に一度しか食べ物は与えてくれず、排泄にトイレは使わせてもらえなかった。また、その日の気分によって理不尽に殴られる。

 それは、まさに地獄の日々である。

 そんな生活環境で、当然ながら、わたしは日に日に弱っていった。

 この頃には病院にも通わせてもらえず、もういつ死んでも仕方ないと諦めてもいた。けれど、あの日――わたしは、絶望の中から煌夜お兄ちゃんに救い出されたのである。


 あれは、一昨年の秋口頃のことだろう。

 叔母さんに引き取られて、二ヶ月ほど経ったくらいである。


 突然、叔母さんが家に見知らぬ大人の男の人を連れてきた。

 その男の人は、風船みたいなお腹をしており、わたしを見ると喜色満面な顔で舌なめずりをしていた。

 叔母さんはその男の人から札束を受け取り、わたしに向かって、初めて優しい笑みを見せる。


「これから、たっぷりと稼いでくれね」


 叔母さんはわたしの頭を撫でて、男の人をそこに残したまま家から出て行く。

 後に残されるのは、わたしとその男の人だけ。わたしは何が何やら分からずに、身動ぎできず座っていた。

 二人きりになると、男の人はわたしの身体を嫌らしい手つきで触り出す。

 足、腿、お尻、腰と触っていき、いきなり鼻息荒く頬っぺたを舐めてくる。そのあまりの嫌悪感に、わたしは、やめて、と叫んだ。

 だが、その声を耳にした男の人は、いっそう嬉しそうな顔で、首筋に舌を這わせる。


(嗚呼、わたしは、叔母さんにも売られたのか)


 わたしは幼いながらも、今のこの状況を正しく理解する。

 これが地獄の始まりである。

 これから、こういうことがきっと、死ぬまで続いていくのだろう、と――わたしは心底、絶望した。


「お嬢ちゃん、お嬢ちゃん。手錠、外してあげるね? 大丈夫、怖くないよ。すぐに気持ちよくしてあげるから――優しくするからねぇ」


 その男の人は、吐き気を催す口臭をさせながら、わたしの手足を縛り付けていた手錠を外す。

 しかしそれは、わたしを逃がしてくれるというわけではなく、わたしを思う存分に蹂躙する為の前準備である。

 男の人は、わたしを逃がす気など毛頭なかった。


「助けて――っ!!!」


 手足が自由になった瞬間、わたしは死ぬ気で抵抗した。

 大声を張り上げて、がむしゃらに男の人に攻撃する。

 けれど所詮は、八歳の子供。大人には勝てるはずはない。わたしは、男の人のボディブローを一撃受けて、その場に崩れる。

 男の人は涎を垂らしながらニヤリと笑って、わたしの着ていた襤褸みたいな服を引き千切る。同時に、穿いていたズボンを脱いで、パンツ姿になっていた。


 ――誰か助けて、と。

 わたしは心の中で、ただただ祈った。


 すると、その時である。

 ちょうどインターホンのチャイムが鳴った。

 これはチャンスと、わたしは大声を張り上げようとして、けれど男の人に顔を殴り付けられた。

 黙ってろ、と凄んだ男の人は、パンツ姿のままで玄関に向かう。


 玄関に居たのは、まだ十四歳の中学生だった煌夜お兄ちゃんである。


 ……後で聞いた話によると、この少し前、リュウとコタがピンポンダッシュをしていて、その時偶然、わたしの助けを呼ぶ声が聞こえたのだと言う。

 それで不審に思って、近くにいた煌夜お兄ちゃんを呼んでくれたらしい。


 さて、そんな煌夜お兄ちゃんは、押し売りする新聞屋のように、玄関でしばし男の人と話していた。男の人は見るからにうんざりしており、しきりに違う違う、と繰り返している。

