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狼が追いかけてくる
狼が追いかけてくる
闇に紛れて
足音一つ立てず
静かに追いかけてくる
振り返れば狼が
僕と同じ顔で
悲し気に泣いていた
記憶の扉がこじ開けられて
幼い僕が顔を覗かせる
あぁ、君は狼なんかじゃない
狼の群れに囲まれて 怯えていたあの頃の僕だ
狼のふりをして 強がっていたあの頃の僕だ
狼になりきれず けど羊にも戻れず 生き方を模索していたあの頃の僕だ
あぁ、君は狼なんかじゃない
弱くて何もできず 震えていたあの頃の僕だ
前へ進むために 切り捨てたあの頃の僕だ
弱い自分に戻らぬために 目を背けてきたあの頃の僕だ
僕だ 僕だ 僕だ
僕だ 僕だ 僕だ
僕だ 僕だ 僕だ
大丈夫 思い出した
君は僕で 僕は君だ
目を背けることはやめだ
共に生きていこう




