表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏時計  作者: 桜坂 雪菜
第1章 夏の出来事
2/2

お祭りの日 ー7月27日ー


7月27日 PM6:24 晴れ


 夏とはいえ6時を過ぎると辺りは暗くなり始めていた。空は紫と赤と橙の見事なグラデーションに染められており、日がどんどん暮れるにつれて暗い蒼が空を塗りつぶしていった。

日の光が失われていくと紅い、提灯(ちょうちん)の明かりが強さを増していく。祭りの太陽として灯されている提灯は道の端にずらりと並べられており、風が吹くと中の(あか)りが揺れて辺りを不思議な雰囲気に包み込んだ。そんな不思議な灯りに包まれた道を人々が列をなして歩いていく光景は百鬼夜行さながらのものだろう。


お祭りが行われている神社は丘の上にある。本道まで繋がる階段の一段目の端に少女は腰掛けていた。かなり幅のある階段なので人々の通行の邪魔にはなっていないが少女以外には階段に腰掛けている者はおらず、少女は少しばかり目立っていた。しかし、人の視線をまったく気にしない少女。考え事でもしているようで他の物になど意識を向ける事は出来ない様だった。

意識を現実(こちら)に戻したのか、ハッとした様子で少女は顔をあげた。少女は黒の肩掛けのバックからスマートフォンを取り出した。黒のバックとは対象的な白いスマートフォンは少女が何かを操作するたびに画面に次々と情報を映し出す。少女は最後に携帯の時刻を確認すると溜め息をついてスマートフォンをしまった。


本当は今日の祭りに友達と来る筈だったのだが少女と友達は先日、喧嘩をしてしまった。本当に些細な事で。

そして今日、待ち合わせの時間から今まで友達を待ってみたが一向に現れない友達。現れそうな気配もない。


(諦める…しかないか)


友達は諦め、家に帰ろうと立ち上がった少女。

今日こそ謝れると思ったのに。後悔ばかりが少女を襲う。すると、不意に目の前の景色が消えた。


否、見えなくなった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