 そうしてしばし押し問答が繰り広げられた後、突如、煌夜お兄ちゃんが強引に部屋に飛び込んできた。

 男の人の怒号が響き、やや遅れて、煌夜お兄ちゃんのくぐもった声が聞こえる。

 バキ、ドカ、と何かを強打する音も聞こえてきて、廊下から煌夜お兄ちゃんが転がってくる。

 煌夜お兄ちゃんは顔に大きな青痣をさせていて、それでも強い視線で男の人を睨んでいた。


「あ――あの、助け――」

「――安心しな。助けに来たぜ」


 わたしが助けを求めるより先に、煌夜お兄ちゃんは当然のような顔で頷くと、優しく包み込むように微笑んでくれた。

 思わずわたしは、息をするのも忘れて、煌夜お兄ちゃんに目を奪われた。

 この時から、煌夜お兄ちゃんはわたしのヒーローになったのである。


「おい、ロリコン野郎。お前は、幼児虐待と未成年者略取の罪で、社会的に制裁されるぞ。今ならまだ間に合う、自首しろ」


 煌夜お兄ちゃんはそう言って、男の人を睨みつけた。さりげなくわたしをその背中で庇って、指一本触れさせまいと、無言の圧力を放っている。


「このイカレたガキが、何言ってやがる」


 男の人はしかし、煌夜お兄ちゃんの威嚇などまるで気にせず、パンツ姿の不恰好で、煌夜お兄ちゃんに拳を振り上げた。

 体型の割りに素早い動きで、煌夜お兄ちゃんは横顔を殴り飛ばされる。しかし煌夜お兄ちゃんは、すぐにのそっと起き上がり、口元を拭って言った。


「おい、性犯罪者さん。俺とこの子を解放しないなら、いますぐに警察を呼びますよ?」

「――不法侵入者が何を格好つけてんだっ!」

「OK、じゃあ、こうしましょう。俺も警察に捕まります、不法侵入罪でね。だから、警察呼んでくれませんか?」

「あー、はいはい。分かった分かった。お前も共犯にしてやるよ。喜べよ。このお嬢ちゃんで楽しませてやる」


 男の人は言うが否や煌夜お兄ちゃんの顔面を蹴り飛ばした。

 不意打ちのその一撃に、さすがの煌夜お兄ちゃんも昏倒してしまう。そして猿轡をした上で、全身を縄でグルグル巻きにされてしまった。

 わたしは、部屋の隅で怯えることしかできなかった。


「た、助けて――」


 煌夜お兄ちゃんの無残な姿に、わたしは、今度こそもう駄目だ、と諦めかける。その時、ピンポーン、とまたチャイムが鳴る。

 男の人は、非常にムカッとした顔になり、舌打ちしながらまた玄関に向かう。

 そしてすぐさま青ざめた顔で戻ってきて、慌てた様子で脱いだズボンを穿きなおす。わたしはそこで力の限り叫んだ。

 ヤバイ、と男の人が悲鳴を上げる。同時に、玄関が勢いよく開き、警察官が入ってくる。

 こうして、わたしは救い出された。


 後日、煌夜お兄ちゃんの証言でわたしは警察に保護されて、売春を強要した形の叔母さんと買春しようとした男の人は、揃ってお縄になった。

 それから、煌夜お兄ちゃんはわたしの事情を知ると、児童擁護施設【天見園】で引き取れるよう段取りを整えてくれた。

 おかげで、わたしは天見園の子供になれたのである。


 天見園は、まさに天国みたいに幸せな環境だった。

 毎日が優しさと幸せに満ちていて――けれど、やっぱりわたしに幸せは似合わないらしい。

 病院に通っていなかったツケが、わたしに襲い掛かった。持病の白血病が、もはやのっぴきならない状況になっていたのである。


 ――死ぬのは、正直怖くない。

 それよりも、今の幸せがなくなるのが怖かった。

 わたしの病気が知られたら、きっとまた捨てられてしまうと勝手に思っていた。だって、手術費用は莫大で、とてもじゃないが払える人がいるとは思えなかったからだ。

 だからわたしは、身体の調子が悪くなっても、誰にも言わずにそのままで生活を続けた。

 それを、煌夜お兄ちゃんだけが気付いた。

 煌夜お兄ちゃんはわたしを叱りつけると、わたしを助ける為に、莫大な手術費用をどこからか工面して、わたしに手術を受けさせた。

 結果は、紙一重で成功して、完治こそしなかったものの、当面、死ぬことはなくなった。


 そうして、今のわたしがいる。

 そういうわけで、わたしは今を生きている。


 わたしにとっての煌夜お兄ちゃんは、そんな掛け替えのないヒーローだ。

 誰もが見捨てたわたしを、理由もなく助けてくれる優しい人である。


 だからこそ――わたしは、煌夜お兄ちゃんが大好きである。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 懐かしい夢を見ていた気がする。

 苦しくて切ないだけの過去と、わたしが煌夜お兄ちゃんを好きになったあの時の記憶、それを映画のような感覚で思い返していた気がする。


 ――わたしは、どこかスッキリとした気持ちで、ゆっくりと瞼を開けた。


 目を開けるとそこは、遺跡みたいな大部屋だった。見覚えのない場所である。

 キョロキョロと周囲を見渡せば、すぐ傍らには、リュウとコタが寝転んでいる。

 わたしは慌てて、そんな二人を揺すって起こした。

 幸いなことに、わたしを含めて誰も怪我はしていなかった。だが、ここがどこかは、誰も分からなかった。


「俺ら、神隠し山に居たはず、だよな? なんだよ……どこだよ、ここは! おい、リュウ! 何か分からねぇか!?」

「――駄目だ。ここ、携帯も通じないよ」

「え……と? ここ、は? わたしたち、どうなっちゃったの?」


 怒鳴り散らすコタと、どこか焦った様子のリュウを見て、わたしも混乱と不安で涙が溢れてきた。

 ここには、頼れる煌夜お兄ちゃんはいない。


「おい、ま、まさか……俺ら、死――」

「コタ! 落ち着いてっ! ボクたちは無事だよ。心臓も動いてる――信じられないけど、ここは異世界かも知れない」


 不穏当な台詞を吐こうとしたコタの肩を叩いて、リュウが突然、不思議なことを言った。

 異世界、と言う単語に、わたしは首を傾げる。


「い、異世界、って――何か、分かるの、リュウ?」

「……何も分からないけど、ただ可能性の話として聞いて欲しい――【神隠し山】って、昔、神隠しがあった山だから、そう名付けられたんだと思うんだよ。それでさ、神隠しって言うのは、いきなり人が消える不思議な現象のこと――原理は分からないけど、ボクらは覚えている限りでは、鳥居の先の不思議な部屋に居ただろ? あれがきっと、異世界への扉だったんだ。それでおそらく、ボクらは何かのスイッチを押してしまって、その結果、こうして異世界に転移、してしまったんだと思う」


 真剣な表情でたどたどしく語るリュウに、わたしは、まさか、と首を振った。

 それはあまりにも荒唐無稽過ぎる。見れば、コタもわたしと同じ意見のようで、呆れた顔で否定する。


「おいおい、リュウ。お前、ライトノベルに毒されすぎてるんじゃないのか? そんなこと、現実にあるはずが――」

「――コタ。ここは、携帯のGPSが機能してないんだよ。電波も通じないし、そもそも方位磁石も動かない。というか、ほら、よく周りを見てよ。部屋の壁に刻まれた文字が、さっきの部屋とまったく同じだろ? と言うことは、ここは鳥居の先の世界と何らかの関係があるはずなんだ」


