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英雄と魔王のラブソング
英雄と呼ばれた男は、一目で恋に落ちました
彼女のためならば、正義を捨てても構わない
英雄なんて誰かが決めたこと、従う必要などどこにもない
名声と名誉を捨て、彼女の元へ
裏切り行為だとしても、胸に灯った火は消えはしないと
英雄と呼ばれた男は、あっさりと人間を捨てました
彼女のためならば、悪人になっても構わない
英雄なんて所詮世迷いごと、名乗る必要などどこにもない
新たな体と力を得て、彼女の元へ
愚かな行為だとしても、胸に宿った想いは消えはしないと
魔王と呼ばれた女は、一目で恋に落ちました
彼のためならば、野望を捨てても構わない
魔王なんて誰かが決めたこと、居座る必要などどこにもない
地位と栄光を捨て、彼の元へ
裏切り行為だとしても、胸を焦がす感情は消えはしないと
魔王と呼ばれた女は、あっさりと魔物を捨てました
彼のためならば、善人になっても構わない
新たな体と力を得て、彼の元へ
愚かな行為だとしても、胸にすくう気持ちは消えはしないと
魔物となった男と人間となった女は、再び恋に落ちました
二人を阻むものはどこにもない




