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桜木冷
5月。入学から1ヶ月が経ち、そろそろ桜も散っていくころ。その時期に席替えが行われた。班は男女2人づつの4人班で、私、白川沙織は桜木冷と同じ班になった。桜木冷という人は私がとても親近感を感じていて、いつも1人でいる。だけど、とても頭が良く、どんなことでもそつなくこなし、そのうえ容姿も言う事がないほど綺麗。そんな人と同じ班になった私は友達になれるチャンスだと期待した。でも桜木さんは、驚くほど無愛想で、とても友達にはなれそうもなかった。
「桜木さんって、無愛想だよね。」
そう桜木さんと同じ小学校の子に聞いてみると、桜木さんは昔から病弱で欠席は日常茶飯事、入院していたこともあったようだ。
何とかしてでも話題をつくって友達という関係になりたかった私は、桜木さんに言ってしまった。
「桜木さんって小学校のころよく欠席してたんでしょ?今は大丈夫なの?」
と。
今考えれば当たり前のことなのだけれど、桜木さんは不機嫌な顔をして
「大丈夫」
とだけ答えた。
それから1週間、桜木さんは学校を休んだ。