 リュウは周囲の壁を指差した。確かに、壁にある文字だか記号だか分からない模様は、さっきまで居た部屋にあったものと同じように思える。


「えと……でも、そうだとして……じゃあ、どうすれば戻れるの? わたしたち、煌夜お兄ちゃんのとこに……どうすれば?」


 リュウの力強く語る言葉に、一瞬だけ心強く感じたが、すぐにわたしは不安に駆られた。

 ふと嫌な予感が頭を過ぎったのである。どうやってここに来たのか分からない以上、もしかして、このままもう元の世界には戻れないのではなかろうか、と。


 ――せっかく掴んだあの幸せな世界、掛け替えのない安息の日常を、わたしはまた失ってしまったのだろうか。


 今までのわたしの人生は、苦しみの連続で、しかも落ち着かない生き様だった。

 煌夜お兄ちゃんに救われて、それがようやく終わったのだと勝手に思っていたが、実はそれは勘違いだったのではないか。

 そう考えた時、言いようのない恐怖に襲われた。

 わたしは思わずその場に崩れ落ちて、涙が流れるのを抑えられずに泣きじゃくってしまう。

 コタはそんなわたしを見て、オロオロとしていた。いつもならすぐに慰めてくれるリュウも、しかし今は困った表情を浮かべているだけだった。


「お、おい。リュウ。もし……もし、ここが異世界だったとしてよ。じゃあ、俺らはどうすれば?」

「――ごめん、コタ、サラ。ボクが秘密箱に夢中にならなければ……」


 普段ならば、みんなの空気が沈まないよう気を遣ってくれるはずのリュウが珍しく、ただただ自分の軽率さを謝った。

 それが場の空気を悪くすることを分かった上で、しかしきっとリュウは謝る以外に何も出来なかったのだろう。


「……煌夜、お兄ちゃん……っ」


 ぐすぐす、と鼻を啜って、わたしは心の中で煌夜お兄ちゃんの顔を強く思う。

 同時に、わたしを助けて、と胸の中でひたすらに強く祈った。すると、その時――わたしの頭の中に、光り輝くビジョンが降りて来る。


 煌夜お兄ちゃんが困ったような顔をして、わたしを迎えに来るビジョンだ。

 よくコタがやっているテレビゲームに登場するような格好をした煌夜お兄ちゃんが、その傍らに千鶴ちゃんでさえ見劣りするほどの美女を何人も引き連れて、わたしの前に現れる。


 白昼夢の如く、そんな光景が突如として、わたしの頭の中に映った。


「――――え? いまの、は?」


 その映像は、まるで天啓のようにわたしの心を納得させる。

 それは、未来に必ず起き得る事象だと、わたしはなぜか確信する。

 根拠などない。だが、これは間違いなく未来の出来事で、既に確定した光景である。


「どうしたの、サラ?」


 わたしは、ぎゅっと目を閉じて、今一度その光景を思い返す。けれど、つい一瞬前のことなのに、その光景を鮮明には思い出せなかった。

 まさに夢を見ていたかのようだ。

 しかし、いま見えたビジョンは真実で、いずれ起きる未来だと、理由もなくわたしは確信している。そうなると良いな、という希望的観測では断じてない。それが真実だと、わたしの心がそう告げている。

 煌夜お兄ちゃんが迎えに来てくれる――そう思えば、先ほどまで感じていた不安や恐怖はなくなり、流れていた涙は止まった。

 ここで泣いていても仕方ないと、わたしは自分の気持ちを切り替える。


「サラ……? おい、大丈夫か?」

「――うん。大丈夫だよ、コタ。リュウも落ち着こう。きっと煌夜お兄ちゃんなら、助けに来てくれるから」


 わたしは渾身の笑顔で言って、手のひらで涙の痕を拭いながら力強く頷いた。

 そう言えば、そもそもわたしは、煌夜お兄ちゃんにお願いされて、リュウとコタを呼び戻しに来ている。と言うことは、そんなわたしも戻ってこなくなれば、煌夜お兄ちゃんは、間違いなくわたしたちを追ってくる。

