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錆びた刀がゆらゆらと揺れ
錆びた刀がゆらゆらと揺れ
月の明かりが影作り
刃先に映った僕の顔 ガラスのように冷たく光る
手に伝わる感触は 血の匂いを色濃く残し
目に映った絶望と耳に届いた叫び声
記憶にこびりついたまま いつまでも離れない
霞む視界がぐらぐらと揺れ
月の明かりに照らされて
水面に映った僕の顔 氷のように冷たく光る
脳裏に焼け付く光景は 血の残像を色濃く残し
目に映った惨劇と耳に届いた怨嗟の声
記憶にこびりついたまま 離れようとしない
誓った忠誠ががらがらと崩れ
月の明かりが差し込んで
主《あるじ》の目に映った僕の顔 獣のように荒く光る
体に轟く衝撃は 血の感覚を色濃く残し
目に映った裏切りと耳に届いた嘲りは
記憶にこびりついたまま 離れることはない
狂った世界がばらばらと崩れ
月の明かりが降り注ぎ
障子に映った僕の顔 ロウソクのように淡く光る
命を蝕む刀傷は 血の鼓動を色濃く残し
目に映った死神と耳に届いた宣告は
記憶にこびりついたまま 離れはしない
いつまでも いつまでも




