承 8
今回は非常に短いのですが、都合上前の話と分けました。
俺は今日1日を思いだしていた。
朝、俺に弁当を渡してくれた母。……土曜は午前授業なのに。
登校中、 俺と千秋の平和の会話をぶち壊してくれた曽根山。
下校中、突然現れて俺たちを攫ったリッカさん。
他にも、一期一会の人も大勢いたはずだ。
しかし、俺はもう帰れない。2012年5月5日に死んだから。
母よ、別れの言葉を何1つ言えず、すまなかった。親不孝な俺を許して、妹を大事に育ててくれ。
父よ、仕事も頑張ってほしいが、家族のことも大事にしてやってくれよ。
妹よ、頼りない兄を慕ってくれてありがとう。俺は千秋と頑張って未来を救うから、お前は千秋の妹の「一日ちゃん」と仲良くするんだぞ。
ついでに、曽根山。お前はもうちょっと他人のことを大事に思え。ま、お前の自己中心的なところ、結構気に入っていたけどな。
……絶対に届くことのない、俺の声。
神よ、俺はこの現実を受けいれて、世界大戦を一刻も早く終わらせて、救世主になってやる。そして、俺の命を救ったことを後悔させてやる。
「――正太郎、正太郎ってば!」
千秋が大声で俺を呼んでいた。自分の世界に籠もっていて、千秋の声に気づかなかったらしい。
「すまん。考え事をしていた」
こういう時は素直に謝る。それだけだ。
「考え事?」
しかし、千秋はしつこかった。
「ああ」
「考え事って何だったの?」 「何故お前に言う必要がある」「親友でしょ、僕たち。それとも、正太郎はそう思ってないの?」
何で美青年というか、女装させたらミスコンで優勝できそうな千秋に、そんなウルウルした目で見られなくてはならないんだ。俺はだんだん腹が立ってきたが、確かに千秋は唯一無二の親友だった。
「そうじゃなかったら、お前のためにわざわざ不良どもと喧嘩をしない」
「それなら教えてよ」
本当にしつこいな。ここは、茶化してやるか。
「お前の妹とお前の名前を足すと、一日千秋だよな」
ぶはっ。千秋に殴られた。