 煌夜お兄ちゃんは、決して自分たちを見捨てたりしない。


「はぁ――? コウヤが、ここに来る、か…………いや、来るな、絶対に。そうだよな。よく考えれば、来ないはずねえわ」

「――そう、だよね。煌夜兄、だもんね。うん。迎えに来てくれるね、きっと――ゴメン、サラ。弱気になってたよ」

「そうだよ……煌夜お兄ちゃんは、絶対に迎えに来てくれる――だって、わたしのヒーローだもん」


 わたしはそれを言ってから、ちょっと恥ずかしくなって俯いた。でも、それを聞いたリュウもコタも、さっきの絶望的な顔とは一転して、いつもの楽しそうな笑顔になった。


「うし。そうと決まれば、まずはこの部屋を探索するべ。このいかにもRPG風の部屋を、よ」

「……コタ。気をつけないと、だよ。何かヤバイスイッチとか、仕掛けを起動させたら、もしかしてモンスターとか出てくるかも知れな――ん?」

「おう、分かって――あん? なんだ? いま、何か聞こえたぞ?」


 途端に元気を取り戻した二人は、興味を部屋の中に移して、キョロキョロと辺りを見渡していた。けれどその時、不意に何か音が聞こえてきた。

 その音は規則正しく、カツカツ、と段々こちらに近付いてくる。

 わたしたちはバッと、一斉に音の方を向いた。その音は、部屋の入り口にある閉じられた鉄扉の向こうから聞こえてきていた。


「靴の音、みたい?」

「――人、かな?」

「おい、一旦隠れたほうがいいんじゃないのか? ここが異世界なら、俺らって異世界人だろ? 見付かったらヤバイんじゃ……」


 リュウが冷静に分析すると、コタが珍しくまともな意見を言った。

 確かにその通りだ。不用意に姿を見せて、それが友好的な相手でなかった場合、どうなるか定かではない。

 わたしたちは慌てて、たくさんある石柱の後ろに姿を隠す。まるでかくれんぼみたいだと、ちょっとだけウキウキしてくる。


 ほどなくして、ギィイ――と、鉄扉が開かれた。

 現れたのは、二人の男女である。


 一人は、目が覚めるほどの美女だった。

 千鶴ちゃんなんて比較にならない。テレビで見るどんな女優さんも見劣りするくらいに綺麗な人。

 肌は透き通るくらいに白くて、腰元まで伸びた髪は宝石みたいな緑色だった。

 ゲームに出てくる弓使いみたいな服装で、しかし弓ではなく、レイピアのような木製の剣を持っていた。

 もう一人は、くたびれたロングコートに茶色のスーツみたいな服装をしていて、一見すると探偵さんみたいに見える男の人だ。

 美女とのツーショットがあまりにも不釣合いで、どことなく疲れた苦労人の顔をしていた。

 顔立ちは平凡、髪の毛は短く、ちょっとなよっと見える痩身だった。ただ、どことなく雰囲気が煌夜お兄ちゃんに似ている。優しい空気を感じた。


「■■■■■■」

「■■■■■■」

「■■■■■■■■■!」


 二人は部屋に入ってくると、わたしたちが隠れている石柱を順番に見て、何語か分からない言葉で会話していた。

 それは少なくとも、ロシア語でも日本語でもない。英語でもないように思う。特殊な発音で、今まで聞いたことのない響きだった。

 美女のほうが何やら喋り、男性がそれに応える。すると美女は語気荒く叫んでいる。


 ――正直、美女の雰囲気は非常に怖かった。

 息を呑むほど綺麗ということもあるが、その空気感が氷のようである。見ているだけで凍りつくような威圧があった。


「■■■! ■■■■」

「■■……■■」


 美女が何やら木製の剣を構えて、リュウが隠れている石柱に向かって振りかぶる。それを男性が慌てて止めていた。


「……■■……あー、あー。隠れてるのは、何者だ? こっちに敵意はない。出てきてくれないか?」


 その時、男性がこちらにも分かる言葉を喋った――いや、喋っている言葉は、よくよく聞くと、先ほどと何ら変わっていない。

 けれど何故か、その言葉の意味が、わたしに分かるようになった。

 わたしは、チラッとコタのほうを見る。コタが隠れている石柱は、ちょうどわたしから見える位置だ。すると、コタもちょうどわたしを向いて、うんと力強く頷いた。


「お、おう。俺らも敵じゃないぞ――リュウ、出ようぜ」


 コタは両手を挙げながら、わたしに一瞥してから、真っ先に顔を出した。そんなコタを見て、リュウもゆっくりと姿を見せる。

 コタとリュウの二人を見て、男性は目を見開き、美女は眉を顰めていた。

 わたしも追いかけて出ようとして、しかしそれはリュウに手で止められた。視線はわたしには向けていないが、リュウはわたしの動きを把握していたようだ。


「ボクも、敵じゃないです。失礼ですが、貴方たちは、何者なんですか?」

「■■■■■■■■」

「ちょ、ちょい待てよ、キリア。いま通訳するから……あー、俺たちは冒険者だよ。その、キミたちは、どうやってここに来た? 言葉が通じないことから、異世界人のようだが……人族だよな?」

「■■■■」


 わたしは、リュウの指示通り、柱に隠れたまま状況を見守った。

 男性の言葉は分かるようになったが、美女の言葉は相変わらず何が何やら分からない。響きは同じなのに、男性の言葉だけ理解できる。不思議だった。


「あー、はいはい。分かってるよ、キリア――あのさ、俺は人族で、ウィズ・クロフィード。んで、こっちは【妖精族】のキリアだ。キミたちに危害を加えるつもりはないよ。敵意もないし……だから、そこに隠れてる最後の一人も、顔を見せてくれると嬉しいな。ちょっと、うちのキリアは短気でね。怖いお姉さんなんだよ」

「■■■■■! ■■」

「悪い、悪い――なぁ、隠れてるキミ。俺の言葉、意味通じてるよな?」


 男性は、間違いなくわたしに向けて喋っている。

 わたしはドキッとして、チラリとリュウを見る。すると、リュウは眼鏡のズレを直す仕草をして、うん、と大きく頷いた。

 そして、わたしの方に振り向く。


「サラ、出てきて大丈夫だよ、たぶん」

「……おい、リュウ。大丈夫か?」

「――ボクは、天見竜也と言います。こっちは、谷地虎太朗。それで、そこの女の子が、月ヶ瀬サラって言います」


 堂々と自己紹介を始めたリュウに、わたしは慌てて柱から飛び出して、頭を下げた。


「あ、はい――わたしが、月ヶ瀬、サラです」

「■■■」

「おいおい、こりゃあ驚くねぇ、しかし――全員子供かよ。あ、ああ。まぁとりあえず宜しく。アマミリュウヤ、ヤチコタロウ、ツキガセサラ」

「……アマミリュウヤ、ヤチコタロウ、ツキガセサラ、■■■■■」


 男性――ウィズと名乗った人は、わたしたちを不思議な発音のフルネームで言うと、隣の美女――キリアという女性の肩を叩いて微笑んだ。

 キリアさんもたぶん、宜しく、とでも言ったのだろう。フルネームでわたしたちを順番ずつ見て、ちょんと頭を下げた。

 相変わらず鋭い視線で、どこか怒ったような冷たい表情だが、見た目より優しそうな印象だった。


「俺は、コタロウでいいぜ」

「……ボクもリュウヤでいいです」

「あ、わたしも、サラで大丈夫、です。その、ウィズさん、キリアさん」

「礼儀正しい子供たちだな――あ、それで? キミたちが、どうやってここにきたのか、事情を説明してくれると助かるな。俺らで力になれることがあれば力になるしさ」


 ウィズさんはそう言うと、傍らにいるキリアさんに頷いた。

 そこに悪意は感じられない。それくらいを見抜く目はあるつもりだ。

 リュウもそれには同意見なのか、わたしとコタに力強く頷いてくれた。


「ええと、事情を説明する前に一ついいですか? ここ、どこなんです?」

「どこ、ねぇ――ここは、【テオゴニア】って呼ばれてる【人界】だよ。キミらは……魔力が乏しいがなくはないから、【神種しんしゅ】じゃなくて、魔力が薄い異世界から来たのかな?」

「――人界? ボクらは、日本……地球から来ました」

「…………うーん。まぁ、少なくともこの世界のことじゃないな」


 ウィズさんの反応に、やっぱりか、と呟いて、リュウはわたしとコタに目配せする。

 それは何か聞きたいことがあるか、と言う確認だ。リュウが状況をまとめる際に、コタとわたしの意見を求めている時の仕草だった。


「んー。俺は、特にないぜ。リュウに任せる」

「――あ、あの! どうして、わたしたち、突然、ウィズさんの言葉を理解できるようになったんですか?」

「ん? ああ、それね。まぁ、簡単に言えば、俺が【統一言語オールラング】っていう、あらゆる生物と意思疎通できる能力を使えるからだよ。それを使って喋ってるから、言葉の意味が分かるのさ」

「あ、そうなんですか……」


 あらゆる生物と意思疎通ということは、ヨーゼフとも喋れるのだろうか。わたしはちょっと羨ましく思った。


「えと、すいません、ウィズさん。ボクたちは、どうしてかこの異世界に、召喚か、転移かをして来たみたいなんです。だから、一刻も早く、元の世界に戻りたいんですが、可能ですか?」

「キミ……リュウヤか。リュウヤは賢いし、冷静だね。だから、本音を言おう。申し訳ないがその術は分からない。だが、ここで出会ったのも何かの縁だろう。キミたちが元の世界に戻れる術を探す手伝いは、してもいい」


 リュウの質問に、ウィズは真剣な表情で首を振った。

 それを聞いて、少しだけ期待してしまったわたしは、だいぶガックリとくる。だが、すぐに気を取り直して提案する。


「あ、あの、ですね! 煌夜お兄ちゃんが、わたしたちを迎えに来てくれるはずなんです……だから、元の世界に帰りたいのは山々なんですけど、それよりもまず、その煌夜お兄ちゃんを待ちたいんですが――」

「――ああ、いいよ。そのコウヤお兄ちゃんってのが来るまで、この部屋で待つって言うんだろ? 俺らも一緒に、待ってやるよ」


 わたしの提案を最後まで聞かず、ウィズさんは優しい笑顔で親指を立てた。そして、その場に座り込むと、何やら空中に手のひらを向ける。

 すると、手のひらの先にブラックホールみたいな黒い穴が浮かんで、そこから次々と、椅子やテントやテーブルなどが現れた。


「どれくらい居るつもりか、どれくらいで迎えが来るのかは知らないけど……キミたちみたいな子供を、ここに放置するほど俺らは鬼じゃない。どうせ急ぐ旅でもないしな」

「■■■■■■、■■」

「――キリア、それは別に言わなくてもいいことだろ」


 ウィズさんは呆れ顔でキリアさんに笑い、どうぞ、と出現させた椅子に手を向ける。

 わたしたちに座って良いよと言っているのだろう。雰囲気通りに優しい人だ。コタもリュウも、迷わず椅子に座った。


「さて、そんじゃ。そのコウヤお兄ちゃんが来るまで、色々話が聞きたいな。いいか?」

「――はい。ボクたちも、色々とこちらの話を聞きたいです」


 ウィズさんは楽しそうに笑って、じゃあ、と他愛ない質問を投げる。

 それに応えると、次はわたしたちの番と、リュウ、コタ、わたしで一つ質問を投げ返す。そんな風に交互に質問をしながら、時には、関係ない話を交えて、また食事休憩を挟みながら、わたしたちは、煌夜お兄ちゃんが迎えに来てくれるのを、今か今かと待ち続けた。


 しかし、それから二日間が経過したが、一向に煌夜お兄ちゃんはやってきてくれなかった。


 わたしたちは仕方なく、ウィズさんとキリアさんに付き従って、ここから最寄の【アベリン】と呼ばれる街に向かった。


読んでくれた方々に感謝します。


このサイドストーリーは、メインのとあるネタばれを含んでますので、アップするタイミングが難しかったです。基本骨子はとっくにできてたんですが……いかんせん、キリアとかウィズの登場がネックでして……


さて、とりあえず、次は普通にメインの話を更新します。ではまた。

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